DV被害者の声


《ケース1》A子さんの場合
A子さん31歳主婦。五年前に結婚し、四歳の1児の母。夫はやさしく問題はありません。 A子さんは、子供を虐待していることが悩みでした。 母として子供を決して愛していないとは思っていません。それどころか いとおしくて大切に思っています。誰もが同じ思いのはずです。 ところが、子供と接している時、何故だか解らないけど、自分の感情が時々コントロール出来ないくらい 怒りでいっぱいになってしまうのです。 そんなときは、気が付かないうちに子供に八つ当たりをしていたり、無視したりしてしまいます。 最近、テレビのニュースで虐待のことを知るにつけ、 自分も虐待する母なのではないかと、悩んでいたのです。 A子さんは、自分の過去をふりかえってみました。 そこで明らかになったのは、A子さんの家庭環境です。 A子さんのお母さんは、いつもお父さんに暴力を受けていたのです。 そのせいで、お母さんはいつも、自分のことで精一杯。A子さんの世話にまで、手が回りませんでした。 A子さんには、お母さんに抱きしめられたり、ほめられたりというスキンシップの記憶がなかったのです。 今、A子さんは、はっきりと自覚しています。自分もDV被害者だということを。 そして、子供を愛せないのではなく、愛し方が解らなかった。 愛情の表現方法を学んでこなかったからだという事を。 ・・・自分が暴力を受けたのではなくても、確実に影響を受けるものです。 A子さんのように、世代間連鎖という影響は、早く断ち切りたいものです。


《ケース2》B子さんの場合
B子さん28歳独身。32歳の男性と半年前に結婚。
彼女がC雄さんと出会ったのは、2年前。あるパーティーの席でのことです。 二人はお互いに意気投合し、付き合い始めました。始めの半年くらいはとてもやさしくて、 すぐに結婚の約束をしました。 その後、時々お酒を飲んで、暴言を吐いたり、殴られたりすることはありましたが、酒の上の事と、 あまり深刻に考えずに結婚しました。
ところが、結婚後、人が変わったように、すぐに殴るのです。 朝、起こす時間が遅れたといっては殴り、食事の支度が出来ていないといっては殴り、出かける支度が 遅い、返事が無い・・・どんな理由でもいいのです。 すっかりおびえたB子さんは、夫の実家に相談したのですが、B子さんの我慢が足りない、B子さんにも 問題があるのではないか。と逆に責められる始末。 このままでは、いつ大怪我をするかも知れません。
でも、B子さんは、自分を責めました。「きっと、私の態度が気に入らないのね。悪いところがあったら直すから、 そしたらまた、以前のように幸せになれる。」
本当にそうでしょうか。
家族、夫婦が依存しあうのは、当たり前のことです。 けれども、どちらか一方が不幸ではあまりにも悲しいことです。 自分自身の自尊について、今B子さんは、考えています。


《ケース3》Yさんの場合
Yさんは、新潟の少女監禁事件のニュースを見て、初めて重い口を開きました。
彼女は、19歳の時に一男をもうけ今年彼は成人式を迎えます。 女手一つで立派に育て上げました。
出産後、すぐに夫の暴力による虐待で、離婚調停を重ね、逃げるようにして故郷を後にしたのです。 当時、弁護士や家裁調停員の指示で、あちこちを逃げ回っていたそうです。 暴力というのは、くせになるそうです。 一度殴ると、免疫が出来たかのように、日常化していきます。 それは、出産後も変わりませんでした。
このままでは、子供もいつか被害に会うと、回りの協力のもと、やっとの思いで決心したそうです。 殴る方もくせになるけど、殴られる方も免疫が出来てしまうのだそうです。 いつも、自分が悪いから・・・と反省し、夫の機嫌を損ねないようにビクビクしていて、逃げるということは 頭の片隅に追いやられてしまうのです。 しかも、子供が生まれるのです。 両親がそろっている幸せな家庭を夢見るのは、当然のことです。 少女が、逃げる気力を失った気持が痛いほど解るとYさんは言います。 そして、自分の事を振り返りながら、周囲の理解と協力に助けられたと、感慨深げでした。