イタリア研修記 2004 |
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三井千葉JYチームが春休みにイタリア遠征を開始して今年で6年目となる。昨年
春JY担当となる時にイタリア遠征帯同の話も頂いたのだが、私自身がJYを1年間指
導した上でイタリア遠征に帯同したいと考えたため2年越しのイタリア遠征帯同と
なった。海外には今まで1996年のイングランドでの欧州選手権、2002年韓国でのW
杯観戦と2回程行ったが、選手達を引率して海外遠征に行くのは初めてで出発前は
やはり不安もあり緊張した。 出発当日の天気はどんよりとした曇り空であった。成田空港で選手達と合流した 時にはこれから始まる遠征に私も選手達も期待に胸が躍る出発となった。成田出発 後、約11時間でコペンハーゲン空港に到着、飛行機を乗り換えてミラノへ。空港か らミラノ市内のホテルまでは約30分くらいだったためそこの移動はきつくなかった が長旅の疲れもありホテル着後選手達はすぐに就寝した。 翌朝、朝食で選手達と会った時には全員睡眠もしっかり取れたようで元気に朝食 を食べていた。朝食後モデナで昼食と遠征初戦を行いキャンプの拠点地となるラベ ンナに向かった。今回のキャンプはボローニャを州都とするこの地域で行なう予定 だった。ところが、前週の雪の影響でセリエA以下のリーグ日程も我々が訪問した 週内の平日に延期となって行なわれることとなり、セリエ下部組織同年代のチーム との試合が組めなくなってしまった。そのため、対戦相手のスケジュール内容が変 更となり、ラベンナでのトレーニングおよび遠方への日帰りバス遠征が多くなる日 程になってしまった。バスでの移動時間は選手達には体力的な負担が掛かったかも しれないが、車内では私のアシスタントとして遠征に帯同してくれた木村コーチが 選手達に大学生活での話や、通訳の竹口陽さんがクイズ大会を実施してくれてコミ ュニケーションをとり楽しい時間となった(黒田がセリエA博士でクイズに全問正解 したのには驚いた)。バスから見える風景ものんびりとした自然が多く時間の経過 を忘れさせるような感じがあった。 対戦相手に関しては日本で新人戦を鹿島、柏、JEFといったJリーグ下部組織チー ムとの連戦を重ねてきた事もありセリエ下部組織チームとも対戦してみたかったが 残念ながら叶わなかった。
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![]() 4試合ほどイタリアのチームと対戦したが遠征最終戦のBASSANO VIRTUSは州の2位 チームと言うことで明らかに他のチームとはレベルが上だった。1人1人のキックや トラップなどの精度も高くシンプルにゴールへ向い我々の守備ラインの裏を狙って きた。試合は、前半0対3から山田が40m近くの直接FKを決めてからチームが息を吹 き返し、その後3点を取って逆転勝利を飾ることができ、今回の遠征を4戦全勝で終 えることができた。ところで、この試合は公開試合とのことで新聞社が来ていて試 合途中で両チームの選手・STAFF全員で記念撮影を行なった。私は 「日本から来た少年達のために素晴らしい環境の中で試合をできる機会を与えて 頂き、ありがとうございます。彼らにとって人生の中で非常に有意義な経験と なるでしょう。」 と激励に来てくれた議員や記者たちに挨拶した。この試合を視察してくれたイタリ アサッカー協会セルジオコーチも 「局面での激しさや勝利へのスピリットが背番号10番の選手(山田)を中心に三井 の選手達から感じられ、とても良い試合だった。」 と評価してくれた。私は今年1年間JYの選手を指導してきて、これまで三井の選手 達が持っている相手の逆を取ることの中にサッカーの楽しさや本質があることをベー スとした上で@前線からのプレスやゴール前での粘り強く激しい守備(ボールの取り 合いやヘディングの競り合い)、A攻守の切り替えの早さとB多少長めのボールも入 れた大きな展開等ができるようにしたいと練習してきたが、このイタリア遠征でも 充分通じていた。ただ攻撃面では単調になるときも多く、相手の力を利用して中央 を崩すことができずにいる。これがこれからの課題ではないだろうか。
試合会場は天然芝のグラウンドで、また、ロッカールームやシャワールームがあ
るなど、どこも素晴らしい施設であった。選手達は試合前、自分達より体格もり、
しかも知らない相手で少し弱気になっているようだったため、常に声を掛け集中さ
せて試合に臨んだ。試合後は相手チームからケーキの差し入れがあったり、お土産
交換などで同年代の選手達と交流を積極的にはかることができ、イタリアに遠征に
来て一番有意義だったのではないだろうか。
イタリアでは選手を育成していく上で1日1試合しか試合を行わないということに
なっているらしい。試合数や時間を長くして選手にケガが出た場合、コーチの責任
になってしまうそうだ。アップも短時間で行ない、試合を終えたらすぐにシャワー
を浴びて着替える。試合も交代メンバーを入れ全員を1試合の間に出場させていた。
今回の遠征には20名の選手が
参加していたので、通訳の方には試合数や試合時間を多くしてもらえるよう交渉し
て頂き、全員を試合に出場させることができたが通訳の方々には本当に感謝してい
る。ラベンナ郊外のクラブでのイタリア人コーチマグリーニ氏の練習は基本練習が
ほとんど中心だった。マグリーニ氏は60歳くらいのベテランのコーチで、この地方
の少年育成で最も経験があ
り、トライアウトに参加するプロの選手の指導も行なっているそうだ。アシスタン
トとして若手のロッシコーチと現役を退いて2年程のインテルでの選手経験もある
GKコーチのボッシ−ニコーチが我々の練習を見てくれた。GKの練習も基本的なキャ
ッチングやセービング、クロスボールの処理などだったが毎回2時間くらいみっちり
練習していたのでGK辻には充実していたようだ。マグリーニ氏は常に自分で動いて
見本を見せて、選手に説明していた。また、キックやボレーなどは非常に正確だっ
た。
![]() 見学したボローニャの練習は(残念ながら中田選手はW杯予選シンガーポール戦の ため不在)、2チームに分かれてパスゲームに始まり途中で山道を10本くらいダッシ ュした後、紅白戦を行なっていた。プレーのほとんどが1タッチ2タッチでシンプル にプレーしていたがトラップやキックの精度はとても正確だった。
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![]() セリエAのペルージャVsラッィオ戦も観戦したが、やはりパス回しなどはとても速 くて強く正確にボールを動かしていた。遠征中、対戦チームのイタリア人選手もあ まり長くボールを持つということはなく、ボール扱いが柔らかいとかドリブルが上 手いという選手は正直いなかったように思う。
ホテルの朝食はパンにフルーツジュースやカフェという程度(イタリア人は朝食
をあまり食べないらしい)だったが、昼食は全てレストランでパンやパスタ、肉料
理や魚料理がでてくるなど豪華であった。夕食はホテルでの食事だったが昼食と似
たような料理だった。ラベンナやボローニャでの市内観光では選手達はイタリア語
を駆使して買い物や会話を試み
ようとしていた。参加した選手にとっては歴史の異なる文化に触れ、とても良い経
験になったのではないだろうか。選手達にはこのイタリアキャンプの経験がこれか
らの生活や世界観に良い影響を与えることを期待する。
また今回の遠征の趣旨にご理解頂き、選手を送り出して頂いた保護者の皆様、キ
ャンプに関してお世話になった関係者の皆様、キャンプ期間中、年度切り換えの最
多忙時期に日本で活動していたSTAFFの皆様に貴重な機会を与えて頂き、改めて心
より感謝申し上げます。三井千葉SC 石川公久 【総括】 期日 :2004年3月25日(木) 〜 4月3日(土) 参加者 :三井千葉SC (1989年度生まれ) 安宅広海、生方翼、大倉祐輝、 川原慎司、菅健人、黒田翔平、紺野開之、佐久間慧、白澤隆、 関谷政志、高柳直矢、辻勇伍、坪田景知、矢吹直士、山田拓巳、 小野寺智彦、嶋田修三、藤澤誠、中川裕貴、脇迫翔平、以上選手20名、 コーチ 石川公久、木村考佑 試合結果: Vs POLISPORITIVA89 2 - 0 (得)安宅、生方 Vs EMILIA ROMAGNA89 3 - 0 (得)川原、生方、菅 Vs VOLTANA87/88 4 - 1 (得)生方、藤澤、山田、佐久間 Vs BASSANO VIRTUS89 4 - 3 (得)山田、藤澤、高柳、菅 |