韓国ワールドカップの旅 その3

その1     その2     その3     写真集

 ヨルブン アンニョンハセヨ!韓国の旅はさらに続きます。ガイドも帰り、わずか8名での家族的な雰囲気での旅行となります。エスコートをしてくれているキムさんのふる里のテグをぬけて、新羅の都であった慶州(キョンジュ)へ向かいます。キョンジュの案内はキムさんのお母さんがしてくれる予定で、お会いするのを楽しみにしていたのですが前日に体調を崩されたとのことです。とても残念ですが再会することはできませんでした。キョンジュは韓国の京都と呼ばれている所で、私にとっては3回目の訪問となります。まずは世界遺産の仏国寺(ブルグクサ)です。次に古墳公園にある天馬塚の見学です。さらにアナプチ、そして東洋最古の天文台といわれているチョムソンデを訪れます。(これらの場所は韓国レポートですでに紹介済みです。興味のある方はホームページを見てください。)昼食には色々な種類の葉っぱがでてきて(本当に葉っぱなんです)、これにコチジャンを塗り、ごはんと色々なおかずを巻いて食べます。とてもヘルシーで、食も進みます。韓国と日本の料理は似ていて共通点も多いのですが、食べ方はかなり違っています。韓国ではとにかくこのようにおかずとご飯を一緒に巻くか、混ぜるかということになります。日本ではおかずは一つずつ味わい、ご飯もお米そのものの持っている味を楽しみます。料理の素材はほとんど同じなのですが、いくつかの味を混ぜ合わせればさらに美味しいものが生み出されるという韓国の考え方と、素材そのものの味を大切にするという日本の考え方とには大きな違いがあります。この考え方の違いが習慣や文化にも微妙に反映されているように思われます。
 この日は、日本とトルコの16強戦です。早めに観光を切り上げて、ホテルの温泉とサウナで身体を清めて万全の体制で試合観戦に臨みました。ところが日本のスターティングメンバーを見て信じられない気持ちになってしまいました。フォワードに西沢とアレックス、ともに予選ではスタメンに名前があがっていなかった選手の起用です。特に西沢は初めての出場です。不安は的中しました。西沢はゲームに入れません。しかしけがの功名でしょうか。アレックスは日本人ではないために、唯一人、日本のサポーターのプレッシャーを感じることなく生き生きとプレイしています。前半に失点をした日本は後半にメンバーを入れ替えなければ逆転はありません。メンバー変更を自分の中でシュミレーションしてみます。西沢に変えて柳沢または森島の投入が考えられます。次に攻撃面で機能していない右サイドの活性化です。小野を右にまわすか、市川を明神と替えてそのままプレイさせることが考えられます。後半がスタートしメンバーの顔が映し出されます。驚いたことにアレックスがいません。市川の顔が見えて少し不安が解消されます。ところが明神もグランドにいます。市川は誰と替わったのかと思ったらなんと稲本とでした。勝っているゲームなら理解できますが、得点が必要な状況で現時点ではチームの唯一ともいえる得点源の交替です。トルシエはプレッシャーに負けてこの大切なゲームを投げ出しました。この時点で私には、なにも期待するものはなくなりました。後は虚脱感とともにタイムアップの笛を待つだけでした。

 夜は気持ちをとりなおして、韓国の試合をホテルのレストランで見ることにしました。しかし、我々がそこについたときには既に座る場所もありません。あきらめてホテルの部屋で見ることにしました。みんなで一つの部屋に集まり、試合観戦です。イタリアを相手に韓国は先取点を奪われても最後まであきらめず、終了間際に同点に追いつきます。最後はアンジョンファンのゴールデンゴールで強豪イタリアを退けてのベスト8入りです。ホテルのレストランは大騒ぎです。あちこちからテーハミングの合唱が聞こえてきます。フロントには人がいなくなっています。ヒディングは最後まで勝利に向けて全力を尽くしました。韓国が8強入りして本当に良かったと思う反面、どうしてトルシエは森島をもっと早く投入しなかったのかとまた日本の試合を思い出してしまいます。もう後には戻れないことはわかっているのですが、韓国人の喜んでいる姿を見ていると、日本のサポーターもこんなふうに狂喜できたのにと、どうしても考えてしまいます。ヒディングとトルシエの采配の差がそのまま勝負の結果となりました。韓国はヒディングその人に監督を依頼したのですが、日本はベンゲルに断られ、彼の紹介でトルシエを迎えました。一国の監督を迎えるのに人の紹介で決めるという協会の姿勢に問題があり、ついにその付けが回ってきたようです。つまり、導入の段階から間違えがあったのです。最初が間違っていれば、結果も望むべきものにはなりません。

 翌日は農家のような所で朝から豆腐鍋です。朝食後、キョンジュ観光に出かけます。世界遺産のソックラムに行き石窟庵を見学します。山道をかなり歩くことになるのですが、伊藤さんは今日もサンダルです。とても歩きにくいのではないかと思うのですが、みんなと同じペースで何食わぬ様子で観光に付き合っています。伊藤さんは旅行会社に勤めていたこともあり、海外ツアーのコーディネイトの経験も豊富です。滞在も長くそろそろ疲れもたまってきているはずですが、さすがに旅なれていると感心させられました。次にキョンジュ国立博物館に行きました。ここではリーさんが活躍してくれ、ガイドの代わりをしてくれて展示されている壺や刀などの解説をしてもらいました。観光を終え、食べ過ぎと運動不足を解消するために、ホテルにあるテニスコートのようなところでフットボールテニスと3対1を福田さん、石渡君、佐藤君としました。軽く体を動かそうと思っていたのですが、いつのまにか夢中になり、気がついたら2時間半も経過していました。あわてて部屋でシャワーを浴びて外出の準備をすませます。夕食はキムさんのいとこのお店へ行きました。知り合いということもありサービス満点です。ブルコギ、魚、チジミ、春雨、小豆ご飯、生朝鮮人参ジュース・・・・デザートはスイカです。ペガブルロヨ!

 翌日は釜山(プサン)へ移動しました。デパートを中心にショッピングをします。夜は海岸の見える食堂で刺身三昧です。鯛、ひらめ、ほやが食べきれないほど出てきます。厚かましいとは思いましたが、伊藤さんがデパートで買ってきた赤ワインをここで飲んでも良いかとお店の人にきいてみました。日本であれば間違いなく嫌な顔をされるところです。ところがお店の人は嫌な顔をするどころか、ワイングラスまで用意してくれます。本当にどこでも韓国の人はとても親切です。さらに刺身にした魚の頭と骨は鍋にして、ご飯と一緒にだしてくれます。サービスもよく、飲み物の持ち込みもきいたとはおもいますが料金もとても安く本当に幸せな気持ちにさせてくれます。気持ちよくみんなで夜のプサンの海岸を散歩してコーヒーを飲みに喫茶店にはいりました。韓国は何でも美味しいのですが、唯一コーヒーだけは美味しくありません。できれば美味しいコーヒーを飲もうと言うことで、ブルーマウンテンを頼みました。さらにいつも味が薄いので、キムさんがダメを押して、店の人に豆を多めに使ってもらえるようお願いしています。しかし、出てきたコーヒーは・・・・?韓国のコーヒーはまずい!マドプソヨ!

 翌日は昨晩宿泊した眺めが良いプサンマリーナホテル(夜になると眺めの良いお姉さん達が待ち受けている)を我々の旅行の趣旨に合わないので、急遽キャンセルしてプサン観光ホテルへ移動しました。理由は聞かないでください・・・。その後、プサンタワーに行きますが、佐藤君と石渡くんは高所恐怖症です。佐藤君は特にひどく、そわそわして歩いたらどれくらいかかるか解らない階段を無謀にも自力で降りようと考えています。本当に怖いのでしょう。後10分も引き留めれば、間違いなく暴れていたでしょう! 今日はウルサンで8強戦のドイツ対アメリカの観戦です。ウルサン市内に早めに移動し、公園の中に設置された大きなスクリーンでブラジル対イングランド戦を観戦します。ブラジルの勝利を確認した後、競技場に入ります。今回これで韓国の5つの違う会場を訪れることになるのですが、どの会場もきれいでとても試合も見やすく作られているのには感心させられました。試合の立ち上がりはアメリカが主導権を握ります。ビッグチャンスもありますが、ドイツの守護神オリバーカーンの信じられないようなファインセーブにアメリカは得点をはばまれます。ドイツはセットプレイからチーゲがゴール前に入れたボールをバラックがヘディングで押し込み、この得点を守りきり1−0で勝利です。試合後のバラックのインタビューもそうですが、相手ゴールキーパーまでカーンのプレイを絶賛していました。アメリカはとても良いチームでしたが、極端な言いかたをすればたった一人の選手に負けてしまいました。

 22日、今日で韓国ツアーも終わりとなります。プサンのジャガルチ市場でショッピングそして昼食です。生け簀の中を泳いでいる魚をその場で料理してもらいました。これが韓国での最後の食事です。出てきた料理はマシケッタ。食べてみればマシッソヨ。今回のツアーでは本当に色々なおいしい食べ物を満喫することができました。韓国料理は裏切りません!
 空港へ早めに移動して韓国がスペインと対戦するゲームを見ました。空港に設置されたテレビの前で韓国の人と一緒になっての観戦です。我々以外の日本人も観戦しています。韓国人だけでなく日本人も韓国チームを応援しています。両国の間にあった深いミゾを思うと大会前には予想できなかったことです。サッカーがお互いの国の距離を間違いなく近づけてくれているのを実感しました。ゲームは延長戦に入っても決着がつきません。飛行機の搭乗時間も過ぎています。続くPK戦は出国手続きを済ませてから、免税店の前にあるスクリーンで見ました。免税店には店員はいません。搭乗も始まりません。勿論すべての人が画面に釘付けです。韓国の勝利です!涙を流している人もいます。飛行機の出発時間は6時30分です。すでに6時15分をまわっています。係りの人も搭乗客も走るように飛行機に向かいました。そのとき一緒にいた伊藤さんが飛行機の整備員の姿が見えないことに気づきました。間違いなく我々の乗る予定の飛行機は整備がされていないと思います。アイゴ!
 しかし、韓国を後にするぎりぎりの時間まで韓国の国民が心から喜んでいる姿を見ることができました。この場所を離れるのはとても辛いのですが、人々が喜んでいる姿はとても気持ち良く素晴らしい記憶として心に残りました。今回の日韓共同開催のワールドカップは自分が韓国で観戦したことで、一生忘れられない大会となりました。今回のツアーを機に韓国にいる色々な人と友達(チング)になれました。来年はその人達の力を借りて韓国チームと親善試合をしようと話し合っています。再会の日が来るのをこころから待ち望んでいます。
トマンナプシダ!

 ワンポイント韓国語講座
*ヨルブン アンニョンハセヨ   皆さんこんにちは
*ペガブルロヨ          お腹がいっぱい
*マドプソヨ           おいしくない
*マシケッタ           おいしそう
*マシッソヨ           おいしい
*チング             友達
*トマンナプシダ         また会いましょう

 スペシャル サンクス(敬称略)
石渡 尚人/伊藤 友久/金 在鉄/金 正喜/佐藤 有毅/福田 一/
李 済華/李 利範/Michael Won
                             2002.7 千野 徹