だいちからのメールの返事はこなくてこの薬指の指輪がギリギリの境界線だった。もう 何が何だか変わんないよ
夕方から、だいちとあの場所で会ってきた。男と女が2人いて そして求めるものって結局はひとつしかないのかもしれない。けど、それ以上に欲しい"モノ"があった。
この温もりも全部 やっぱりだいちでなきゃダメなんだって、改めて実感して、そしてそれが確実な"モノ"になった。熱くなったこの心と身体が求めるのは、間違いなく だいちの全てだった。どんな奇麗事も聴こえないどんな説得も聴こえないどんな常識も耳に入らないそれくらい、アタシの気持ちは確かで重かった。
身体が熱くなった。どんどん どんどん熱くなって、触れられているひとつひとつに敏感に反応していた自分唇の感触も、息遣いも、指の動きとか、抱きしめる強さまで、全てがアタシの求めている"モノ"だったの。
どうしようもない位好きになってしまった。あの時は、寂しさを埋める為の存在なのかと、自分を疑ったりしたけれど、でも 今はそんなの1%もないよ。ぜんぶ 君のぜんぶがアタシに必要なんだ。
この身体が求めるのも 間違いなく君だから
ほんとは ずっとずっと前から気づいてた?でも口にしちゃいけなかったから そんな言葉。
なんでかなぁ。アタシ、恋してんのかな?それとも、ひと時の優しさ 温もりを求めてるだけ?大地なら、この淋しさを 隙間なく埋め尽くしてくれるかもしれない なんてね。
なんで付き合ってんのかわかんない時がある。最近それが多い。忘れちゃダメだよ、あの時の熱い気持ち。そう自分に言い聞かせようと必死。好きなのに、なんで、こんなにも彼にイライラするんだろう。てゆうか、好き なはずだよ?
忘れられない想い出や、忘れたくない思い出たち、全部全部失いたくない守りたい大切なもの。忘れるのは怖いけど、忘れるのは嫌だけど、忘れなきゃいけない時ってあるのかなぁ。今アタシは、弘文の物なんだよね。じゃあ、大地との想い出は全部 抹殺するべきなの?
ねぇ 好きだよ。実際まだ好きだ。そりゃTのことは愛してるけど、忘れられないんだよ。なんて最低な女だ
けどね、弘文を失って後悔するのも アタシなんだから、やっぱりさよならは言えないんだ。届けたい気持ちより、隠し通さなければいけない気持ちの方が多すぎて、破裂しちゃいそうだよ。
昨日の電話でTに「大地だろ?」って言われて「違うよ!」って否定した自分の声が、なんとも弱々しく思えた。それはTにも伝わったはずでしょう。
だって現に、あの時の苦しい時 傍で笑顔で支えてくれたのは、Tじゃなかったよ?大地だったよ?頼りない言葉と、頼りない背中に 苛立ちや不安も感じたけれど、でもそれ以前にアタシの気持ちを察してくれた。Tも辛いの解ってるから、結局はアタシの我が侭だよ。解ってるけど、でも 不安だったから。苦しかったから。目の前にある幸せの方が大切に見えてしまった。これ以上 間違いを抱えたくないよ
なんて言い訳で、愛が薄れている証拠なのかもしれない。
彼は意外に臆病で脆いから、何も言わないけど きっとそれに気づいてるんだと思う。それでも何も言えない状態にしてしまったのは、アタシのせいなんだ。
彼の前で大地と話すなんてしちゃいけない事だったのに。確実に彼を傷つけた。でもフォローはしなかった。そこまでがむしゃらになって受け止め、追いかけるほど、もう可愛くも純粋でもなくなった。その証拠に、愛を信じられなくなったなんて
アタシほんと冷たい女だって思う。目先の幸せに囚われてる気さえもする。今の淋しさを埋めようと必死なのかもしれない。でも、そうじゃない気もする。
自分には大地が必要な気がする。大地でなきゃダメな気もする。後で"今までのは全て嘘だよ"そういってアタシを笑い飛ばしていいから、誰かアタシを必要として。お願い。誰かと繋がっていたいの。
"君はまたそうやってアタシを苦しめるの?"
ううん、違う。こんなのは我が侭なアタシの被害妄想でしかなくて、本当は 本当に苦しんでるのは、大地なんだよ。気づいてた。でも 気づきたくなかった。気づかないフリをしていた。
例えば苦しいとき 助けてくれたのは、Tじゃなく大地だった例えば淋しい夜 求めたのはTじゃなく台地だった例えば温もりが欲しいとき 声を届けたのは大地だった
"これは愛なの?"聞かれれば言葉に詰ってしまう。でもこれは紛れも無い事実だし、どれだけアタシが最低かもよくわかるし、もしかして、大地を利用しているだけなのかもしれない。でも、そうであってもそうでなくても、今のアタシには大地が必要で。だからと言ってTが要らないという訳でもなくて。答えを見出せずに迷っているあたしに、大地も飽き飽きしたのかな。もしこれが愛じゃなかったとしたら…