イタリア研修旅行記

中華レストランにて  十二月一日から八日の間、イタリア研修ツアーに参加しました。内容は、試合観戦とセリエAのビッククラブの施設見学などでした。
 毎年春に三井が遠征する際に面倒を見てくれていたドッタビオ氏がイタリアオリンピックチームからインテルのフィジカルコーチに就任したために、急遽予定していたナポリからミラノを中心としたスケジュールに変更になりました。冬のミラノは寒さが厳しく、ナポリの温暖な気候の中でピッツァマルガリータでも食べようとしていた我々には、インテルVSユベントスという好カードが見られるようになったものの寒さとの戦いが待っていました。
ドッタビオ氏の講義  初日、ミラノのマルペンサ空港につき宿泊先のホテルに移動しました。その後、夕食においしいイタリア料理を食べようと外出しました。しかし、どこに行ってもイタリア料理店はない!あったと思ったら閉店していて、結局中華レストランに入り、食事をとることになってしまいました。せっかくイタリアに来ているのにここはいったいどこなんだ。この旅がどうも順風満帆にはいかないという悪い予感が早くもしてきました。
 二日目の朝には、ドッタビオ氏の二時間あまりの講義があったのですが一度の休みもありませんでした。私は思わず講義の間,たばこが吸えない人のために新しいパイポを発明してしまいました。(詳しくは同行した石渡くんに聞いてください。商品化すれば大ヒット間違いなしかも。)本当にサッカーの勉強をするのは大変なことです・・・。
インテル練習風景 記念撮影
その後に雨の中ミラノの寒さに震えながら、インテルの練習見学をしました。そこで私はなんとインテルの秘密がわかってしまったのです。何度も言いますが指導者の研修は、実は大変なことなのです(笑)
インテルVsユベントス01  次の日は、とうとうインテルとユベントスというセリエAの中でも最も豪華な試合の観戦となりました。前日に練習見学をさせてもらったインテルを応援していたのですが、正直インテルのチーム状態はあまり良くなく、ホームにもかかわらず二点のビハインドを負う格好となりました。結果としては二点を返し、何とか引き分けに持ち込めたものの、内容はユーベに圧倒され余りよいとはいえません。インテルは、その名前の通りインターナショナルなチームで世界中の名選手が集まってチームが構成されています。試合にはでていませんが、世界で最も有名な選手の一人であるロナウドもインテルに所属しています。ブラン、ビエリ、シードルフ、レコバといったビックネームがサンシーロスタジアムのグランドに立っているのですが、彼らが調和したハーモニーを奏でることは結局一度もありませんでした。逆にユーベはインテルと同様にフランス人のジダン、トレセゲ、オランダ人のダービッツと外国籍の選手もいるのに長い間メンバーを固定してきたためか前述の選手にデルピエロを加えた攻撃には国籍を超えた調和が見られ、まるでボールを使って会話が進んでいるような感じさえ与えてくれました。
インテルVsユベントス02 インテルVsユベントス03
 前のジェフ監督のザムフィールは、バルカンのマラドーナと言われたハジを育てたことで有名です。彼は、練習の際に常にシンクロが必要だと選手たちに言っていたということをここで思い出しました。普通、シンクロというとシンクロナイズドスイミングを思い浮かべることでしょう。オリンピックでのあの同時に水面から突き出された太ももを思い浮かべる人も少なくないかもしれません。勿論、シンクロというのは良く鍛えられた太股のことではありません。サッカーの中でもこの言葉はパスの出し手と受け手のタイミングが調和するということを意味しています。まさにこのゲームの中でユーベの選手たちはシンクロと言う言葉にふさわしい、コンビネーションを見せてくれました。このゲームの中でサッカーの本当の意味のシンクロを見たような気がします。
ASローマの練習風景  この後にASローマの練習見学などもあったのですが、私は別件の用事もあり、中田が練習する場面もすばらしい施設も見学することはできませんでした。相変わらず、中田選手は日本人とは目を合わせなかったそうです。
 ローマではチャンピオンリーグのラツィオVSリーズを観戦しました。ラツィオのファンは人種差別的な行動をとることが多く、この日もリーズの黒人選手がボールにふれるたびにブーイングを浴びせていました。ラッツィオの選手の中には黒人の選手は見られず、過去にはビンテル(オランダ代表の黒人選手)などもいたのですが、どうもこうしたサポーターの雰囲気にはなじめなかったようです。サッカーは世界中のすべての国で行われる唯一のスポーツであり、サッカーを通していろいろな国の人々と交流が持てるようになると信じている私にはとても残念でした。
 残念なことがもう一つ。「最後の晩餐」が展示されている教会まで雨の中出かけていったにもかかわらず、予約がないので見ることができないといわれてしまったことです。なんで絵を見るのに電話の予約が必要なのか・・・(ブーイングはこういうときにするものだ!)
 その他に、イタリア人のフットサルチームや指導者チームとゲームをしたり、ミラノの大聖堂やバチカンなども訪れ、ローマ法王が二千年の祝典を行っている場に居合わせるなどといった貴重な体験もできました。いろいろな形でサッカーや文化に触れられたのですが、とてもハードなスケジュールでもありました。
 最後に、私がイタリアで見た練習やゲームから感じたこと、そしてイタリアという国の文化から醸し出されるカルチョ(サッカー及びフットボールという言葉を使わないのはイタリアだけである)の雰囲気というものを三井の選手たちにどう伝えてあげられるのか?これが2001年の私のテーマの一つになりそうです。


千野 徹