韓国レポート その2

韓国Vsクロアチア@ソウルワールドカップスタジアムのパンフレット裏表紙韓国Vsクロアチア@ソウルワールドカップスタジアムのパンフレット表紙
 日本でワールドカップのチケットを入手することができないので、来年は韓国で観戦しようと考えて、韓国の友人を通じてチケットの手配をしてもらいました。今回は来年の準備及び視察をかねての訪韓となりました。11月7日に日本を出て、8日の韓国対セネガル戦と10日の韓国対クロアチア戦を観戦してきました。
 二度目の韓国ということもあり、今回はハングル語も少し勉強していきました。韓国では、前回お世話になった金さん、李さんそして金さんのお母さんにも再会しましたが、わたしのハングル語の上達ぶりにはとても感心してくれていました。どうも自己満足でしかないかと心配でしたが、帰国後すぐ日本サッカー界きっての韓国通と言われているベルディの都並と会いましたが、彼がわたしの発音がとても良いと言ってほめてくれました。勿論、彼自身も韓国人から発音がよいといわれているとのことでした。実は二人ともお世辞を言われているだけなのかもしれませんが、気分を良くした私は来年に向けてもう少しレヴェルアップをはかろうと努力をするつもりです。

 チェンジュスタジアムでの韓国対セネガル戦をみにいきました。テロ対策などのために競技場の上空を飛行禁止区域にするなどの厳戒態勢がとられていると聞いていたのですが、手荷物のチェックぐらいで、あっ気なく入場することができました。この日の韓国チームのメンバーですが日本でプレイしているホンミョンボ、ユウサンチョル、チェヨンス、パクチソンらは出場せず、ベストの布陣にはほど遠いメンバーになっていました。対戦するセネガルは日本がフランスで戦い、0−2で敗戦しているチームです。個人技があり、フィジカルが強くとても素晴らしいチームとの印象を持っていました。ゲームは前半終了間際にコーナーキックからこぼれたボールをセネガルに蹴り込まれ0−1で地元韓国が敗れてしまいました。これで、セネガルは2002年のホストカントリーとなる日本、韓国の両方のチームを退けたことになりました。地元開催に向けて国をあげて強化をはかっているチームに連勝したことと、アフリカのナンバーワンチームと評価されていることを併せると、セネガルは本大会では台風の目になりそうです。とくにフォワードのディウフは抜群のテクニックを誇り、大会終了後にはヨーロッパの名門クラブからの誘いが殺到しそうです。私はアジアのチームがアフリカのチームと対戦するときはボールを奪う際に、必要以上に体をぶつけないようにすべきではないかとの印象を持っていました。確かにトルシエ流のディフェンダーに激しく体をぶつけることを要求するやり方や韓国の激しい中盤でのプレスなどはアジア、南米、ヨーロッパのチームに対してはとても効果的であり有効です。しかしアフリカのチームに対しては、バランスを崩させるためのチャージが逆に作用したり、体力を消耗したりする結果になってしまいます。アフリカのチームは本来持っている肉体的能力に加え、技術も世界的なレベルまで高められているし、問題点であった組織力もヨーロッパの指導者を招き解決してきています。しかし判断のスピードという点では南米やヨーロッパのトップレベルにあるチームの域までは到達していません。守備の時にもう少し時間をうまく使い、「早めに相手の攻撃をくい止める。」という考え方ではなく、「多少の遅れはあっても組織的に守備が出来るタイミングを待つ。」といったやり方の方が効果的に思えました。とは言え、12月の抽選会ではセネガルは日本のグループに入ってほしくない国の一つであることは間違いありません。
 試合終了後、スタジアムから無料のシャトルバスがでているのですが、大変な混雑で金さんがハングル語で係員にバスの行き先を聞いたのにもかかわらず,ホテルとは全く違う場所に着き、おろされてしまいました。しかも其処までつくのにも大変な渋滞で一時間ぐらいかかってしまいました。またここからが大変で、ホテルまで行くタクシーを拾おうとするのですが、他の人達も同様にタクシーに乗ろうとするためにいつまで待ってもとても拾えそうにありません。そこで、食堂に入って時間をつぶしてからタクシーを拾うことにしました。店はすぐに見つかったのですが、飲み物は総て売り切れで食事以外は出来ないと言われてしまいました。ところが帰りが遅くなることを予測して食事は試合前に済ませていたので困っていたところ、食事をしていた人が「私の焼酎とつまみが余ったのでどうぞ。」と言ってくれました。全く知らない人にそこまでしてもらえないと断ったのですが、どうしても自分独りでは飲みきれないといって勧めてくれました。遠慮しながらもご馳走になっていると、別の人がそれではたりないとばかりに、わたしのも飲んでくれと持ってきてくれました。よく考えると、食堂のお酒が総て売り切れになると言うのもおかしな話ですが、図々しくご馳走になってしまいました。そろそろタクシーも拾えそうな時間になったので、店の人に感謝の気持ちとしてチップでも置いていこうとしましたが、帰った人にお金はもらっているのでその必要はないと言われ、どうしても受け取ろうとしませんでした。前日からの移動の連続で疲れているうえに、タクシーでホテルについたときには深夜になってしまいました。しかし旅先で人の親切に触れることができ、とても気持ちの良い気分になれ、ゆったりと眠りにつくことが出来ました。

牛のような鹿がいる牧場のパンフレット 写真左から筆者、金さん、李さん

 翌日は金さんのお母様に会いにテグ市に向かいました。体の調子を崩していて療養のために空気の良い弟の牧場に来ているとのことでした。心配しましたが、お会いするととても元気でお互いに半年ぶりの再会を楽しむことが出来ました。この時に招待してくれた家がとても大きく、猟銃が並べられている部屋や、珍しい石が陳列されている部屋などがあり、まるで博物館の中にいるようでした。しかも牧場の敷地は何キロにも及び、中国から連れてきた、見たこともないような大きな鹿や孔雀などもいてまるで動物園のようでした。信用してくれないかもしれませんが、この鹿は本当に大きく、まるで牛のようです。本当は牛の頭に鹿の角をつけて大鹿といってだましているのかと思いました。とても名残惜しく、もう少し時間をかけて色々と探索をしたかったのですが、それにもう少し時間をかければ角が逆向きの鹿?や「モォウ〜」と鳴く鹿?にあえるかもしれないと考えましたが、ソウルに試合を見に行くために出発しました。高速バスで4時間かけてソウルに入り、李さんと再会することが出来ました。

ソウルワールドカップスタジアム入場門筆者@ソウルワールドカップスタジアム

 ソウルワールドカップ競技場では韓国対クロアチア戦の観戦です。ヒディング監督は前日のチェンジュでのゲームで、試合前のセレモニーやハーフタイムショウについて「サッカー場はナイトクラブではない!」とコメントしているのが新聞に紹介され、非常に神経質になっている様子でした。特に前の試合でハーフタイムにショウをしている人とアップをしている選手が交錯してしまうというアクシデントもあり、敗戦という結果も手伝い、運営サイドに対して不満をむき出しにしていました。しかしこの日も韓国ではヒディングの意向は一切無視し、試合前のセレモニーは一時間半にも及び韓国を代表する歌手が次々に歌を披露し、さらにソウル市長、チョモンジュ会長、キムデジュン大統領の挨拶までありました。明らかに韓国ではこの試合を国家的なイベントと考え、国民のお祭りになっていました。ところでテロやフーリガン対策に厳戒態勢でのぞんでいる主催者が花火を打ち上げるのにはいつも驚かされます。この日も次から次ぎへと打ち上げられる様子を見ながら、こうした無神経な運営の仕方にはあきれてしまいました。日本も全く同じでトヨタカップでもはでに花火を打ち上げています。この点についてはヒディングの言うとおり、自粛した方がよいと思いましたが、そのほかのイベントについては、私も結構楽しめました。試合は立ち上がり、ペルージャで中田とコンビを組んでいたラパイッチを中心とするクロアチアが、自信を失い神経質になっている韓国を翻弄していました。しかしクロアチアはトゥドール、ボクシッチ、ヤルニ、スーケル、プロシネツキといった中心選手が韓国側からの要請にもかかわらずチームに合流していません。特にフォワードにスターがいないためにクロアチアの攻撃もフィニッシュにまではいたりません。韓国チームも攻撃のかたちを作ることができないのですがチェテウクのペナルティエリアの外からの見事なシュートが決まり、ここからスタジアムを埋め尽くした観客のテーハミング(大韓民国)の大歓声に後押しされた攻撃をくりひろげます。特にフォワードのアンジョンファンは前回のゲームと同様に好調で、ヨーロッパのディフェンダーに対しての距離感がよく、ボールをとても良い位置においてしまうためにボールを失うことなく、うまく攻撃の起点となっていました。得点がチームの自信を回復させると言った意味では、この試合はまさにその好例といえるでしょう。この後コーナーからも得点を重ね、クロアチアの攻撃も完封してしまいました。韓国はコンフェデレーションカップでフランスに大敗し自信をなくしていましたが、この試合で自分達が持っていた潜在能力にもう一度気がついた様子でした。しかし欠点も大きくクローズアップされていました。ヒディング監督はショートパスを使い、韓国のタテに早くボールを入れるというサッカーを改善しようとしています。しかしフィニッシュに優れるこのチームも、ミッドフィールダーに創造力のある選手がいません。フィニッシュの一つ前のラストパスにはひらめきや輝きをみせることはありません。これならば従来の速めにフォワードにボールを入れ、その決定力に頼るサッカーの方がよいのではないかと感じました。

202mの噴水  スタジアムはとてもアクセスがよく駅の目の前にあります。その隣には川が流れていて、世界最高の高さを誇る噴水がありました。その高さは2002年のワールドカップにちなんで、202メートルにも及ぶとのことでした。私が隣にいる金さんにワールドカップにあわせたのなら2002メートルではないのか?と尋ねたところ、その通りですが、そんなことをしたら韓国はつぶれてしまいますと笑っていました。冗談はさておき、この噴水はレーダー光線でライトアップされ本当にきれいで、是非スタジアムを訪れたときには試合とは別に見学することをおすすめします。帰りは混雑のために遅くなることを覚悟していましたが、軍隊が駅構内をしっかりコントロールしているために満員の電車に乗ることもなくスムーズにホテルまで戻ることができました。

 4泊5日で韓国のソウルからプサンへ、そしてまたソウルへと韓国を二度縦断するというスケジュールはかなりハードなものでした。しかし念願のオンドルパン(床下暖房の部屋)にも宿泊できたし、全州で本場のビビンパも食べることができました。そして何よりも、来年のワールドカップの前に二つの競技場のこけら落としに立ち会え、試合を見られたことは本当に貴重な体験となりました。
カムサハムニダ!


千野 徹

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