1月号

ある産業医のつぶやき                                                                                  

 


避けたい冬場の低湿度

湿度というと、梅雨時のジメジメした高湿度を連想することが多いようです。「不快指数」という言葉があるように、梅雨時の湿気はベタベタとなんとも不快で、食物や住まいのかびの原因としても嫌われています。が、冬の湿度というと話は別。人体への影響は低い湿度の方が問題です。
低湿度は風邪の原因に
冬の低湿度は、人体への影響があります。「湿度が低いと鼻やのどの粘膜が乾燥し、荒れて細菌に感染しやすくなったり、インフルエンザウイルスの生存率が高まったり(表1参照)、ウイルスが空中を舞いやすくなるといった理由から、冬には風邪をひきやすくなり、ほかの呼吸器疾患にもつながりやすい」と、されています。

このような傾向がはっきり現れるのは、湿度が30%以下になった場合です。そのために、ビル管理法では建物内の湿度を40%以上に保つように定めています。が、現在のセントラルヒーティング(集中暖房)の設備では、この基準を達成することが難しいというのが現状です。図1からも分かるように、調査した全国のビルの46%近くが、冬期には室内湿度40%以下にとどまっています。
「ビル全体で最低湿度を守ることが難しいとすれば、各部屋ごとに加湿器などによって湿度を上げる工夫をしなければいけません」。
そうすることが、ビルの中で1日の大半を過ごす者にとっては最大の自衛手段といえるでしょう。


結露にはご注意!
ところで、家庭での加湿というと、加湿器以外に、ストーブの上でやかんが蓋をカタカタされているというのが冬の室内のお決まりの光景です。昔のような木造建築で木の雨戸、障子に畳というのであればあまり問題にならなかった結露も、また万人共通の悩みごとになりつつあります。
すきま風も通さないほど気密性に富んだサッシの部屋では、やかんや加湿器から吹き上げられた水蒸気は、行き場がないために外気との境目にあるサッシに付いて、露となって流れ落ちるしかありません。サッシの溝にあふれんばかりにたまった露を見るにつけ、「これがやがて、押し入れや風呂場のかびに成長するのだろうか」と不安感に襲われる方も少なくないでしょう。
結露があるほどの高い湿度(70%以上)では、冬場の低温下でもかびの発生が起こるとのこと。そこで「健康との関係では、湿度が40〜70%の範囲になるように湿度に気を配ることが大切です」。
湿度を測定する湿度計というと、小学生時代の「お天気調べ」の宿題以来すっかりごぶさたという人も少なくないはず。しかし、冬場の健康を考える上では、記録をつけないまでも湿度計を居間などにさげて、湿度と健康の管理に役立ててはいかがでしょう。

加湿器病にご用心!
健康な成人10人が異なる湿度環境下で30分間過ごしたときにどのような自覚症状が現れるかを調査したところ、表2のような結果が出たそうです。
目や鼻が乾燥する、鼻が詰まる、のどが乾いたり痛んだりするなどの訴えは、湿度が60%、80%ではほとんどないのに対し、40%と湿度が低くなると明らかに増えています。

このことからも、湿度を高く保つことは大切だといえます。が、ここで加湿器についての注意を一言。加湿器には水道水を入れるタンクがついていますが、最近このタンク内の水が原因となる加湿器病が問題になっています。タンクの水にかびが繁殖し、それを吸入することによって過敏性肺炎などになるというものです。1種のアレルギー反応と考えられ、加湿器だけでなく空調施設による発病も見つかっています。

いずれにしても、加湿器のタンクの水は入れたままにしないで頻繁に入れ替え、容器をまめに洗って清潔にしておくことが大切です。風邪予防のための加湿器がアダになり、肺炎などになってしまっては元も子もありません。