J-League Division2 , 35th Match Day

Urawa Red Diamons (1-2<V>) Consadole Sapporo

Scorer : Emerson (5) , Kubica (71) , Biju (98<V>)

  嗚呼、レッズ・・・

28th September 2000 , Komaba Stadium , [Attendance]16,068


Reds

GK  Takita

DF  Yamada , Picun , Muroi , Jojo (Nagai 70)

MF  Ishii , Kawai (Abe 45) , Adiel , Ono

FW  Okano , Kubica 

Consa

GK  Sato

DF  Mori , Natsuka , Omori

MF  Tabuchi (Furukawa 55) , Nonomura , Biju , Almir

1.5  Yamase (Shimizu 72)

FW  Emerson , Bando


 初めての駒場

 レッズの試合は過去に国立では見たことがあったが、駒場まで行くのは初めてだった。浦和駅で下車した後、とりあえずマックで腹ごしらえして、いざ駒場へ、と歩いていった先が埼玉県庁。通りがかりのおっさんに「駒場スタジアムは何処ですかねえ?」と恥ずかしながら聞いてみるも、「あんたら逆方向だよ。産業道路の方だよ。」と冷たい反応。そもそも浦和で下車するのが初めての人間に産業道路などと言われても知っているはずがない。ということでバスで行くことに。しかしこれが渋滞でなかなか進まず、やっとスタジアムに着いたときには既に自由席がいっぱいの状態。なんとJ2では考えられないことだが、友人と隣同士に座ることさえできなかった(キックオフまで30分くらいあるのに!)。駒場の雰囲気はJ2のものとはかけ離れており、J1を入れても日本でおそらくナンバー1の熱狂度ではないか。平日にも関わらずサラリーマンや高校生、お年寄りなど様々な人達がスタンドにはいた。普通の国内のスタジアムではあまり目にすることが出来ない光景だろう。意外にもお年寄りが数名熱狂的なファンの中に混ざっているのだ。地域密着度の高さの現れか。
 
 2つ分の連番の席が空いていないようなので、友人とは離れて座ることにしたのだが、親切にも坊主頭の推定30代後半男性が2つぶん空けて下さり隣同士に座ることができた。スタメン発表の時は札幌の選手には大ブーイングが、レッズの選手には大声援が起こる。その声量の密度たるや日本代表の試合をも凌ぐのではないか。ますますキックオフが待ち遠しくなる。その一方では「こりゃあここではエメルソンの応援はできないなあ」とも思っていた。選手が入場してくると2階席の方からおなじみの超大型の旗が降りてくる。TVで見る分にはかっこいいが、スタンドにいる身としては前が見えずちと辛い。
 
 いきなりのエメの先制点
 
 キックオフ直後、我々に席を空けてくれた右隣の男が叫び出す。「そこカヴァーしてやれよ!」、「エメをサイドに押し出せ!」などとものすごい声量で叫ぶのだ。極めつけは「縮み上がってるんじゃねーのか!金玉揉んで落ち着かせろよ!」などという始末。我々は爆笑してればよいが、カップルやファミリーでの観戦者にはかなり聞き苦しかったことだろう(爆)。その後はエメルソンに向かって「元ストリート・チルドレンで子持ちのくせに!」とか、札幌DFの大森に向かって「金髪にしてもお前は地味なんだよ!」などとほとんど差別に近い叫びがスタンドに木霊した。
 
 試合の内容はというと、開始5分くらいに札幌があっさり先制。左の野々村からのCKをビジュ(?)がヘディングでファーサイドに流し、それを室井のマークが甘くなっていたのを活かしエメがインサイドで楽々プッシュした。あっさり生まれた先制点。エメファンのボクとしても拍子抜けする展開。駒場が凍り付いた一瞬だった。ピクンとCBでスタメン出場した室井だが、はっきり言って度重なるパスミスや判断ミスが目立った。時間の経過ともに試合に溶け込んではいったが、いかんせん低調な出来だったといわざるを得ない。播戸、エメの裏への早い飛び出しに手こずって札幌にチャンスを与えてしまっていた。彼よりは能力の高いウルグアイ人のピクンでもエメには手を焼いているようだった。

 繋がりの見えないレッズ

 開始早々先制点を挙げることのできた札幌は落ち着いた試合運びを見せる。相変わらず播戸とエメの前線からのプレッシャーが効果的で、トップ下に入ったボクと同い年(19)の山瀬は、幾ボールタッチが少なく物足りないながらもレッズ相手に悪くはない出来。特にエメがサイドに流れた際やサイドアタックからのセンタリングに、幾度か2列目から絡んでいくシーンが見られたのがよかった。またファールの時なども落ち着いて時間稼ぎか挑発のような行為を繰り返し、レッズファンからブーイングが巻き怒ることもしばしば。そういった役割ではとりわけ野々村やアウミールなどが効果的だった。

 一方のレッズといえばTVで見ていたとおり低調な内容。J2では圧倒的な選手層を誇り、天才小野伸二、福田、岡野、永井、土橋、大柴、石井など、元代表や元U-22を数多く揃えながらも札幌にはやや水を空けられている。まず目に付くのは攻撃に意図が感じられないことだ。DFラインだろうが中盤からだろうが、とりあえずクビツァに放り込みを行うものの、その後が全く続かないのだ。制空権はクビツァで握っているもののマラドーナほどのテクがあるわけでもないのだから、味方の上がりをゆっくりと待ちながらボールキープすることなどできるわけはない。というわけでクビツァが敵ゴールに背を向けて足下にボールを落とすものの、次の瞬間横からボールを奪われるシーンが目立った。また敵ゴールに背を向けている以上クビツァがそのままゴールを狙うこともままならず、これだというオフェンスのパターンが存在しないのだ。またクビツァに対してだけではなく全体的に味方へのサポートや中盤のビルドアップが遅く、札幌の分厚いプレスの前になかなかボールを進めることができない。岡野もクビツァに次々と絡んでいくようなセカンド・ストライカー的な動きも少なく、サイドに張ったり中盤にボールを受けに行ったりが多く、なかなか大きなチャンスを生むことはできない。ロナウドは中盤で一回ボールを受けてから一気に攻め上がるのが得意だが、岡野にそれを求めても仕方がない。新加入のアジエルのドリブル、小野伸二のスケールの大きいパスやテクニック、城定のオーヴァーラップなど個人個人の見せ場が無いわけではないが、グループとしての動きが噛み合わないのだ。数年前、バインやブッフバルトがいた時代の強さはどこへやらといった感じさえする。

 そして前半が終了した。

 クビツァのヘディングでなんとか同点とするが・・・

 後半、レッズはボランチで出場してほとんど機能していなかった河合に代えて阿部を投入するが、状況はさほど変化しなかった。レッズサポの大音量の応援が続く中、札幌は余裕(?)の試合運びで時間の経過を待つ。レッズはアジエル(?)のスルーパスから岡野が放ったシュートがDFに当たってポストに弾かれた場面以外は、全くと言ってよいほど決定的なチャンスを創ることができない。両チームの激しいぶつかり合いによる決定的なシーンの連続を期待していた我々としては、いささか消化不良の感を抱きながら時間が過ぎていく。このまま札幌が巧く逃げ切るのかな、との思いを抱きつつあった71分、左CKをクビツァがヘディングで決めて同点とする。その瞬間、駒場はまさに割れんばかりの歓声に包まれた!一斉に立ち上がる観客とスタンドにダッシュしガッツポーズをするクビツァ。しかしクビツァの頭くらいしか得点を期待できるパターンが存在しないのも寂しい限り。実際、この得点の前に右サイドを破った岡野(?)のグラウンダーのクロスをどフリーながらもクビツァは外している。彼は足技はダメなのか。

 この同点シーンの直前には、なかなかの働きを見せていた左SB城定に代えて永井を投入している。これによってレッズは3バックとなり、中盤の真ん中には小野と石井が、その高めにはアジエルがポジションしクビツァと同じ高さになる時間もあった。アジエルと小野・石井のほぼ中間の高さで、それぞれ左右に開く感じで入ったのが永井と岡野。だが彼ら二人はほとんど機能していなかった。永井はボールにほとんど絡めず存在感が無いという状態で、岡野は巧くスペースへランニングすることもないばかりか、裏のスペースをとられてアウミールや大森に効果的なドリブルをされる場面が目立った。3度ほど左サイドを彼らに突破された後はさすがにポジションをやや下げたが、それによって攻撃にはほとんど絡めなくなっていった。数字で言うと城定の交代以降のレッズのフォーメーションは、3−4(右から岡野、小野、石井、永井)−1(アジエル)−1(クビツァ)といったところか。

 一方の札幌は55分に田渕に代えて古川、72分には山瀬に代えてジュビロから来た清水が入った。これによって3バックスは名塚がボランチに入り右から森、古川、大森となる。同点とされた後は、左サイドの大森がレッズのフォーメーションチェンジで手薄となった左サイドをたびたび突破しチャンスを創る。終了間際には左サイドからエメが抜け出し、あわやPKかというエリア内での転倒があったがこれはノーホイッスル。ちなみにこの試合の審判(吉田)はあまり試合を巧くコントロールできておらず、レッズサポから大ブーイングされていた。

 延長に入ると98分に右サイドからのボールの落としを拾ったエメが角度のないところから狙い、それを田北が弾いたものの左のバーに跳ね返り(微妙にアウミールも絡んでいるが)、リバウンドをビジュがプッシュしてVゴールでの決着となった。全くの静寂に包まれる駒場スタジアムが印象的だった。加えて観客に挨拶に来たレッズの選手達には数本のペットボトルが投げつけられたのに対し、一部のスタンドから札幌の選手達に大歓声を送るというコントラストはまさに「勝てば官軍、負ければ賊軍」の様相を呈していた。

 昇格レースにはもう一山ありそう

 この勝利によって札幌の昇格は完全に時間の問題となった。内容でもレッズとの差を見せつけた形となったからだ。レッズは序盤こそ個人個人の力量の差で快進撃が続いていたが、2巡目3巡目となるに連れて組織が完成していく他チームとの差が無くなってきている。今節3位の大分が甲府を破ったために、レッズとの勝ち点差はわずかに2となった。大分の時節の相手が札幌だけにレッズにはまだ余裕があるが、このままの低調な戦いぶりが続けば大分の昇格も十二分にあり得る。本来の力を発揮できずもがき苦しむレッズには今後とも注目が集まることだろう。

 

  決定的なシーンがあまり生まれない展開にイラ立つわがまま男@明大サッカー狂会会長。

 

 2000/9/28

 

 

 HOME    Come On!Ryan!