桑ちゃん

今回のひとことは、桑ちゃんについてです。字体は似ていますが、柔ちゃんではありませんので、あしからず・・・。

桑ちゃんって誰? そう思う方々が沢山いらっしゃることでしょう。相当なれなれしい言い方ですし、親しみが湧きすぎる呼び方ですしね。ん〜 なんともわかりづらいですね。
答えは、読売巨人軍に所属する桑田真澄選手のことであります。
最近、いろいろ騒がれてますし、先発専念発言やローテに入れるのか? などなど厳しい話を耳にします。実は僕も同感です。まさに彼にとっての最大の逆境かもしれません。しかし、同時にこうも思います。そんな逆境だからこそ、“桑田選手は何かをやってくれるのでは?”そう思えてならないのです。今回は、そんな桑田選手についてのJUNのひとことです。

僕が最初に彼を観たのは、昭和58年の夏の甲子園、対 所沢商戦でした。これには、とくに深い意味はありません。ただ単に、僕が埼玉県民だったので、所沢の初戦をちょっと観ていただけなんですねえ・・・・。しかし、その時の対戦相手のPL学園のマウンドにいたのが、桑田真澄だったわけです。当時、彼は一年生。所沢びいきに観ていた僕は、なんともなめられたようなような気分になったものでした。ただ、試合が始まってからは、そんな気分も一変。なにせ全く打てないんですから・・・・・。あのヒョロっとした弱々しげな一年生ピッチャーにきりきり舞いさせられるわけです。今から思えば、当たり前のことなんですけど、なんともその時の彼のデッカイ投球フォームが印象に残っていて、その後の彼を追いかけた記憶がありました。ただ、当時の印象は、いかにも線が細くて、凄みは全くなかったんですが、とにかくフォームがダイナミックで体全体をバネにして投げていた投手というものぐらいでしたねえ。ただ、なんか気になってたんですよ、今から思うとね。
そして、その“気になっていた”ことがハッキリする日が来るのもすぐでした。
昭和58年8月20日、対 池田高校戦。
当時の池田高校といえば、“やまびこ打線”を前面に押し出した、最強の攻撃型チーム。しかも、甲子園夏・春を連覇中でもあり、誰もがよもや負けることなど思いもよらないような最強のチームだったわけです。エースの水野雄二(現・読売巨人軍コーチ)を擁した常勝軍団の勝ち方にむしろ注目が集まっていた大会でもありました。
しかし、そこにあの男が立ち塞がるわけです。あのヒョロっとした弱々しげな1年生投手が。
しかもこの試合では、投げるだけでなく、打つほうでも度肝を抜かれました。忘れもしない2回の桑田選手が放ったホームラン!あの水野投手の投げたボールを彼はレフトスタンドに叩き込んだわけです。このシーンを観た時のなんともいえない寒気のようなものは今でもよく覚えています。今から思えば、あの瞬間に新しいヒーローが生まれた瞬間だったわけですけどね。
そして、試合自体も彼は、強打・池田高打線を完封!なんともドエライことをやってのけちゃいました。しかも、なんともあっけらかんと、しかもあっさりと・・・。なんとも凄い男です。
その後の、彼の甲子園での活躍はご承知の通りだと思いますので、詳しくは書きませんが、(通算勝利・20勝、そして何と、通算ホームラン・6本 今でも僕には最強のスラッガーの印象があります。金足農戦の決勝ホームランはホント凄かったもん!)まさに清原選手と築き上げたPL時代の始まりでしたし、KKコンビなんて呼び方もこの頃からでしたね そういえば。


それから彼は読売巨人軍に入団し、数々の栄光を手にすることになります。
また、それと同時に、多くの批判も浴びました。僕はそのことに関しては、真実を知らない以上、こんな場所で書くことはしませんが、とにかくその頃のマスコミのバッシングは凄かったですし、現に彼自身も精神的に相当滅入っていたという話を耳にもしました。そういう中で黙々と結果を出そうとする彼の姿が印象に残っています。彼は多くを語るタイプではありませんし、どちらかと言えば口下手の部類に入る選手でしょうから、誤解を招くこともあったんでしょうが、そういうことに対して、ひたすら言葉ではなく、結果で見せようとした彼の姿勢が僕には、なんとも堪らなかったですね。(ますます、そんな彼に惹かれたJUNでした。)

しかし、そんなことよりも遥かに大きな試練がこの後に待っています。
例の右ひじの怪我です。おそらくそれまでにも何かしらの兆候はあったんでしょうが、怪我の決定的な原因にもなったといわれる“あのダイビング”の瞬間、今でもよく覚えています。そして、何よりもJUNの心を震わせたあの言葉が聞けた瞬間でもありました。
怪我をした後のインタビューで彼はこう語っていました。

桑田「なぜ、あの場面でファールチップを獲りに飛び込んで行ったんでしょうか? と何度も聞かれました。なにもあんな無理なことをする場面でもなかったでしょう? とも言われましたね。でもね、あれが僕の野球なんですよ。あそこで、もし、躊躇して、飛び込みに行かない自分がいたら、その方が寂しい・・・。あれは無意識だったですし、何の迷いも無かったんです。だから、その結果、怪我をしてしまったことは、もちろん残念だったですけど、あのダイビングに行ったこと自体を後悔したことなんてありませんよ。あれが僕の野球で、どんな場面でも決して力を抜かず全力でプレイしたいというのが僕の考えですからね。逆にいえば、それが無くなってしまったら僕ではなくなってしまう。僕は体も小さいですし、素質だって飛びぬけてあるわけじゃあない。そんな中で、とにかく必死に練習して、全力でやってきたことの結果が今の僕なんです。まあ、そうは言っても、手術が必要な程の怪我をしてしまったわけですから、今はそれを直すことに全力でやって行かなければ・・・・と思っていますけど。
試練ですよね これは。この試練を乗り越えることが今の僕には一番のやらなければいけないことですね。もちろん不安もありますが、人生にはいろんなことがありますからね」

僕はこの言葉を聞いたとき、涙が出ました。そんなことは初めてで、ここで書くことも恥ずかしいんですけど、でも、こんなアスリートがいるんだなあ・・・ そう思いましたし、それと同時に、こんな選手を知ることが出来て、しかも同じ時代を生きている素晴らしさを噛み締めた瞬間でした。

桑田ロードという言葉がありました。
リハビリ中の桑田選手が投げられない気持ちのままで、ひたすら黙々とグラウンドを走りつづけた。そして、その走りつづけた後の芝がはげてしまって、まるで一本の細い道(ロード)になったそうです。同じ場所の同じ道のりを走りつづけた彼の気持ちが、凄くよく分かる話ですし、その“桑田ロード”を観たとき、やっぱり熱いものが込み上げてきました。
アスリートが自分の信じた道というか、光を求めて、ただひたすらに打ち込む姿。しかも、怪我をして思うようにならない自分を感じながらも、決して自分の目指すものを見失わないように必死にもがく姿。凄すぎて言葉もありません。

そして、復活。彼のマウンドでの一連の仕草は単なるパフォーマンスを超えて、なんか“挫けそうな自分にずっと光として見させてくれていた復活のマウンドに対する感謝の気持ち”に見えました。そして、これからも全力でやろうという決意の気持ち。
そして、その時のJUNの気持ち、「ありがとう! 桑田真澄」

そして、現在。
また、新たな試練が彼を襲っています。
一体どうなるのでしょうか・・・・。不安? いやいや、僕はそんな彼のこれからが楽しみですけどね。だって、逆境とか試練ということを彼ぐらい真っ正直に受け止めて、全力でそのことにぶつかっていく選手を僕は他に知りませんからね。
そんなわけで、彼が、どんなパフォーマンスを見せてくれるのか が今の僕の楽しみでもあります。
様々な試練(PL時代の投手失格のレッテルからの発奮。ドラフトやその他の疑惑騒動。右ひじ手術からの復活。そして、今。)を乗り越える彼の姿をじっくりと観ましょう!

そして、僕が一番彼の言葉で好きなものをひとつ。 
「僕は、PLに入ってから、ず〜っと清原をどうやったらうちとれるのか? を考えながらやってきました。あの日本一のバッターを抑えるためには何が必要なのか?何が今の自分に足りないのか?そんなことをずっと考えながらやってきたんです。だから、清原がいなかったら今の僕はいないし、清原もそんな風に感じてくれているんじゃないかと思いますけど。」
僕はこの言葉が大好きで、KKとか永遠のライバルとか言われる二人のもっと“言葉では言い尽くせないもの”を感じるんです。
その清原選手が苦しみの中で復活に一歩を踏み出そうかとしている今、対する桑田選手はどう思っているでしょうか?
きっと、“負けられん!”と思っているに違いありません。
あの甲子園の舞台で、ふたりはホームランの数を競い合ったそうです。あんなに苦しい練習をしながら掴んだ甲子園の大舞台では、その苦しさを出すでもなく、プレッシャーに押しつぶされるでもなく、その場面をある意味、楽しむ部分があった。
しかし、現実問題として、今のふたりにはそんな余裕は無いのかも知れません。
ただ、そう思ってるのは僕たちだけで、結構、スレスレのところで楽しんでいる彼らがいるのかもしれないなあ・・・ とたまに思ったりもします。
だって、まだふたりの夢は叶えられていませんからね。
桑田が投げて、清原が打つ。
その夢が叶う中での優勝を僕は観てみたいです。
夢は、ずっと持ちつづけるもの。あのPLのグラウンドで会った時から始まった、このふたりの奇妙な関係。
桑ちゃん、キヨマーなどと甲子園の雑誌では呼ばれていたふたりが、本当の意味で、コンビを組んで、優勝という夢に向かって驀進する姿が観られる日を楽しみにしたいと思います。
 
その時の彼らはどうするのかなあ?
甲子園の時のように泣きながら抱き合うのでしょうかねえ・・・・。
とにかく、このアスリートに注目しましょう!!


ちなみに、僕は巨人ファンではありません。ただの桑田ファンです。
そして、年上の桑田選手に対して、“桑ちゃん”はないだろ!
と自分のことながら反省しております。まあ、そのぐらい大好きなんです。ご容赦くださいね。