若さを保つための食事
生活とエネルギー
道路を走る車はガソリンなどの燃料が燃え、そのエネルギーで動きますが、 実は、私たちの体も食べ物に含まれる糖質、脂肪、たんぱく質などの栄養素が体内で燃え、分解するときにできるエネルギーによって日常の生活が続けられています。何もしないでじっとしているときでも呼吸をし、血液を循環させ、体温を保つなど、絶えずエネルギーを消費しています。特に、激しい仕事をしたり、運動をしたりといったときには、当然、沢山のエネルギーを消費します。 また、眠っていて疲労を回復させている場合もエネルギーを使っています。ですから、私たちは生命を維持し、また、日々の生活を健康的に営むためにエネルギーを消費しながら生活しているわけです。そして、この必要なエネルギーは、1日3度の食事などから摂取していることになります。
交通機関の発達に伴い、今ではどこに行くにも乗り物を利用するようになっています。また、職場にあっては機械化が進み、家庭では電化などによる省力化によって体を動かすことが少なくなっています。このように、運動不足は体力を低下させるだけでなく、成長や健康維持の上からも好ましいとはいえません。このため、使うエネルギー、すなわち消費エネルギーが少なくなって、結果的にはエネルギーのとり過ぎにつながり、それが肥満を招き、やがて心臓病や糖尿病などといった成人病になる危険性があります。
若い女性は、スタイルを気にする余り、自分は太っていると思い込み、食事を抜いたり、少食だったりといったことがあって、栄養不足から貧血などを起こすとか、健康上問題もでています。また、国民栄養調査の結果によれば、成人男子1人1日当たり換算エネルギーの摂取量の分布はごらんの通りで、エネルギーのとり過ぎは約6割となっており、かなり個人差があることがわかっています。そこで、私たちの健康を維持増進させていくための基本となるエネルギーについて皆さんと一緒に考えてみましょう。
はじめに、エネルギーの発生について説明しましょう。
エネルギーを発生する栄養素には糖質や脂肪、たんぱく質があります。そのエネルギーの量をあらわす単位を「キロカロリー」といっています。 あくまでも平均的な数値ですが、糖質とたんぱく質は1グラム当たり約4キロカロリー、脂肪は約9キロカロリーのエネルギーを発生します。
さて、米を主食とする私たち日本人の1日のエネルギー摂取量のうち約60%を糖質からとっています。糖質は、米、パン、いも類など、主食の主成分で、でん粉で代表されているものです。でん粉は消化されるとぶどう糖になって、そのままエネルギーとなります。一部分は脂肪の形に変って脂肪組織に蓄えられたり、グリコーゲンになって肝臓や筋肉に蓄えられます。
次に脂肪ですが、糖質やたんぱく質に比べ、2倍以上のエネルギーを発生するため、エネルギー源としても貴重な栄養素です。1日の摂取エネルギーのうち、約25%を脂肪からとっています。脂肪は摂取し消化されると、脂肪酸とグリセリンに分解され、水に溶けやすい形になって、小腸の壁から吸収され、エネルギーとして利用されます。
次はたんぱく質です。私たちの体の筋肉や繊維は主にたんぱく質から作られています。体を構成しているたんぱく質は一度できたらそれっきりというのではなく、いつも新しいたんぱく質に生まれ変わっています。また、一部のアミノ酸は、ホルモンなどの大切な窒素化合物を作るのに使われ、さらに残ったものがエネルギー源となります。1日の摂取エネルギーのうち、約15%をたんぱく質からとっています。では、摂取エネルギーと消費エネルギーの関係について、考えてみましょう。
例えば、階段を昇らずにエレベーターやエスカレーターを利用するとか、ちょっとそこまで、といったとき、つい車に乗ってしまうといった生活が日常化しています。こうした暮らしぶりを続けていると、消費エネルギーは少なくなり、余分なエネルギーは脂肪となって蓄えられるため、太ってしまいます。朝寝坊して朝食を抜くとか、忙しさの余り、やむを得ず立喰いそばだけですませてしまうといったようなとき、1日の摂取エネルギーは少なくなっています。それに対し、昼間よく働き、消費エネルギーが多いといった状態では疲れたり、無気力になったりします。また、その状態が長く続くと、体重が減り、やせなどの現象が現れます。ですから、健康な生活を送るためには、摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスをとることが大切になります。
では、私たちは毎日、どの位のエネルギーをとれば良いのでしょうか。それは、体の大きい人と小さい人、男性と女性、年齢差、日頃の活動量によって、摂取エネルギーの目安が変ってきます。活動量には個人差がありますが、ごらんのように、軽い生活活動、中等度の生活活動、やや重い生活活動、重い生活活動の4つが一応の目安として示されています。ここで、活動量ごとに摂取エネルギーにどの位の違いがあるのか、40歳代を例にとってみてみましょう。こうして分類しても、やはり一人一人で、違いますから、あくまでも目安としましょう。
このように4人家族を例にとっても一人一人摂取エネルギーは違っています。増減の調節は糖質や脂肪で行いましょう。 これは、分かりやすくするために100キロカロリー当たりの食品とその分量を示した一例です。増減の目安として、知っておくと便利です。健康な生活を維持するには、摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスをとることは大切ですが、その前に日頃から活動量や運動量を増やし、消費エネルギーを高めることが健康づくりのために必要とされています。 活動量の軽い人は、男性で1日200〜300キロカロリー、女性で1日100〜200キロカロリーを運動によって消費しようと提案されております。
生活活動と付加運動によるエネルギー消費量(目安)
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日常生活 |
エネルギー消費量(kcal/日) |
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男 |
女 |
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1.(軽 い) |
200〜300 |
100〜200 |
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2.(中等度) |
100〜200 |
100程度 |
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3.(やや重い) |
運動を行うことが望ましい |
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4.(重 い) |
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運動は暇をみてするというのではなく、毎日の生活の中に日課として組み込んで行うとよいのです。日常生活の中で無理のない方法で、例えば歩くことなども、だらだらゆっくり歩くのではなく、手を振って、速足で歩くことで運動につなげていきましょう。通勤の時、バスなど一区間くらいは歩くといったようにするのも一つの方法です。ビルや駅、デパートなどのエレベーターやエスカレーターにはできるだけ乗らないようにして、毎日階段を昇り降りするように心掛けると効果的です。
ここに主婦の買物例がありますが、家から歩いてデパートまで行き、階段を昇って8階まで行きますと、所要時間は30分かかり、145キロカロリー消費します。今度は、家から自転車でデパートまで行き、エスカレーターを利用して8階まで昇りますと60キロカロリーの消費となり、同じ買い物でも2倍以上の差となります。このようになるべく歩くことで、日常のエネルギー消費量を増やすことができるのです。
また、お茶のときなどにケーキ1個を食べたとして、そのエネルギー約200キロカロリーを消費するのに、例えば、速歩などでは約40分もかかります。チョコレート1枚ぺろりとたいらげると、例えば、縄とびで約20分といった具合になります。バナナ1本と思っても、約100キロカロリーとなり、これを消費するのに例えば階段の昇降15分、晩酌のビール1本では100キロカロリー、その場合、例えばラジオ体操など20〜30分といった運動によって、エネルギーを消費することが必要となってきます。
ラジオ体操、テレビ体操など、放送に合わせて運動を行うというのも一つの方法でしょう。運動で100キロカロリーを消費するための所要時間はこの画面のようになりますが、これらを参考にして、自分の生活に合ったやりやすい運動を試みて長続きさせましょう。
エネルギーをとること、すなわち食べることは簡単ですが、消費すること、すなわち運動することは難しいといわれています。動きたくない、運動したくないからといって、食べたいもの、飲みたいものを我慢して過ごすことは、精神衛生上もよくありません。それよりも十分な活動や運動をするといった積極的な生活をすることによって、食生活にゆとりを持たせながら、健康の維持増進に努めたいものです。これまで述べてきたように健康管理には、日々の摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスが大切です。健康づくりの基本は、バランスのとれた栄養、適度な運動、十分な休養が日頃の生活の中でうまく調和することにあります。それには、「自分の健康は自分でつくる」といった心掛けを持って、規則正しい生活習慣を身に付けることが大切です。あなたの生活はいかがですか?
健康づくりのための食生活指針はご覧のように5つの項目からなっています。
1 多様な食品で栄養バランスを
一日30食品を目標に主食、主菜、副菜をそろえて
2 日常の生活活動に見合ったエネルギーを
食べすぎに気をつけて、肥満を予防よくからだを動かし、食事内容にゆとりを
3 脂肪は量と質を考えて
脂肪はとりすぎないように動物性の脂肪より植物性の油を多めに
4 食塩をとりすぎないように
食塩は一日10グラム以下を目標に調理の工夫で、むりなく減塩
5 こころのふれあう楽しい食生活を
食卓を家族ふれあいの場に家庭の味、手づくりのこころを大切に以上です。