観戦レポート2002

●6月23日:実業団・学生対抗(神奈川・小田原)

 今年は春季サーキット、関東学生、東日本実業団、ゴールデンゲームズinのべおか、日本選手権と全く陸上観戦をしていなかったので久しぶりの陸上観戦となった。今回はマニア種目といっていい男子4×1500mRと女子4×800mRでの日本記録更新と、大会の最後に組み込まれた中距離サーキット「acom Middle Distance Challenge」の男子800m・女子1500mでの好記録を期待して小田原まで出かけた。
 最初の種目は注目の男子4×1500mR。昨年海外で出された日本記録15分25秒35を更新するためには1人3分51秒で走れば可能だったが、実業団と学生が2人だけで走って更新しなければならないのは結構きついだろうと思っていた。ところが予想はいい具合に裏切られ、3走まで両チームとも競り合って1人およそ3分50秒平均で走り、アンカーもこのままでいけば日本記録更新は確実だという状況になった。アンカーは実業団が有隅剛志(西鉄)、学生は蔭谷将良(日大)。先にバトンを受け取った有隅がハイペースで走り、1周を58秒と3分45秒を切るペースだった。蔭谷もそれに付き、ラスト1周まで競り合った。先頭を引っ張った有隅はさすがにペースが落ち、蔭谷がラスト200m辺りでスパートしてかわしそのままフィニッシュ。学生が15分19秒33の日本新記録で優勝。2位の実業団も15分20秒58の日本新記録だった。
 次の種目の女子4×800mRは、日本記録更新が確実だろうと思った。この種目の日本記録は1984年に高校選抜によって出された8分47秒19、1人平均約2分11秒8だった。今回出場した選手は、自己記録が2分2秒〜2分13秒。これで日本記録を更新できなかったら恥ずかしいだろう。意地でも更新するのではないかと思った。2走までは1人およそ2分11秒平均で競り合って走ったが、実業団の3走が遅れ、学生が20m近く離すレース展開となった。学生のアンカーは日本記録保持者(2分2秒23)の西村美樹(東学大)。最近やや調子が悪いようだったが、2分10秒ぐらいで走れば日本記録更新となったので、日本記録は確実となったが、どれくらい日本記録を更新するかを期待した。遅れた実業団のアンカーは日本歴代2位の記録(2分3秒21)を持ち、最近好調の松島朋子(UFJ銀行)だったが、抜くには差があり過ぎた。しかし、松島は必死に西村を追い少しずつ差を詰めていった。松島は結局西村を抜くことはできず、西村が1位でフィニッシュ。学生は8分43秒48の日本新記録だった。実業団は松島がいい走りをした結果、8分45秒80とこちらも日本新記録だった。現在の女子800mに2分5秒以内の選手が6人ぐらいいるのだからベストメンバーを組めば、8分30秒台は確実だろう。
 最初の2種目で期待通り日本記録が出されたが、2チームでのレースは寂しかった。日本のトップレベルの選手をもっと集めて4チームぐらいで競り合うレースを見せて欲しかった。
 その他の種目の出場選手は日本選手権入賞者など結構充実したメンバーだったが、日本選手権2週間後で疲労があるのか、気持ちが切れてしまっていたのか、気温が20度以下とこの時期にしては涼しすぎたせいなのか、リレー以外ではほとんど好記録は誕生しなかった。
 男子100mには小島茂之(富士通)川畑伸吾(群馬総合ガードシステム)らが出場したが、1位の川畑でさえ10秒54と、日本選手権で決勝にも進めないタイムだった。全盛期の力が全く見られないレースだった。
 女子100mには前日本記録保持者(11秒42)の坂上香織(ミキハウス)が出場し1位になったが、今季は調子があまりよくないのか、日本選手権(予選11秒61、決勝11秒65)とたいしてかわらない11秒68だった。今後調整をしてアジア大会での好記録を期待したい。
 また、女子400mは日本選手権1位で400mH日本記録保持者の吉田真希子(福島大TC)54秒09で優勝したが、自己ベストの53秒23、日本選手権の53秒29には遠く及ばなかった。300mぐらいまではいい走りをしていたが、ラスト100mは完全に脚の動きが鈍り、やっとの思いでフィニッシュといった感じであった。次回のレースではそれを克服して日本新をマークして欲しい。
 そんな中、自己記録を大幅に更新したのが男子3000mSCに出場した中川智博(京産大)だった。昨年のベストが9分05秒10と2001年日本ランキング66位に過ぎない選手。5月の関西学生対校で8分55秒67で優勝してこの大会に出場したのだが、日本選手権には出場していなかったので、私は昨年のベストが8分42秒16の春田真臣(順大)が勝つだろうと思っていた。レースは1000m2分58秒、2000m6分02秒で通過し、フィニッシュは9分をやっと切るぐらいの凡レースだと思って見ていた。しかし2000mを過ぎたあたりからペースが上がり、中川と春田の競り合いとなった。中川の動きはよく、ラスト1周の障害をほとんど脚を掛けずに越え、ラストスパートを利かせて8分47秒26でフィニッシュした。この記録は今季ランキング4位、2001年ランキングでも9位相当だった。そしてなんとラスト1000mを2分45秒でカバーしたのだ。途中の落ち込みがなければ8分40秒台前半も可能だったのではないかと思った。日本の3000mSCのレベルが落ち込んでいる現在、それを引き上げる選手として今後の活躍を期待したい。
 実業団・学生対抗としては、最後のレースとなったスウェーデンリレー(100m+200m+300m+400m)は、男子は実業団が大会タイ記録の1分50秒12女子は実業団が2分8秒00の日本最高記録で優勝した。(了)

acom Middle Distance Challenge第3戦