| 去年の暮れ,第49号に「糖尿病の漢方治療,2年間の"中間決算"」を書きましたが, どうも書き足りない気がして,ずっと考えてきました。 ホリスティックな視点が欠けていたと気がつき,それを補うために書き直しました。 | |
検査値も改善してきて…身体性の面からみた健康 |
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| アンドルー・ワイルさんによれば,「健康とは〈全体〉であり,〈バランス〉であり, くじけることなく生の要求にこたえられるだけの〈弾性〉」でした。 また「人間は身体性・精神性・霊性という三つの要素からなって」いて, 「健康は必然的にその三要素すべてにかかわるもの」でした。 |
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検査値の推移をどう読むか |
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| いちばんわかりやすい「身体性」から書きます。一喜一憂はしませんが,月に一度の検査値はやっぱり気になります。 わかりやすい,というよりはっきりした数字で表わせる,といったほうがいいのでしょう。 でもこの数字をどう読むか,その推移をどう判断したらいいか,素人にはむずかしいことです。 とにかく前回公表した分に最近までの数字を加えて,過去2年半の血糖値とヘモグロビンA1cを一覧してみます。 |
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| ぼくの血糖値とヘモグロビンA1c 2001年 01月23日 143 6.9 02月21日 169 6.9 04月05日 126 6.9 05月02日 154 7.5 05月31日 173 7.7 06月28日 151 7.8 07月31日 128 7.7 09月04日 118 7.6 10月06日 118 7.4 11月02日 106 7.0 12月08日 109 6.7 12月29日 138 6.6 2002年 01月28日 146 7.1 02月25日 187 7.7 03月25日 132 7.4 04月24日 132 6.9 05月28日 092 7.0 06月29日 167 7.4 07月26日 128 7.0 08月29日 128 7.9 09月30日 148 8.1 10月28日 143 8.3 11月27日 148 7.8 12月25日 234 8.1 2003年 02月 3日 119 7.8 03月 3日 161 7.3 04月 3日 123 7.1 05月 1日 135 6.7 |
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| 去年12月の血糖値もヘモグロビンA1cもグンと上がったのにはちょっと驚きました。これには思い当たる節がないから です。9月と10月は前に書いたようにポカリスエットの飲み過ぎとわかって11月にはやめていました。 |
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一致しない体調の良さと検査値 |
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| 12月のような高い数値を示すときは別として,血糖値の高低にはあまりこだわらないようにしています。検査するところの西洋医の先生も,漢方薬を処方してくださる本間先生も,血糖値にはあまり触れないせいもあります。 推移を見る指標としてヘモグロビンA1cがあるわけですから,そういうことになるのでしょう。患者であるぼくの立場で強調したいのは,今年の2〜5月の間のヘモグロビンA1cの改善です。あと一息で正常域です。 もう一ついいたいのは,一月には去年よりたくさん砂糖を使ったおせち料理を堪能したり,二月には友人の葬儀があってかなりの酒を飲んだのに,少しづつ確実に改善していることです。 毎日計る血圧も正常だし,がんの再発・転移もないし,この冬も風邪はひきませんでした。 もっと大事なのは体調の良さで,今年は年明け早々から,去年よりさらに体調がいいのです。だから12月の高い数値にかかわらず,今年はきっと改善されると思っていて,結果もそのとおりになったわけです。 |
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検査値には振り回されない |
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| ぼくとしては,前に本間先生がいわれた,「自覚症状的なものの改善が大事。ひとつの断面である検査値にはあまり振り回されないように」ということを頼りにしていくつもりです。 足の裏の違和感も,ほんの少し軽くなったような気がするし,今年は少しぐらい食べ過ぎたり飲み過ぎたりしても いちいち検査値が高下しないような「弾性」に富む身体にしていきたい,していけると思っているところです。 |
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体調の良さは寝言の出力で 精神性/霊性の面の健康@ |
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| 身体性ではない側面の健康に,話は移ります。精神性/霊性というのはワイルさんの表記で,このふたつの間に線は引けないからと思っています。 前の号で紹介した上野圭一「補完代替医療入門」を読んでいて驚いた箇所があります。 |
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入力量を減らし出力量を増やす |
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| 「肥満や便秘にかぎらず,ほとんどの生活習慣病や心身症,抑うつ・不眠などの症状は,入力する情報・物質の量よりも出力する情報・物質の量が少ないことから生じているといっても過言ではない。ならば,解決法は肥満のそれとおなじく,入力量をへらし,出力量をふやすことにあるとかんがえていい」というところです。 ワイルさんが「八週間プログラム」で,「入力量をへらすため…『一日断食』と『ニュース断ち』をすすめ」,一方で「出力量は意識的にふやす必要がある」として「呼気の長い意識的な呼吸,毎日45分のエアロビックなウォーキング,…など,…をすすめている」ことが例示されます。ここまではよくわかります。 「情報であれ物質であれ,外部から入ってきて心身に刻印(impress)をのこすもの,すなわち入力するものの質はできるだけ『美しいもの』『快いもの』,つまりは生命がよろこぶものに限定したほうがいいにきまっている。そして,排泄や分泌はいうにおよばず,出力する精神活動や身体活動においてもまた,できるかぎり『自然の法則』にあった『快いもの』にする必要がある。その意味で,あいさつ・パフォーマンス・創作活動など,出力としての『表現活動』(expression)は,ことのほか重要である。右肩あがりでふえる一方の抑うつ(depression)的な症状は,文字どおり,ことばの真の意味での『表現活動』の欠如から生じていることを示唆している」。ここまで読んで,アッと思ったことがあります。 |
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自分の寝言の意味がわかる |
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| 実は「八週間プログラム」を実行したあとに,それまでにない種類の寝言をいうようになった自分を発見して,何だろうとずっと訝しく思っていました。何かにうなされるわけでなく,何かを表現しないでおれなくなって,一所懸命しゃべっている感じなのです。寝言がはじまると自分にわかります。あ,またやっているな。 ちょうど「だいだい」編集と勉強会のための猛勉強をはじめたころです。その関連の情報の入力量に比べて出力量はかなり少なかったと考えられます。そうなるとその余りをどこかに吐き出さないと身体がもたなくなる。その発散の場が寝言だったと解釈すれば,話はうまく納まる,そう思っています。 |
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顔色の良さは恋愛と音楽で 精神性/霊性の面の健康A |
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| 「だいだいクラブ」をはじめる少し前に読んだ本,三木鶏郎著「私の愛する糖尿病」(ちくま文庫)で,ずっと気になっていたことがあります。 |
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糖尿病には"恋愛療法"がある |
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| 三木さんはほんとに偉い人で,その一つが,超多忙の間をぬって長年にわたり「検尿日誌」をつけていたことです。 「…日誌にその日の出来事や会った人の種類を克明につけて見ました。するとどうでしょう,恋人とか美人タレントあるいは仕事に関係のない昔の友人などが見舞にきてくれて,談笑したり散歩したりしたときは案外尿糖が少ない。つまり,その日とった糖質の量と,インシュリンの単位から,当然このくらいの糖量と思われるのに,それが意外と少ないのです」。 「つまり精神的な面が意外に大きな影響を与えることです。楽しいムードの生活が好結果を与え,〆切に追われたエコノミックアニマルの生活は悪い結果を与えるということです」。 これは重大な指摘です。なのにこの本の出版から20年余も経っているのに,医者がこのことを見落としているとしか思えない。ぼくはひそかに"糖尿病の恋愛療法"と名づけて,世に広めたいと考えています。 似たようなことを書いた人を,ぼくはワイルさんしか知りません。「心身自在」に「恋の治癒力」というのが「治癒の物語」として載っています。 その最後のところだけ引用します――「恋ごころとセックスの高揚感がすべてを燃やしつくしてしまったのです。くすりも注射もなしに,触覚と味覚と聴覚と嗅覚をフルに活動させ,ふたつのこころをひとつにしただけで治ってしまったのです。医者にもらうくすりより,ずっと強力なくすりでした」。書いているのはある作家です。 |
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実用段階に入った?"恋愛療法" |
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| もったいぶるつもりはないのですが,紙数もないので詳しくは稿を改めて書こうと思っています。お楽しみに。 ひとつだけ言い添えると,最近はじめて会った生活習慣病予防指導士の仲間に"恋愛療法"のことを話したら,いたく気に入ってくれて,メールが届きました――「小生も負けずにイキイキ、ワクワクできるよう に頑張ります」。 老人ホームでの恋愛について,いつかテレビで関係者が話しているのを聞いたことがあります。「ほんとに生き生きとしてくるんですよ。カサカサだった肌の色艶もよくなって…」。 精神性/霊性が分けられないこと,体調と顔色の区別もそうはっきりしたものじゃないことをわきまえた上で,ぼくの顔色の良さはたぶん"恋愛療法"に多くを負っていると書いておきたいと思います。 |
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音楽は必ず霊性に働きかける |
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| 顔色が良くなった要因として,もうひとつ,音楽をあげておきます。 はじめて生のオーケストラを聴いてから50数年,生のコンサートを1000回以上聴いてきて,つくづく良かったと思います。「入力するものの質はできるだけ『美しいもの』『快いもの』」がいい。 この5月にも,4年ぶりに会った古い知人から「ほんとにいい顔色だね」とほめられ,1年ぶりだった生活習慣病予防指導士の仲間からも「顔色ずいぶん良くなりましたね」といわれて,気をよくしています。 出力としての「表現活動」のひとつが会報「PPK」の編集・制作だと考えています。 |
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