☆ 日本の製薬会社、生き残れるのはわずか? ☆
2002年3月13日
販売ネットワークの拡大など超大規模化しないと生き残るのは難しいと言われる薬品業界。日本の製薬会社はこれまで規制に守られてきたけれど、このままでは厳しい市場競争に生き残れない?
最近になって薬品業界の動向が注目されています。外資系と国内製薬会社の買収や提携、またそれに対抗する為に国内企業同士が合併するといった記事が目に付きます。もともと日本国内の製薬会社は数々の非関税障壁により保護されてきたこともあり、国際的に比較すると小さな会社の集団でした。また薬価は政府に管理されており、医療制度の苦しい台所事情から毎年引き下げられています。
グローバルな視野で製薬業界を見てみると状況は全く異なります。過去10年間、国境を越えた大型の買収・合併が繰り返され寡占化が急速に進みました。その理由は2つ挙げられます。まず新薬の開発に莫大な費用がかかる点が挙げられます。新薬の開発は何千何万といった成分の分析から始まり、その後数年をかけて臨床試験を行い薬の効果と安全性が確かめられます。この莫大な研究開発費を維持していくにはスケールメリットが欠かせません。
また販売においてもグローバル化が欠かせなくなってきています。薬品はコンピューターソフトウエアーと同じで、1度開発してしまえば個々の製品を製造するには大きなコストがかからない産業です。また特許があるので他社は類似商品を出すことは出来ません。莫大な費用を投じて開発した新薬は1国の小さな市場のみでは十分なリターンが得られません。したがって世界の市場で販売し最大限の収益を得る必要があります。海外の大手製薬会社はグローバルな販売網を築く為にも提携や合併を積極的に行いました。
ここでなぜ新薬の開発が重要な意味を持つか述べてみたいと思います。薬価が管理されている日本とは異なり、最大市場である米国では新薬の開発が企業の生死を決めるといっても過言ではありません。自由市場の米国においては、新薬はその薬効によって患者が得られるメリットが大きければ大きいほど高い値段を付けても患者・医療保険会社はその薬を買ってくれます。例えば莫大なコストをかけて手術するよりも投薬で同じ効果が得られるのであれば多少値が高くても薬を買ってくれる訳です。逆に特許が切れてしまうとその薬価は急激に引き下げられます。それはジェネリックと呼ばれるパテント切れの薬を専門に製造する会社が廉価でコピー製品を出してくるからです。
このような環境下どのような国内製薬会社が今後成長できるのでしょうか?まず大切なことは有望な新薬の開発が進んでおり、更にそれをグローバル市場に出すことの出来る販売ネットワークを持っていることでしょう。この条件を満たす国内製薬会社は大手一握りになってしまうかも知れません。逆に国内市場のみに依存しているプレーヤーは益々厳しい状況に置かれていくことは間違いないようです。
※本稿は私個人の意見であり、アイエヌジー投信(株)の見解またはそれを代弁するものではありません。
アイエヌジー投信(株) チーフインベストメントオフィサー 水野秀昭
提供:株式会社FP総研
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