QT延長症候群Long QT Syndrome戻る

脈が急に乱れて失神や意識を失う発作が起こる病気で、遺伝するものもあります。この病気では意識を失う発作が止まらない場合は死亡することがあります。しかし、発作がないと自覚症状は全くありません。また、検査では心電図でQTといわれる波形の部分が長い以外は異常が見つかりません。健診でも見落とされることもあります。先天性QT延長症候群には常染色体優性遺伝のRomano‐Ward症候群と常染色体劣性遺伝で聾症状を伴うJervell-Lange Nielsen症候群があります。また家族歴を認めない孤発性QT延長症候群も10%程度認められます。後天性QT延長症候群では薬剤(一部の抗不整脈薬、抗生物質の一部、抗ヒスタミン剤の一部)や電解質異常に由来するものが多くみられます。

原因
現在では2つの原因が考えられています。一つはNaやKなどを出し入れする心臓の細胞にあるチャンネルの異常です。規則正しく脈を打つには、心臓の中で命令が正しく伝えられることが大事ですがQT延長症候群では、このチャンネルが正常に働かなくなって、命令が正しく伝えられなくなります。この時、脈の乱れが起きやすくなるのです。チャンネルの異常が遺伝子の異常からおきているのです。現在では4種類の遺伝子の異常が見つかっていますが、遺伝子に異常が見つからない患者さんも多く、他の種類のチャンネルにも異常があるのではないかと考えられています。もう1つは交感神経といわれる神経の異常でこれは背骨の横に左右1本ずつあります。交感神経の役割は心臓に脈を打つように命令することですが、QT延長症候群の患者さんでは、左側の交感神経の働きが右側より勝っておりバランスが悪いといわれています。
治療
薬物療法
交感神経の働きを抑える薬などを服用します。この薬により突然死はかなり予防できます。
手術
1.左側の交感神経の切断
心臓に命令を送る左側の交感神経を首から胸にかけて切断します。
2.ペースメーカー植え込み
脈を速くするためにペースメーカーという器械を体に埋め込みます。ペースメーカーは本来、脈が遅くなったり打たなくなったりする病気に使われる器械です。
3.植え込み式除細動器
これは体内に埋め込む小型の電気ショックの装置です。
予後
治療を受けない場合は突然死する可能性が高くなります。アメリカでの研究の報告では初回発作の後、治療を受けなかった患者では1年後に2割以上の方が突然死で亡くなり、15年後までには半分以上の方が亡くなっているという報告があります。治療を受けた患者では15年で1割以下の死亡率であったとの報告がありました。