ここではコロイド、皮膚浸透性などについて書きます。
(1)コロイドとは
(2)分子量
(3)皮膚の透過性
「コロイド」はもともとはイギリスのトーマス・グレアムが1861年にデンプンやゼラチン のように半透膜を透過することが出来ない物質を表すためにつくった言葉です。 現在、「コロイド」は二つ以上の相が混在したもので、一方の相(分散相という)の微粒 子がもう一方の相(分散媒)のなかに浮遊しているものと考えられています。 分散相の微粒子の大きさは1μmー1nmです。 *1μm(マイクロメーターまたはミクロン)は1mの100万分の1 *1nm(ナノメーター)は1mの10億分の1 *「ゾル」:「コロイド」のうち、固体の微細粒子が液体の分散媒の中に浮遊しているもの を「ゾル」と言います。 デンプン溶液は「ゾル」です。
(1)原子質量単位:Atomic mass unit
原子の質量を表す実用単位で、1個の炭素-12原子の質量の12分の1をいいます。
単位は u で表します。
1 u = 1.6605 x (10の−27乗) Kg
という式が成り立ちます。
(日本質量分学会用語委員会編:マススペクトロメトリー関連用語集による)
単位については amu としているものもあります。
1 amu = 1.6605 x (10の−27乗) Kg
(Atomic Theary:Basic Concepts,http:www.physchem.co.za/Atomic/Basic%20Concepts.html)
生化学領域では 1 amu はしばしば 1 Dalton (Daと略)という単位が用いられます。
1 amu = 1 Dalton = 1.6605 x (10の−27乗) Kg
(Science College-Moles,http:www.iloveplant.co.uk/post16_chemistry/moles.html)
(2)原子量:Atomic weight
1個の炭素-12原子の質量を12として表した原子の相対質量をその原子の原子量といいます。
相対原子質量(Relative atomic mass)ともいいます。
1個の炭素-12原子の質量の12分の1に対するある元素の1原子の平均質量の比で表されるもので、
単位のない無次元量です。
(日本質量分学会用語委員会編:マススペクトロメトリー関連用語集による)
炭素原子は大部分は炭素-12原子(原子核に陽子6個、中性子6個)ですが、原子核に
陽子が6個と中性子が7個(炭素-13原子)、陽子が6個と中性子が8個(炭素-14原子)
のものもあります(同位元素)。
炭素-12原子は98.9%、炭素-13原子は1.10%、炭素-14原子は痕跡量(計算する時には無視出来る)
という存在比なので、炭素の原子量(相対原子質量)は、
炭素-12原子の原子質量単位 x 存在比(100分の98.9)
炭素-13原子の原子質量単位 x 存在比(100分の1.10)
炭素-14原子の原子質量単位 x 存在比(痕跡量=ほぼ0)
を加算した総和なので、
炭素の原子量(相対原子質量)= 12.001(単位はなし)
となります。
講談社刊『元素111の新知識』(桜井著、ブルーバックス)には111の元素についての記載が
あり原子量(単位はなし)、同位体とその存在比が書かれています。
(3)相対分子質量(Relative molecular mass)
分子量:Molecular weightのことです。
ある分子の分子量は、その分子を構成している元素の原子量(相対原子質量)の総和です。
原子量(相対原子質量)と同様に単位のない無次元量です。
(日本質量分学会用語委員会編:マススペクトロメトリー関連用語集による)
硫酸はH2SO4です。水素(H)とイオウ(S)と酸素(O)から構成されています。
水素(H)の原子量(相対原子質量)は 1.008
イオウ(S)の原子量(相対原子質量)は 32.064
酸素(O)の原子量(相対原子質量)は 15.999
ですから、硫酸の相対分子質量(分子量)は、
水素2原子の原子量の総和 1.008 x 2 = 2.016
イオウ1原子の原子量の総和 32.064 x 1 = 32.064
酸素4原子の原子量の総和 15.999 x 4 = 63.996
を合計して、98.076になります。
硫酸1分子の相対分子質量(分子量)は98.076(単位はなし)です。
*平均分子量(Average molecular weight)という用語があり、これは相対原子質量
(Relative atomic mass)から計算される分子量のことです。
平均分子量の値は相対分子質量の値に等しく、分子量(Molecular weight)、
平均質量(average mass)と同じ意味です。
平均分子量という用語が必要なのは合成高分子化合物の分子量を表す為です。
合成高分子化合物は一般に混合物として(均一な化合物ではなく)存在している為、
分子量表示をする場合には平均分子量として表す必要があります。(実際には
数平均分子量、重量平均分子量が用いられます。)
(日本質量分学会用語委員会編:マススペクトロメトリー関連用語集を参考にしました)
分子量(相対分子質量)の例
ブドウ糖:D-グルコースC6H12O6の分子量は180.16
麦芽糖:マルトースC12H22O11の分子量は342.30
*マルトースはグルコースがアルファ1→4結合した二糖類
食品の保存料として使用されるパラベン(これは総称でパラオキシ安息香酸類エステル)
メチルパラベンC8H8O3の分子量は152.14
ブチルパラベンC11H14O3の分子量は194.22
ビタミンB12:シアノコバラミン(cyanocobalamin)(右図)
5,6-dimethylbenzimidazolyl cyanocobamideと
しても知られています。
分子式はC63H88CoN14O14Pです。
炭素63原子、水素88原子、コバルト1原子、
窒素14原子、酸素14原子、リン1原子からなり
ます。
分子量は1355.38。
ビタミンC:アスコルビン酸(Ascorbic Acid)
分子式はC6H8O6
分子量は176.13。
*分子量を小さくすることはできません。
(『標準皮膚科学』医学書院、1990年、p3より引用) 左の図は皮膚の断面の模式図です。上から表皮、真皮、皮下組織の3層に分けられる事を 示しています。 右の図は表皮(皮膚の最上層)を顕微鏡レベル(光学顕微鏡)で見た構造の模式図です。 表皮は真皮に接して次の層からなっています。 ・基底層:基底細胞が1層並んでいます。 ・有棘層(ゆうきょくそう):基底層の上にあり、有棘細胞(ゆうきょくさいぼう)が 数層見られます。 ・顆粒層:有棘層の上にあり、1〜数層の顆粒細胞からなります。 (・透明層:手のひらや足底など角層の厚い部分にだけ見られます) ・角層:表皮の最表層で角質細胞からなります。 これら表皮を作る細胞の層には免疫を担当する抗原提示細胞(ランゲルハンス細胞)や メラニン色素をつくるメラニン産生細胞(メラノサイト)があります。 もう一度左の図に戻って説明します。 表皮に下には真皮があります。 真皮は3つの層からなっています。 ・乳頭層:表皮と入り組んでいます。疎らで繊細なコラーゲン線維、弾性繊維があります。 線維を造る細胞(線維芽細胞)や毛細血管、知覚神経があります。 ・乳頭下層:乳頭層の下にある層です。血管や神経が豊富にあります。 ・網状層:太く、密にコラーゲン線維や弾性線維があります。 〈皮膚の浸透性〉 皮膚は上で見たような構造をしています。この皮膚を通した物質の浸透には2つの経路 があります。 *毛包・脂腺経路:皮膚にある毛包・脂腺を通して物質が浸透する経路です。 重金属やステロイドホルモン、ビタミンAが吸収されます。 *表皮経路:表皮全体を通して浸透する経路です。 脂溶性物質は一般に吸収されやすいのですが、高分子物質、電解質、水溶性物質 は吸収されずらい物質です。 また皮膚の温度が高く、角層水分量が多い場合、角層に傷がある場合には吸収が 起こりやすくなります。