International "A" Match

Scotland (0-2) France

Scorer    Wiltord (54min.)  Henry (89min.)

Wednesday , 29th March , 2000      Attendance  48,157

    National Stadium , Hampden Park , Glasgow


Scotland

GK  Sullivan

DF  Dailly , Hendry , Ritchie (Pressley 46min.) , Davidson  , Telfer (Johnston 67min.)

MF  Hutchison , Cameron (McCann 46min.) , Ferguson

FW  Gallacher (Burchill 79min.) , Dodds

France

GK  Rame

DF  Lizarazu , Blanc , Desailly , Thuram

MF  Petit , Deschamps (Vieira 60min.) 

Winger  Giuly (Micoud 46min.) , Dugarry (Pires 72min.)

1.5  Djorkaeff (Wiltord 46min.)

FW  Henry


 <Match Report>

 5つ星のHampden Park

 試合の前日、Manchesterから5時間近くCoachに揺られて、Glasgowに到着。早速、この試合のチケットのためにHampden Parkへ。行き方は(誰がこんなところまで行くんだ?)、Scot TrainのGlasgow Central駅から10分ほどのMt. Floridaという駅で下車する。そこからは道なりに進んで、5分ほどで左折。そうするとすぐにHampden Parkが見えてくる。

 改修されたばかりの新しいスタジアムだ。チケット・オフィスに行くと、まだ余っているとのこと。しかも、「どのような席種が希望なのか?」など、親切丁寧な対応で聞いてきて、こちらは感服するばかり。こちらの希望を伝え、あれこれ質問した後にチケットを購入。バック・スタンドの上の方で10£というのも驚きだ。

 このHampden Park、2002年のUEFA Champions Leagueでは、決勝で使用される予定らしい。UEFAから「5つ星」の認定をされているというのだから、ちょっとスタジアムの中を覗いてみたくなるのが人情というもの。ゲートの隙間から中を覗いてみると、美しい真っ青の芝生に、見るからに新しいスタンドが・・・。日本ではさほど知名度の高くないスタジアムだが、こう見えても長い歴史があるし、とってもオススメのスタジアムである。でも、試合後は駅が非常に混み合うので、それなりに覚悟が必要となる。それ以外は文句無しだ。

 親切なScottish

 3/29は日帰りでEdinburghに観光に行き、夕方にGlasgowに戻ってきた。そして、もしかしたら選手のサインがもらえるかと思ってたので、少々、早いながらもHampden Parkへ。結局、スタジアムの構造上、サインをもらうのはムリのようだった。

 ゲートが開くまでまだ時間がありそうな時間帯に、Scotlandの寒風に吹かれ、トイレに行きたくなった私は、一つだけ開いているゲートの前に立っている男に、「トイレに行きたいんだけど」と話しかけてみた。すると、この男、後にあった女子用トイレを使え、と貸してくれた。得した気分(?)でトイレから出てきた私は、ゲートから次々に人間が入ってくるのを見て、あの男に再び話しかけてみた。奴は黒のスーツ着用で20代後半といった感じ。その時はタバコを紙で巻いていた。

 (私) 「なんで、あいつらは中に入れるの?」

 (男) 「スタジアムで働いている人だからだよ。売店とかさ。」

 (私) 「おれも入れさせてくれないかな?」

 (男) 「それはムリだなあ。働いてる人だけが入れるんだよ。」

 (私) 「どうしてもダメ(笑)?」

 (男) 「悪いね。上にはボスがいるから、もしバレたらおれが怒られちゃうからさ。」

 Scottishは、コイツをはじめとして本当に親切でいいヤツが多い。自然は多いし、何処へ行っても景色が美しい。Scotlandはオススメですよ。

 え?あの人、女じゃないの?

 徐々にスタジアムの周りにはサポーターが現れだした。チェックのスカート(伝統衣装)をはいて応援する熱心なファンも結構いる。また、旗を持っているヤツも多い。暖かいサポーター達なのだろう。また、Franceのサポーターも少ないがいる。ScottishとFrance人で、「パリから来たの?」などとおしゃべりをして友好を深め合う奴らもいて、本当にフレンドリーな感じだった。

 その時、ちょっと「ドキッ!」としてしまったのが以下の出来事。スカートを履いている連中というのは、後ろから見ると女性かと思うことが多い。で、前から見てビックリ、というパターンだ。その中の一人が、丘に向かって放尿していたのには面食らった。遠くから見ると女性に見えるからだ。「え?あの人、女じゃないの?」。あれを初めて見た人は誰しも驚くことでしょう(笑)。

 ジダンやカンデラの不在を感じさせないFrance

 いよいよスタジアムの中へ。Hampden Parkは改修以後、Euro2000のプレーオフ(England戦)で使用された(他にもあるかも)が、オフィシャルのオープニングはこの日。試合前にはセレモニーが行われ、往年の名プレーヤー達が登場した。

 ホームに世界チャンピオンを迎えるScotlandは、ボルシア・ドルトムントでUEFA Champions Leagueチャンピオンの経験もある、ポール・ランバートがケガで不在。また、かつてモナコに所属したゲーム・メイカーのジョン・コリンズは代表を引退。今シーズン、ワージントン・カップを制したレスター・シティのエリオットは息子が生命の危機に陥ったため不参加。さらにニューカッスルの強力FW、ダンカン・ファーガソンは召集さえされず(なにか事情でもあるのか?)。ただでさえ実力差がある両チームなのに、これでは心許ない。

 対するFranceは、ジヌディーヌ・ジダン、ヴィンセント・カンデラ、ファビアン・バルテズらがケガで不在。Scotlandへ出発する日に知ったジダン不在は、私の試合に対する興味を少しだけ削ぎかけたが、それでもワールド・カップ優勝メンバーがずらり。これほど主力メンバーで来るとは思わなかった。

 キック・オフ後、わずか2分でHampden Parkは大いに沸いた。デイヴィッドソンのロング・スローが、立ち上がりで落ち着いていなかったのか(?)、競り合いからこぼれてラマとブランの間へ。ここにポジションしていたのがニューカッスルのベテランFW、ガラハー。ブランのプレッシャーを受けながら胸でワン・トラップしてShoot!Goal!観客は総立ちで沢山の旗が振られる。しかし、なぜか審判が笛を吹いている。結局、ノーゴール。なんとガラハー、「神の手」を使ったらしい。あららら。ガラハーはあまり人気がないのか、隣のオヤジは、「ガラハーはダメだ!」と私に言ってきた。数分後にはScotlandのCKからヘンドリーが左足ボレーを放ち、思いっきりデュガリーの顔面にヒット。石崎君の顔面ブロック並に止めたが、非常に痛そうだった。もちろん隣のオヤジは、「Nice Shoot!Hendry!」とか言っていた。

 その後は、ボールキープ率としては大差がないものの、チャンスメークという点ではほとんど一方的にFranceが主導権を握る。6月にモロッコのハッサン二世国王杯で日本と当たるだけに、みなさん、Franceの情報を知りたいでしょう?それでは・・・。

 バック・ラインは、ワールド・カップ時と全く同じの鉄壁の4人。これまたWCと同じく、中盤はセンターのやや低めに、デシャンとプティ。ここからが違う。左右のウィングには、左に本来はFWのクリストフ・デュガリー。右には、この日がデビュー戦となったモナコのルドヴィック・ジュリー。はっきり言ってこいつは機能していなかった。上がりのタイミングは中途半端だし、運動量もデュガリーに比べて少ない。また、ナーバスになっていたのか、積極性もあまり見られなかった。トップ下の位置にはユーリ・ジョルカエフ。こいつもはっきり言って機能せず。ポジショニングが中途半端すぎて、役割が伝わってこない。チームにうまく絡めずジダンの代役は務まらなかった。結局、ジュリーもジョルカエフも、仲良く前半でお役ご免となった。トップには、アーセナルで大ブレイク中のティエリー・アンリ。WC時には右のウィンガーという感じだったが、アーセナルに移ってからは完全にセンターFWに変身した。これもヴェンゲルの功績だろう。

 ジョルカエフが問題と言っても、それは高次元のサッカーを展開するFrance代表の中で見ると、という話である。とにかく、Scotlandとはひと味もふた味もクオリティが違うのだ。

 創造性のカケラもない"Tartan Army"

 ホームのScotlandは、全くFranceとは別の次元。似た例をあげるなら「日本-ブラジル」などか。ただでさえ興奮するようなクリエイティヴなサッカーをするチームではないのに、上記のように軒並みゲームを「創る」選手が不在。この日のスタメンのメンバーなど半分くらいしか知らなかった。注目の金髪センター・バック、コリン・ヘンドリーは、最初こそ一度危ない場面があったものの、その後は他の選手に指示を出し、落ち着いたカヴァーリングを見せた。ウェンブリーで行われたEuro2000のプレーオフ第二戦で、決勝点を叩き込んだドン・ハッチソンはというと・・・、10番を付けたわりには、たいした見せ場はなし。そもそもScotlandは中盤での組立てが存在しないと言っても過言ではないのだ。ひたすらロング・ボールというほどではないものの、つなごうとしてもプティやデシャンの餌食になっていく。ボールキープ率はあまり差がないのだが、中盤から前にはなかなかボールを運ぶことができない。ほとんどサイドからカウンター気味でしかチャンス・メークできない感じだ。そのサイドからは、惜しいチャンスもわずかだがあった。しかし、基本的にはプティ、デシャンをなんとか突破しても、次には鉄壁のDF陣が控えている。

 試合展開は、開始2分のガラハーの惜しいチャンス以降はFranceペース。バック・ラインからのロング・パスがデュガリーに通り、GKと一対一に。なんとかGKのサリヴァンがCKに逃れた。その後は二回、Scotlandもフリーでのシュート・チャンスを創るも、枠に飛ばず。Franceはその間もプティとデシャンが中盤を制圧し、デュガリーは左サイド深くへ切り込み、アンリはポスト・プレーでくさびとなっていた。デュガリーからオーヴァー・ラップしてきたリザラズへ流して、チャンスになりかけたシーンもあった。24分にはジョルカエフの右からのセンタリングが流れて、アンリがフリーでヘディング。決まったかと思われたが、ボールはサリヴァンの正面に。前半終了前には、中盤での鮮やかなパス交換から左サイドのデュガリーがドリブルで切れ込んでから、右足イン・フロントに掛けたシュートは惜しくもバーの上。またその後には、ジョルカエフ(かな?)が大胆にもオーヴァーヘッド・キックを放った。

 ハーフ・タイムには隣のオヤジが、「結果オーライだ!」などと言っていたが、全然そんなことはない。両チームのクオリティは明らかに異なっている。また、Scotlandはファンが選手に暖かすぎるのかもしれない。前半途中、隣のオヤジは「Come On!Hutch!」などと叫んでいたが、ハッチソンなんかちっともよくないじゃないか。まあ、人の国のことだからあまりこんなこと言う必要もないのだけれど。

 ヴィルトールとミク。鮮烈だったボルドーのデュオ

 Franceは、前半いまひとつだったジョルカエフとジュリーに代えて、後半の頭からボルドーで今シーズン活躍中のデュオを投入してきた。一人はFWのヴィルトール。これによってヴィルトールが右、アンリが左、というようにFranceは2トップに変化した。もう一人のミクはクリエイティヴな選手。といってもテクニックを披露したり、ボールをこねくり回すようなタイプではなく、極めてシンプルに組み立てていく自分好みの選手。しかし、このときはジダンの欠場で急遽呼ばれたのか、プログラムにも載っておらず、全く誰なのか分からなかった。

 この二人の投入で、Franceはますますチャンスを迎える。スピードあふれるヴィルトールは、デシャン、アンリ、ヴィルトールと廻ったパスから早速シュートを放つ。これは大きくバーを超えたが、まずはグッド・トライというところか。その後も、ヴィルトールの2本の惜しいシュートをサリヴァンがファイン・セーヴ。しかし、確実に得点の時が近づいてきていた。

 カウンター気味にボールを受けたミクがシンプルなドリブルで中央突破を仕掛ける。後半Scotlandにとって痛恨だったのが、このDFの前にできた広大なスペースだった。一人か二人のDFをすり抜け、右にいるヴィルトーに針の穴を通すような鋭いスルーパス・・・。そしてエリア内、右45°からヴィルトールの強烈なシュートが突き刺さった。シンプルながら本当に美しい得点。ミクのドリブル突破からスルーパス、そしてヴィルトールのゴール。絵に描いたようなゴールだった。このとき、私の右手、数mに一人で国旗をマントのように背負っていたFrance野郎が「ウオーッ!」と叫んで、周囲の失笑を買った。54分の出来事だった。

 その後も完全にFranceペース。Scotlandは前半のようにコンパクトにプレッシングをかけていくことができずに、Franceのやりたい放題にさせてしまう。60分には余裕なのかデシャンを下げて、アーセナルのヴィエイラを投入。ポジションは同じところに入った。64分にはプティのドリブル突破からアンリにスルーパスが出るも、サリヴァンがよく飛び出してなんとかカット。71分には左のウィングというポジションながら、よく仕掛けてチャンスを創ったデュガリーが下がって、マルセイユのピレスが入った。その後のシステムはというと、前線に張る形でアンリ。その下にミク。左右のウィングというかFWには、左にヴィルトール、右にピレスが入った。

 このヴィルトールとミクは本当に「今が買い」の選手だ。スピードもテクニックもあるヴィルトールもいいが、特に気に入ったのがゲーム・メイクもドリブルもうまいミク。そして何よりも、持ちすぎずこねくり回しすぎないシンプルさがいい。アルゼンチンのオルテガとは対極にあるプレーヤー。もっと名を挙げてもいい逸材だ。この二人は、必ず来シーズンにはより株を上げることだろう。

 Differnet Planet

 Scotlandはマッキャンが、エリア内でボールを受けるも、あっさりブランのカヴァーリングにあってチャンス消滅。また、人気薄のガラハーは79分にはお役ご免となった。たしかに暖かいScotlandサポーターだが、一枚岩ではないのもまた事実。というのは宿命のライバル、レンジャースとセルティックのサポーターに二分されるからだ。従って、レンジャース・ファンは、セルティックの選手が途中出場するとブーイングなのだ。そのため、スタンドでは右のヤツが拍手、左のヤツがブーイングなどといった、ちょっと変わった光景も見ることができる。

  さて、その後のゲーム展開だが、プティのCKからヴィエイラのヘディングが惜しくもDFにクリアされる。終いには、Scotlandサポーターは、Franceの鮮やかなワン・ツーパスに大拍手する始末(笑)。どう見ても勝てない相手だと悟ったらしい。

 80分を過ぎるとスタンドを後にする奴らが増え始める。顔にペイントをした熱心なファンも、Franceとの歴然とした差を見せつけられて諦めて帰りだした。「さて、おれも帰るかな・・・」と思い、席を立ちながらフィールドを見ていたとき、アンリの追加点が決まった。

 ヴィエイラが中央をドリブル突破して、エリア内まで持ち込む。詰めてきたDFがかろうじてボールをエリア外に弾く。そこへいたのがティエリー・アンリ。ダイレクトで放たれた右足のシュートは、カーブしながら低い弾道でゴール右隅に収まった。自分の席からシュートの軌道がちょうどよく見えたが、2点目もとても美しいゴールだった。アンリは、もはや完全なセンター・フォワードに成長したものだ。この日はポスト・プレーもうまくこなしていた。今やアーセナルには不可欠の素晴らしい選手だ。また、同じくアーセナルのエマニュエル・プティもやはりいい選手だ。ボールを奪う能力、相手のスペースを埋める動き。ロングパスもうまいし、CKのキッカーも担当する。さすが・・・、という感じだった。

 しかし、それはそれとしてアンリにそんなゴールを決められては、こっちとしてはもう帰るしかない。これでほとんどのヤツが席を立った。私がゲートをくぐった頃、ちょうど終了のホイッスルが響いた・・・。

 翌日の地元紙の一面の見出しは・・・、「Different Planet」(笑)!

 

  2000/4/22 - 29日にWOWOWでの録画放送を見て修正

 

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