はじめに
| 1.病気について 私ことタコラは、1997年5月に会社の健康診断で白血球・血小板の異常(多い)が見つかり、検査の結果、慢性骨髄性白血病と診断されました。当時の私は、長男が生まれたばかり(生後3ヶ月)で家族が増えた喜びのつかの間、天国から地獄に落とされるとは、正にこの事かと思いました。 しかし、自分としては何の自覚症状もなっかたため、主治医から病名を告知されても「ほんまかいな?」という感じで、あまりピンときませんでした。 ピンとこなかったのは、ある意味、この病気になった事を現実として受け入れたくなっかたからかもしれません。 でも、主治医からこの病気の特徴は、初期の段階(慢性期)では、自覚症状がない場合が多い事、骨髄移植をしないと平均余命が3〜5年位であること、その骨髄移植の成功率は50%程である事を告げられると、さすがにショックでしばらくは仕事も手につかない状態でした。 それまでは、白血病というと「不治の病」=「死」というイメージしかありませんでしたが、最近では治療法も進歩しており慢性骨髄性白血病の治療法は、1.抗がん剤による化学療法 2.インターフェロン療法 3.骨髄移植があること知り、この病気に立ち向かう前向きな気持ちになりました。 現在のところ化学療法では、病気そのものを治すものではなく、また、インターフェロン療法も寛解(白血病細胞がなくなり、治癒した状態になること)になるのは10%です。インターフェロン療法が健康保険扱いで行われるようになったのは数年前からであり、寛解になられた人でもこの状態が長く続き再発しない保証はありません。 白血病を完治できる唯一の方法は造血細胞移植(骨髄移植)です。骨髄移植は強力な治療方法ですが、その一方で多くの危険(合併症・感染症)と犠牲(不妊等)が伴います。 骨髄移植は、自分のガン化した白血病細胞も良い血液細胞も、抗がん剤や放射線による前処置で自力で回復できないまでにして、その時点でドナーの骨髄液を輸血(点滴)するというものです。成功すれば元の健康な身体に戻ることができますが、失敗すれば移植による合併症・感染症で逆に命を縮めることになります。 また、移植前には知らなかったのですが、たとえ移植自体が成功しても拒絶反応(GVHD)により身体に障害が残ったりします。軽度のGVHDで通院で対処できるようであれば、日常生活する上では問題はさほどありませんが、中・重度になると仕事ができない、入院しなければならない等、いろいろと問題がでてきます。 骨髄移植をするためには、ドナー(骨髄液を提供してくれる人)を探さなければなりません。ドナーの条件は白血球の型(HLA)が一致しなければなりません。HLAが一致する確率は兄弟間で1/4、他人の場合だと数百分の1から数万分の1です。 私は兄弟がいないので、他人から骨髄液をもらわなければ移植を受けることができません。幸いのことに1991年に日本にも全国組織の「骨髄バンク」ができており、私は移植を受けるため登録し、これまたラッキーな事に登録した翌年に骨髄移植を受ける事ができました。 現在、移植して2年が経ちました。この経験をすこしでも皆さんに知っていただき、参考になればと思います。 2.夏への扉 「夏への扉」とは、SF作家の巨匠ロバート・R・ハインラインの小説です。(ちなみにこの作品はSFの本のベスト・テンに必ず入ってくる名作です。) また、この小説を素に同名の曲を山下達郎が歌っています。(詩 吉田 美奈子、曲 山下達郎 ) 私が、この病気の告知を受けたとき、この小説の主人公「ダン」のように夢も希望も無い状態でした。でも、家族のことを思うとこのまま病気に負けるわけにはいきません。 私も「ダン」と同じように絶望のなかから這い出し、生への扉を開かなければならないところからこの題名をつけました。 皆さんも機会があれば是非この小説を読んでみてください。 |