水道水の水質基準

☆新しい・水 質 基 準

産業の高度化につれ水道水の原水汚染も高くなり、今までの水道水基準では、実際の汚染状況から判断して、実状を反映していなくなったため、約37年ぶりに見直され、1993年12月1日から新水道水質基準が実施されました。この改訂は従来に比べて画期的なものといえました。
 
わが国では1970年代に、水銀などを含む約10の物質を有害物質と定めて以来、新しい規制物質を増やしてこなかったからです。新しい化学物質の規制は、大きく水環境の規制に発展していき、その意義はたいへん大きなものといえます。

これまでの水道水質基準では、細菌感染を防ぎ、嫌な味や臭気、着色を防ぐことが大きな目的でしたが、新しい水質基準では、発ガンの疑いのある物質を含む一般有機化合物、消毒副成物、農薬なども規制の対象とし、ここに、はじめて人間の健康という視点での規制が前面に登場してきたわけです。

もうひとつの特徴は快適水質項目を設けて、残留塩素濃度1mg/リットル程度以下が望ましいとする濃度の上限を提示する規定などが加わった。ここに、消毒だけが「安全な水」の条件とされてきた時代が終わりを告げたといえます。

新しい水道水質基準では、健康に関する項目、水道水の性状に関連する項目、快適水質項目、監視項目の計85項目が決められました。そして、さらに1998年11月には監視項目6項目が追加され、1999年12月に1項目、2000年9月に2項目増え、現在は94項目となっています。


☆殺菌剤としての塩素
水道水として使うためには細菌汚染を防ぐため、殺菌力が強く、人体に害が少なく、しかも残留効果の高い消毒剤として塩素が用いられています。この塩素は蛇口の段階で1リットル当たり0.1mg以上残っていなければならない(遊離残留塩素)、またクロラミンの形となっている場合(結合残留塩素)は、0.4mg以上残っていなければならないと定められています。
 
原水に残っていた有機物やアンモニアなどと塩素が反応すると、カルキ臭となって強く感じられるといわれています。原水の汚染が進むに従い、消毒用の塩素剤の使用量も増えます。特に夏場には残留塩素濃度が高くなるのが一般的で、濃度は1リットルあたり2mgを超える場合もあるようです。塩素は酸化力が強いので、お風呂やシャワーで利用すると髪や肌を痛めたり、食品の栄養素を破壊することがわかっています。
 
そこで脱塩素のために、浄水器や浄水シャワーが一般的に普及してきているものと思われます。



「基準46項目」
健康に関する項目
項   目 基準値 備 考
1.一般細菌 100個/mL 以下 細 菌
2.大腸菌群 不検出
3.カドミウム 0.01mg/L 以下 無機物

重金属
4.水銀 0.0005mg/L 以下
5.セレン 0.01mg/L 以下
6.鉛 0.05mg/L 以下
7.ヒ素 0.01mg/L 以下
8.六価クロム 0.05mg/L 以下
9.シアン 0.01mg/L 以下
10.硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素 10mg/L 以下
11.フッ素 0.8mg/L 以下
12.四塩化炭素 0.002mg/L 以下 一 般
有機物
13.1,2‐ジクロロエタン 0.004mg/L 以下
14.1,1‐ジクロロエチレン 0.02mg/L 以下
15.ジクロロメタン 0.02mg/L 以下
16.シス‐1,2‐ジクロロエチレン 0.04mg/L 以下
17.テトラクロロエチレン 0.01mg/L 以下
18.1,1,2‐トリクロロエタン 0.006mg/L 以下
19.トリクロロエチレン 0.03mg/L 以下
20.ベンゼン 0.01mg/L 以下
21.クロロホルム 0.06mg/L 以下 消 毒
副生成物
22.ジブロモクロロメタン 0.1mg/L 以下
23.ブロモジクロロメタン 0.03mg/L 以下
24.ブロモホルム 0.09mg/L 以下
25.総トリハロメタン 0.1mg/L 以下
26.1,3‐ジクロロプロペン 0.002mg/L 以下 農 薬
27.シマジン(CAT) 0.003mg/L 以下
28.チウラム 0.006mg/L 以下
29.チオベンカルブ(ベンチオカーブ) 0.02mg/L 以下
水道水の性状に関連する項目
30.亜鉛 1.0mg/L 以下
31.鉄 0.3mg/L 以下
32.銅 1.0mg/L 以下
33.ナトリウム 200mg/L 以下
34.マンガン 0.05mg/L 以下
35.塩素イオン 200mg/L 以下
36.カルシウム、マグネシウム等(硬度) 300mg/L 以下
37.蒸発残留物 500mg/L 以下
38.陰イオン界面活性剤 0.2mg/L 以下 発泡
39.1,1,1‐トリクロロエタン 0.3mg/L 以下 におい
40.フェノール類 0.005mg/L 以下
41.有機物等(過マンガン酸カリウム消費量) 10mg/L 以下
42.pH値 5.8〜8.6 基礎的
性 状
43.味 異常でないこと
44.臭気 異常でないこと
45.色度 5度以下
46.濁度 2度以下

「快適水質13項目」
項   目 目標値 備考
1.マンガン 0.01mg/L 以下
2.アルミニウム 0.2mg/L 以下
3.残留塩素 1mg/L 程度以下 におい
4.2‐メチルイソボルネオール 粉末活性炭処理 0.00002mg/L 以下
粒状活性炭等恒久施設 0.00001mg/L 以下
5.ジェオスミン 粉末活性炭処理 0.00002mg/L 以下
粒状活性炭等恒久施設 0.00001mg/L 以下
6.臭気強度(TON) 3以下
7.遊離炭酸 20mg/L 以下
8.有機物等(過マンガン酸カリウム消費量) 3mg/L 以下
9.カルシウム、マグネシウム等(硬度) 10〜100mg/L 以下
10.蒸発残留物 30〜200mg/L 以下
11.濁度 給水栓で1度以下 濁り
12.ランゲリア指数(腐食性) −1程度以上 腐食
13.pH値 7.5程度

「監視33項目」
項 目 指針値 備 考
1.トランス‐1,2‐ジクロロエチレン 0.04mg/L 以下
一 般
有機物
2.トルエン 0.6mg/L 以下
3.キシレン 0.4mg/L 以下
4.p‐ジクロロベンゼン 0.3mg/L 以下
5.1,2‐ジクロロプロパン 0.06mg/L 以下(暫定)
6.フタル酸ジエチルヘキシル 0.06mg/L 以下
7.ニッケル 0.01mg/L 以下(暫定) 無機物

重金属
8.アンチモン 0.002mg/L 以下(暫定)
9.ほう素 1 mg/L 以下
10.モリブデン 0.07mg/L 以下
11.ウラン 0.002mg/L 以下(暫定)
12.亜硝酸性窒素 0.05mg/L 以下(暫定)
13.ホルムアルデヒド 0.08mg/L 以下(暫定) 消 毒
副生成物
14.ジクロロ酢酸 0.02mg/L 以下(暫定)
15.トリクロロ酢酸 0.3mg/L 以下(暫定)
16.ジクロロアセトニトリル 0.08mg/L 以下(暫定)
17.抱水クロラール 0.03mg/L 以下(暫定)
18.イソキサチオン 0.008mg/L 以下 農 薬
19.ダイアジノン 0.005mg/L 以下
20.フェニトロチオン(MEP) 0.003mg/L 以下
21.イソプロチオラン 0.04mg/L 以下
22.クロロタロニル(TPN) 0.05mg/L 以下
23.プロピザミド 0.05mg/L 以下
24.ジクロルボス(DDVP) 0.008mg/L 以下
25.フェノブカルブ(BPMC) 0.03mg/L 以下
26.クロルニトロフェン(CNP) *0.0001mg/L 以下
27.イプロベンホス(IBP) 0.008mg/L 以下
28.EPN 0.006mg/L 以下
29.ベンタゾン 0.2mg/L 以下
30.カルボフラン 0.005mg/L 以下
31.2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D) 0.03mg/L 以下
32.トリクロピル 0.006mg/L 以下
33.ダイオキシン類 1pg-TEQ/L 以下(暫定) 非意図的生成物質

(注1)  *は、暫定水質管理指針値です。
(注2) 指針値について、毒性評価が当面のものであるものは(暫定)と表示されています。
(注3) 物質ごとに定量下限値(分析により定量化できる最少の値)は異なります。 定量下限未満のものについては、最少測定単位まで「0 」を記入しています。