《ビタミン・ノート》(文責:C)
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ビタミンについての雑学的ノートです。

第1回:ビタミンAの概論(2003.9.19.)

次回以降の予定
第2回:ビタミンAの生理作用
第3回:ビタミンAの欠乏症、過剰症
第4回:ビタミンAの所要量


第1回:ビタミンA (Vitamin A)の概論

ビタミンAはレチノイド類(retinoids)として知られる化合物の一群です。

レチノイド類(retinoids)の基本構造は右図のようになっています。
炭素20個からなる化合物ですが右側(15位)のRがどのような物質かによって種々の化合物を含みます。


R:CH2-OHとアルコール(-OH)になっているアルコール体はレチノール(retinol)です。
R:CHOとアルデヒド基(-CHO)になっているアルデヒド体はレチナール(retinal)です。
R:COOHとカルボキシル基(-COOH)になっているカルボン酸はレチノイン酸(retinoic acid)です。


レチノール(retinol)
右に示したのはレチノール(retinal)の構造式でC20H30O、分子量は286.46です。
レチノールはビタミンA、ビタミンAアルコール、ビタミンA1などとしても知られています。
(一般にビタミンAという場合、レチノールのことを指しています)

レチナール(retinal)
レチナール(retinal)はC20H28O、分子量は284.44です。
レチナールはビタミンAアルデヒド、ビタミンA1アルデヒドなどとしても知られています。

レチノイン酸(retinoic acid)
レチノイン酸はビタミンA酸、トレチネインとしても知られています。



カロテノイド類(carotenoids)
ベータ・カロテン(beta-carotene)や他のカロテノイド類(carotenoids)は生体内でレチノールに変換され、ビタミンA活性を示します。そのためプロビタミンAカロテノイド類(provitamin A carotenoids)と呼ばれます。
500種類以上のカロテノイド類が知られていますが、それらのうちおよそ10%がビタミンA活性を持っています。これら10%のカロテノイド類にはベータ・カロテン、アルファ・カロテン、クリプトキサンチンなどがあります。


<ビタミンAの活性>
 通常ビタミンAと言う場合、アルコール体のレチノールを指すと書きましたが、種々の物質がビタミンA活性を持っています。このビタミンA活性の程度も物質により様々です。
 ビタミンA活性の基準値として国際的にはレチノール当量(retinol equivalents,RE)が用いられます。これはビタミンAの活性をレチノール(retinol)を基準にして表そうとするものです。

*1mcgのビタミンA(食物中のビタミンA)=1mcgのレチノール

という関係にあります。(より正確に書くと、1RE = 1mcg all-trans-retinolです。)

**transは炭素の2重結合C=Cは回転できないという性質から生じる幾何異性体(立体異性体の一つ)のうちtrans型という意味です。(もう一つの幾何異性体はcis型)。

 同様に、食物中のベータ・カロテン、食物中のアルファ・カロテン、食物中のベータ・クリプトキサンチンのビタミンA活性は、

*1mcgのベータ・カロテン(食物中)=1/12mcgのレチノール
*1mcgのアルファ・カロテン(食物中)=1/24mcgのレチノール
*1mcgのベータ・クリプトキサンチン(食物中)=1/24mcgのレチノール

 注:同じベータ・カロテンでもサプリメント(オイルに溶けた状態)としてのものは、

*1mcgのベータ・カロテン(サプリメント中)=1/2mcgのレチノール

と食物中のものに比べビタミンA活性は高くなっています。(製品により異なりえます。)

 ビタミンA活性を表す単位に国際単位(international unit,IU)というものがあり、今でも使われることがあります。IUとREには次の関係があります。

*1 IU=0.3mcg RE


<参考資料>
*Retinoid Nomenclature:http://www.chem.qmul.ac.uk/iupac/misc/ret.html
*ビタミンA:日本ビタミン学会(http://web.kyoto-inet.or.jp/people/vsojkn/gen-vit031.htm)
*Overview of Clinically Relevant Micronutrient Metabolism;Nutrition in Clinical Practice,Lippincott Williams&Wilkins,2001
*VITAMIN A;Linus Pauling Institute :http://lpi.oregonstate.edu/infocenter/vitamins/vitaminA/index.html
第2回:ビタミンAの生理作用
第3回:ビタミンAの欠乏症、過剰症
第4回:ビタミンAの所要量