| しばらく他人には迷惑がかかっていないような気がしていたのですが、3月に法事で親戚一同が集まる機会がありました。父は6人兄弟で唯一男一人だということもあり、全てのことを張り切って取り仕切っていました。非常に雄弁になっているため、法事のときのスピーチなど、病気のことを何も知らないで聞いていたとしたら、「なんてスピーチ上手なんだ」と思えるほどでした。
法事自体は無事終わったのですが、その後が大変でした。次の日から、親戚の家に電話やメールなどをやたらにするようになり、会う約束をしては遠いところまでせっせと出かけるようになったのです。それも、「携帯電話を買いなさい。そしたらメールの使い方を教えてあげる。パソコンも新しいの買いなさい。デジカメの使い方も教えてあげる」と、電話で押し売りのように押しつけがましく言っているのです。無理矢理会う日程を決めては、ノートパソコンと携帯を持参して、せっせと出掛けていました。
親戚の家の人達にとっては、父は兄弟のひとりですから、たまにお客さんとして来るには大歓迎だと思うのですが、それぞれの生活があるわけですから、こうしょちゅう来られては困るでしょうし、そもそももうみんな定年で退職して家にいる人達ばかりなので、そうあちこち出歩かないので携帯もさほど使わないし、パソコンもそこそこできればいいと思っていたようでした。それで、うちの父が一通り使い方を教えたあと、親戚の叔母(父の姉)が「ありがとう。でもうちはそんなにいい携帯やパソコン買う必要ないわ〜。今で十分だわ〜。」と言ったら、父が即激怒したというのです(これは後日その叔母から話を聞いて知りました)。
親戚の人は糠にクギで反応がないのであきらめたようで、そうしたら今度は旧知の人(昔会社で同僚だったとか上司だったとか)で何十年も会ってないような人達に無理矢理連絡を取って、家に押しかけていました。今度は何をやっているのかと思っていたら、「携帯電話にアドレス帳データをパソコンから一括で登録してあげるので、住所録を貸して」と言っているのです。
次に、自分が買ったiPodに音楽を入れたいので、旧知の人を始め、レンタルCD屋から、文字通り1回につき百枚単位で山ほどCDを借りてきて、ひたすらノンジャンルで曲を入れてました。
家族には特に何もなかったのですが、と思っていたら、4月に入り、今度は私の弟(父の息子)に対して矛先が向くようになりました。部屋が片付いていないから、毎日必ずゴミをひとつでもいいから出せ!というのです。仕事で忙しく、平日は夜中に帰ってくるので掃除する暇もないのに、父は全く思いやりに欠けた命令口調で言うのです。でも、反抗すると必ず倍になって攻撃が返ってくるので、弟には申し訳ないけれど、「それでお父さんの気が済むならやるよ」と言ってもらいました。でも、その言葉が気に入らなかったらしいのです。「俺の気が済むんじゃない!おまえのために言っているんだ!それがわからないのか!」と、却って激怒され、弟の会社のメールアドレス宛に延々と訳のわからないメールが来て大迷惑だったのです。とにかく自分の思い通りにならないとダメなようで、一方的に「ありがたく思え!」という、親切の押し売り状態でした。
精神科の先生は、「矛先はそのときによって違うけれども、誰かひとりに矛先が向かって攻撃されるということはよくあることだ」とおっしゃていました。矛先が向けられた人は非常に頭に来るし、気分が良くないと思いますが、売られたケンカは買わず、とにかく「右から左へ」を念頭に置きつつ、家族のみんなは、「ここのところまた少し悪い状態だ」と思って、非常に神経をすり減らしながら過ごしていました。 |