研究会の趣旨

 

この度、女性精神医学症例研究会を開催するにあたって、これまでの経緯と本研究会の趣意をご説明します。

 最近一部の大学医学部や医科大学の附属病院でレデスクリニックないし女性外来が開設されています。精神医学領域では女性は男性と異なり、月経周期に伴うホルモン変動によって精神的な変調を来しやすいことが知られています。その臨床症状や病態、治療法は未だ明確ではなく、実地臨床において診断と治療に難渋することがあり、受診する方々のQuality of Life(QOL)に悪影響を与えます。私達は月経に伴う精神神経症状の診断、病態と治療法の再検討を目的として、平成15年3月29日に「月経関連医学研究会」を開催し、70名ほどの精神科医師、産婦人科医師が参加し、これらの点を討議しました。
 女性の精神医療は月経のみでなく、結婚ー出産ー育児ー更年期といったライフイベントがあり、職場や社会では女性としての性役割意識が問われます。さらに、女性であることの自己確認とそれに伴う精神的自立という課題もクリアーしなければなりません。これらの要件はそれぞれに精神的な変調を生じる要因になりますので、女性精神医学というべき診療領域が必要になります。平成15年9月に20歳ー60歳代の有職女性を対象にしたアンケート調査では、女性としてのストレスや葛藤に由来する不安障害やうつ状態などの精神症状に対する診療の要望が極めて多く、次いで月経関連精神神経症状の診療希望でした。そして、これら女性特有の症状の診療を目的とした女性精神医学の専門領域の診療の開設を望む声が90%以上でした。
  さらに、精神疾患における性差を考慮した医療や薬物療法も
必要になります。
 日本では女性精神医学は未だ緒についたばかりですので、現状に合った診療をいかに進めるべきか検討する時期に来ていると考えます。今後の女性精神医学の需要増大に答えるべく、私達は社会からの要望に耳を澄まし、自らの知識と技量を磨いて新しい局面に対応する必要があります。そこで、精神科、産婦人科、心療内科、臨床心理の領域で女性精神医学の診療に関わっておられる方々を中心に、女性精神医学の在り方、理論および実地の技法の向上をはかるために、症例を提示してこれらの点を討議する場を設定し、社会からの要望に答えてゆくよう努めたいと考えております。