| 9月17日号 ASA雀宮発行「ASAプラザ」収載 | |||
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| by S.KEZUKA |
| 03年 9月 10月 11月 12月 / 毛塚薬局HP / 漢方だより / 発行者PROFILE | |||||||||||
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秋の養生 梨、栗、柿、ブドウ、秋刀魚、鮭・・・。秋は旬の味覚盛りだくさん。まさに「実りの秋」「食欲の秋」ということになりますね。それに「秋」という字がのぎへんなのは穀物の収穫の時期だからだそうです。 また、秋は実りの時である一方、草木の枯れ行く時でもあります。鮮やかに枯れる紅葉もあれば、弱々しく地に絶えていく矮小な草たちもあります。その姿は実りのイメージとは何とも対照的ではありますが、いずれも冬に向かう自然の姿です。 古来、漢方に伝わる養生書では、「人も自然界の一部であり、自然界の法則が人の営みの法則でもある」という考え方が貫かれています。 そういった養生書においても、秋の特徴として「万物の成熟」「収穫の季節」「涼しく風が強い」「粛殺(しゅくさつ)の気(草木を枯らす空気のこと)」「乾燥の季節」などの表現が見られます。 そして秋の養生法として「鶏のごとく早寝早起きをする」「こころ安らかに過ごす」といったことが挙げられています。そうすることが精気を奪う「粛殺の気」や「乾燥の季節」の影響を緩和させることになるというのです。どうも「秋の夜長」を楽しむとはいかないようです。 もし秋の養生を怠った場合、その影響を最も受ける臓器は「肺」であるとされています。漢方でいう「肺」とは呼吸を行うほか、水分代謝や体温調節などの働きを有し、皮毛や鼻、大腸との関連が深いとされています。これらは古代中国人の経験と自然哲学が結びついてできあがったものです。 食養生に関連するものを見てみますと、秋には肺を潤すことを重んじています。とくに旬の果物はその効果が高いようです。ただし、梨や柿は体を冷やす食べ物ですから、食べすぎにも注意が必要です。旬の素材の一つであるギンナンは、肺を潤すことよりもむしろ引き締める「収斂」に働きます。喘息や咳嗽を和らげる目的で用いられることがあります。その他、ヤマイモや白キクラゲ、白ゴマなどは肺を強くすると言われています。 秋の漢方 冬場のカゼやいわゆる夏カゼほどの発生頻度はないようですが、秋にも特有のカゼがあるといわれています。前に述べた「乾燥」によるカゼで、から咳や口・鼻・のどの乾燥感がその主症状です。治療に用いられる処方では、初秋によく使われる桑杏湯(そうきょうとう)と晩秋によく使われる杏蘇散(きょうそさん)が有名です。どちらも呼吸器を潤し、咳を止め、痰を切り、のどの炎症を鎮める働きがあります。桑杏湯は、生薬としては珍しい梨の皮を含んでいます。 また、から咳に最も頻用される処方に麦門冬湯(ばくもんどうとう)があります。体全体の滋養に優れ、呼吸器・消化器の粘膜を潤し、痰を切ります。 もともと呼吸器が弱く、カゼを引きやすい場合には、黄耆(おうぎ)というマメ科植物由来の生薬やウコギ科の名薬である人参(にんじん)などが有効です。汎用される処方には、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)や黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)などがあります。また、菌類生薬の冬虫夏草(とうちゅうかそう)や、オオヤモリを乾燥させた蛤?(ごうかい)などが用いられることもあります。 これら漢方処方は、症状や体質の細かい観察により決まります。専門家と相談した上で服用してください。 漢方Q&A 質問:漢方薬というと煎じ薬というイメージがありますが、よく見かける顆粒や錠剤のものとでは効果に差があるのでしょうか? 回答:漢方薬には元来、生薬を煎じる湯剤のほか、生薬を粉末にした散剤、粉末にした散剤を蜜などで固めた丸剤などの剤型があります。また現在最も汎用される顆粒剤は、生薬を煮出して、水分を蒸発させ、乾燥エキスとしたものです。乾燥エキスからは錠剤やエキス散剤も作られます。ときに乾燥エキスと原粉末を合わせたものなどもあります。 元来の湯・散・丸剤で処方される場合は、患者さんの状態に合わせて内容を加減することが可能であるという利点があります。しかし服薬するまでに手間がかかるのも事実です。 また同じ処方内容で、元来の剤型のものとエキス剤とで薬効を比較した場合、明らかな差がみられる場合と、大差ない場合があります。これは処方にもよりますし、個人差もあるようです。明らかな差がある場合は、元来の剤型のものに軍配が上がるようです。 しかしながら、昨今のエキス剤の品質はかなり向上しており、その差は縮まりつつあります。何よりも大切なのことは、適切な処方を用法用量を守って服用することといえるでしょう。 |
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| 03年 9月 10月 11月 12月 / 毛塚薬局HP / 漢方だより / 発行者PROFILE | |||||||||||