8月号

ある産業医のつぶやき

 


若年者の痛風が増えています!!!

若い年代で発病する痛風が増えています。

痛風は、中高年の男性に多い『ぜいたく病』と言われてきました。現在でも、痛風患者さんの99%は男性です。ただし最近の痛風は、30代で発症する人が最も多く、若年化する傾向があります。美食とアルコール、それに運動不足が痛風の誘因になるとされています。痛風は単に、関節の痛みを来す病気ではなく、全身の臓器の障害を引き起こす病気です。痛風という病気をよく理解していただき、治療と予防法についての正しい知識を持っていただきたいと思います。

痛風発作について

痛風発作は関節の激しい痛みと腫れが特徴です。痛風発作は、関節にたまった尿酸の結晶が起こす炎症です。

発作中の関節の中では、尿酸の結晶と白血球が格闘をしている炎症反応を認めます。関節は赤く腫れ上がり激痛を訴えます。足の親指の関節に起こることが最も多く、他には足首、アキレス腱の付け根、足の甲の部分などにも起こります。この痛風発作は、通常一週間前後で治まりますが、一度に一つの関節だけが痛むのが特徴です。

痛風発作は忘れたころにやってきます。痛風は発作のないときには全く無症状ですが、発作は必ず再発します。発作までの期間は人によって様々で、一週間で再発することもあれば5年たって再発する人もいます。痛風発作は次第に重症になります。痛風発作を繰り返しているうちに、発作の間隔が短くなり、脹れも強くなります。一度に二つ以上の関節に発作がでたり、足だけでなく、膝や手首の関節に発作がでるようになると、相当重傷になっている証拠です。

関節以外の痛風の症状

痛風の症状は、関節以外にも現われます。 痛風発作を繰り返しているうちに色々な症状がでてきます。

痛風結節

尿酸の塊が、耳介や足の親指、肘の関節などにできます。ここまで症状が進むと重症です。

尿路結石

痛風患者さんは、一般の人より何倍も尿酸結石がよくできます。無症状のこともありますが、時に背中が激しく痛み、血尿がでます。痛風発作を放置すると内臓もおかされます。

 

腎障害

腎臓には尿酸がたまりやすく、尿酸が一杯たまると、腎臓はその機能を次第に失い、ついには腎不全になります。痛風患者さんは心筋梗塞、脳血管障害などの成人病にも注意しましよう。

痛風患者さんは、肥満、高血圧、高脂血症などを合併することが多く、動脈硬化がすすみやすい体質になっています。尿酸値をコントロールするとともに、これらの予防・治療も大切になります。

 

高尿酸血症と痛風

「高尿酸血症」は痛風の危険信号です。

尿酸は誰の身体の中でも作られます。尿酸は身体の中のエネルギーの燃えかすであり、すべての人の体内で作られる物質です。また食物中のプリン体という物質からも作られますが、プリン体は日常の食物にはそれほど多く含まれていません。身体の中で作られた尿酸は、腎臓から尿の中に排泄されます。尿酸値は血液検査で調ベます。

尿酸は体内では血液に溶けているので、血液中の濃度(血清尿酸値)が体内の尿酸量の指標です。血清尿酸値が大体7.5mg/dlを超えると、尿酸は血液に溶けにくくなり「高尿酸血症」と呼ばれます。つまり「高尿酸血症」は、尿酸が結晶になって痛風となりやすい状態なのです。なお女性の血清尿酸値は、男性より低い傾向にあり、閉経後には少し高くなります。

高尿酸血症はいくつもの要因が重なって起こります。腎臓から尿酸を排泄する力が体質的に弱い、肥満、飲み過ぎ、食べ過ぎ、運動不足、ストレスなどの要因が重なると高尿酸血症になります。血液の病気、悪性腫瘍、腎臓病や利尿剤などの薬剤も高尿酸血症の原因になります。重症の高尿酸血症には注意が必要です。

高尿酸血症でも、血清尿酸値が7.5mg/dlに近い場合は一生痛風にならないですむことが多いのですが、血清尿酸値が高いほど短期間のうちに痛風になる危険性が大きいといえます。したがって、痛風発作や症状がなくとも、血清尿酸値が9mg/dlを超えるような、非常に高値の場合や、既に腎臓に障害がある場合には、薬を使った治療を必要とすることがあります。

高尿酸血症−食事の注意点

食事制限は、まず総力ロリー、次にプリン体。痛風・高尿酸血症を予防する食事としては、次の3点がポイントです。

1 総力ロリーの制限

2 プリン体の多い食物を食へ過ぎない

3 アルカリ性食品を多く取る

痛風・高尿酸血症を予防する食事では、総カロリーの制限が最も大切です。よく問題にされるプリン体は、いわゆる珍味の類や肉類に多く含まれますが、日常の加工食品や野菜類では多くありません。したがって、下の表のプリンタ委が多い食品をたくさん食べないようにすれば良いのです。アルコールの制限も大切です。特に、ビールはプリン体が圧倒的に多いので、飲まないようにしましょう。

表 食品中のプリン体含有量

   分  類

 食品名と一人前の分量

一人前に含まれるプリン体の量(mg)

たまにしか食べないがプリン体が極端に多い食品

アンキモ(酒蒸し) 50g

イサキの白子 50g

牛焼肉レバー 120g

199.6

152.8

122.2

プリン体の多い日常食品

 

プリン体の多い日常食品

牛肉ヒレステーキ 200g

豚ロースステーキ 200g

カツオ切身 80g

クルマエビ 80g

アジの干物 60g

サンマ切身一切れ 80g

マグロ切身一切れ 80g

タラバガニ 100g

ヒラメ切身一切れ 80g

マダコ80g

84.6

79.8

72.2

68.6

65,3

54.4

53.8

47.4

46.0

45.8

プリン体の比較的

少ない日常食品

鶏肉ささ身 30g

干し椎茸5個 10g

大豆 20g

かまぼこ 4枚

精白米 65g

カズノコ 60g

ウインナーソーセージ 30g

えのきたけ 20g

プロセスチーズ 25g

20.1

18.6

6.8

9.8

8.2

6.3

5.9

4.9

0.7

アルコール飲料

ビール大瓶1本 633ml

日本酒 1合

ワイングラス 1杯

ブランデー 40ml

ウイスキー 80ml

焼酎湯割り 1杯

32.4

2.2

1.0

0.2

0.1

0.0

 

高尿酸血症−日常生活の注意

痛風・高尿酸血症を予防するために、日常生活において実践してほしいセルフケアとして、食事のほかに次の5項目を実践するようにしましょう。

1 肥満を解消する

血清尿酸値は体重が急に増えると上がり、体重が減ると下がります。肥満のない人も、食べ過ぎは要注意。適正カロリーを守りましょう。 

2 アルコールを控える…特にビール

どんな種類のアルコールも血清尿酸値を上げます。中でもビールは多くのプリン体を含んでいます。アルコール飲料、特にビールはできるだけ制限しましょう。

3 水を十分に飲む

尿酸は、腎臓から尿中に排泄されますから、水分を十分にとって尿の量を多くすれば、尿酸もたくさん尿中に出ていきます。また尿路結石の予防にもなります。お茶、水などを少なくとも1日に1リットル以上飲んで、尿量を多くすることが大切です。

4 軽い運動をする

1日30分間の早足歩き、軽いジョギングなどの楽な運動は、有酸素運動で尿酸値を上げません。また、肥満や高血圧にも良い影響があります。ただし、激しい運動は、反対に尿酸値を一時的に高くする結果になりますので、注意が必要です。 

5 精神的ストレスを発敵させる

積極的、行動的ではあるが、反面、攻撃的で協調性に欠ける人に痛風が多いと言われています。精神的ストレスは血清尿酸値を上げます。ストレスを適当に発散するよう心がけましょう。