心の準備が整い、自分なりの捨てる基準ができたら、さっそく作業にかかりましょう。
● 1 ゴミ袋を用意する
これから大量に物を捨てる必要が出てきます。ゴミ袋は多めに用意します。燃えるごみ用20袋、燃えないごみ用20袋くらいは買っておきます。
ゴミ袋を失くさないように気を付けましょう。ゴミ袋を置いておくのに一番良いのはゴミ箱の一番底です。覚えやすいし、便利です。
ゴミ袋は燃えるごみ用と燃えないごみ用と2つを手に持ちます。
燃えないごみは後で仕分けすることにして、カンもビンも電池もひっくるめて燃えないごみの袋に入れます。
作業している間、どっちの袋がどっちか混乱しないように、法則を決めておきます。
台所(火)に近い方に燃えるごみを置く、など。
できればゴミ箱があればぽんぽん投げ込めて良いんですが、なければ、ゴミ袋の口をあけて床に置いておきます。
● 2 物を捨てる範囲を決める
そして、「攻める場所」を決めます。
「攻める場所」はまずは、小さい範囲にしなくてはいけません。これだけは重要です。※
「台所のシンクの下の右半分」や「パソコン台の一番上の棚」など。
どこからはじめてもいいとおもいますが、
最初の「攻める場所」に一番適しているのは玄関です。
(ごみを置くのに一番良いし、わりとせまいので効果が目に見えます)
特にこれという場所が思いつかなければ玄関を片づけることにし、玄関の中でどの範囲を片づけるか決めましょう。
とくにこれという場所を決められなければ、「一番高いところ」か「一番奥のところ」を選びましょう。
(高いところから低いところへ、奥から手前へ、というのは掃除の手順です。片づけにも応用してみました)
※ 小さい範囲がおすすめなのは、「気が散る前に作業を完遂する」ということがとても重要だからです。
自分で片づけをしていて気が付いたのですが、大きな範囲をいっぺんにどうにかしようとすると、失敗する確率がぐんと高くなります。
作業を終えるまでに時間がかかることによって気が散りやすくなり、結果がなかなか見えず、疲れてしまうからです。
そして、大きな範囲に挑戦して、片づけ作業を完遂できなかった場合、振り出しに戻るか、挑戦前より散らかって、状況はちっとも良くなっていないのに、心だけ疲れ切ってしまいます。
面倒そうに見えても、小さな範囲に区切って、一つ一つ片づけていった方が結局は能率も良いのです。(これは仕事でも言えることです)
焦る気持ちを抑えて、小さい範囲に区切って挑戦してください。
例えば、4段のタンスを片づけるとき、棚1段づつ片づけましょう。4段分いっぺんに中身をひっくり返して片づけるよりも、最後までやり遂げる確率が高くなるし、能率も良くなります。
● 3 ひたすら捨てる物を袋にいれる
さて、「玄関の靴だなの上」を攻めると決めたとします。
いざ、「ここを攻める」と決めたら、捨てまくりマシーンになりましょう。
感情を交えず、ひたすら「これはいる」「いらない」と独り言を言いながらゴミ袋に物を入れていきます。
独り言をいうのはリズムをつける意味と、気が散りそうになったときに、自分がしている作業を思い出すためです。
さて、靴だなの上にはいろいろな物が乗っています。
ちらし、まだ開けていない封筒、新聞紙、お菓子のごみ、ミカンの皮、詰替用シャンプー、シャンプーの試供品、リンスの試供品、ほぼ新品だけどあまりはいていない靴、友人の結婚式の引き出物としてもらった置物、自転車の鍵、冷蔵庫の保証書、ペットボトルを買ったときに付いてきたキーホルダー、友達の携帯電話の番号を書いた紙。
捨てまくりマシーンとなったあなたは、とにかく手を伸ばしてどれか一つをつかみ、それをなんとかして捨てられないか、考えます。
ちらし→すてる。なくして困るものではない。
「いらない」といいながら燃えるごみの袋へ。
開けていない封筒→開けて中身を確認し、捨てる
「いらない」といいながら燃えるごみの袋へ。
新聞紙→捨てる。まだ読んでなかったとしても、昔の新聞1日分読まなかったぐらいで人生に影響が出ることはない。新聞紙だけでまとめて捨てる必要があるなら、「燃えないごみ」の袋に入れる。
「いらない」といいながら燃えないごみの袋へ。
お菓子のごみ→捨てる。
「いらない」といいながら燃えるごみの袋へ。
ミカンの皮→捨てる。
「いらない」といいながら燃えるごみの袋へ。
詰替用シャンプー→買ったけど使うのに気乗りがしなくて置いてあるなら、どうせ使わないので、燃えないごみとして捨ててしまいましょう。他の誰かにあげたら使うかもしれません。が、すぐあげる相手が思い浮かばなければ、捨ててしまいましょう。もったいないけれど、いまは自分の生活の建て直しの方が大切です。
使う気があるなら、風呂場の方向へ放り投げておきます。そして後で通りかかったとき、風呂場に置きます。※
「あとで風呂場に置く」といいながら風呂場周辺へ。
シャンプーの試供品→捨てる。将来旅行の時に持っていこうと思っても、旅行の時には試供品が見あたらないで旅館のを使うことになる。もったいなければ風呂場に投げ込み今晩すぐ使う。
「いらない」といいながら燃えないごみの袋へ。
リンスの試供品→シャンプーと同じ。
ほぼ新品の靴→新品なのに履いていないのはなぜなのでしょう。気に入っていないのなら、これからもどうせはかないので捨てる。サイズが合わないのならますます捨てる。よっぽどの高級品でなければ、他人の靴をもらって素直に喜べてサイズもあう人を見つけるのは大変です。結婚式・葬式用の靴なら、滅多に使わないので、靴箱の奥の方へしまう。
「いらない」といいながら燃えないごみの袋へ。
引き出物の置物→特に気に入っている訳でなければ捨てる。
「いらない」といいながら燃えないごみの袋の中へ。
自転車の鍵→ないと困るものなので、その場へ戻す。
「これはいる」といいながらその本棚の上の一番奥に置く。
冷蔵庫の保証書→期限が切れていないか確認し、切れていたら捨てる。切れてなければ、本棚方面に投げておき、あとで通りかかったときに本棚に差し込む。
(あとで差し込む自信がなければ、立ち上がっているいまのうちに本棚まで直接いって差し込んできてもいいですが、
その場合は走っていって、差し込み、走って戻ってこなくてはいけません。ゆっくり歩いていくと、他の物が目に入って気が散ってしまい、作業が完遂できなくなる可能性がでてきます。途中でごみを見つけても拾ってはいけません。いまは何よりも靴だなの上を片づけることが大切です。ごみは、後でその場所を片づけるときにまだその場所にあれば、そのとき拾えばいいです。)
「本棚に入れる」と叫んで本棚方面に投げつける。
キーホルダー→今すぐ使う予定がないなら捨てる。まあまあかわいいと思っていても、その程度にかわいいキーホルダーくらい欲しくなれば手にはいる。
「いらない」といいながら燃えないごみの袋へ。
友達の携帯電話の番号を書いた紙→自分の携帯電話に入力して、捨てる。携帯電話に入力するのが面倒な程度の友達なら、こちらから電話をかけることもないだろうから、そのまま捨てる。
「いらない」といいながら小さく破って燃えるごみの袋へ。
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一通り作業が終わりました。マシーンから人にもどってみると、靴箱の上は自転車の鍵だけがのっています。
あなたは確実に片づけを成し遂げたのです。
これからは、自転車で出かけるとき、靴箱周辺をがさがさ探さなくても良くなりました。
遅刻しそうといいながら、慌てて出かけようとして、肝心な自転車の鍵が目の前になく、チラシの下をめくってみたり、封筒をよけてみたり、泣きそうになりながらイライラと自転車の鍵を探す・・・・なんてことはもう起こらないのです。
どうでしょうか。
気持ちよくなりませんか。
この達成感と気持ちよさを思い切り味わいましょう。あなたは成し遂げたのです。
そして、あの、快適な部屋を思い出しましょう。
快適で、必要な物が、必要なときにだけ出てくるあの部屋。
あの部屋に、現実が一歩近づいています。
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さあ、物を減らしてゆく喜びを知ったあなたはこれからどうしますか?
まだまだ続けたいなら、次に攻める場所を決めて、早速取りかかりましょう。
少し疲れたなら、ゴミ袋を持ってきてそのへんに座って、燃えないごみの仕分けをしましょう。ごみ袋を新しく出して、「燃えないごみ」の袋から、新しい袋に新聞紙を移します。他にも分けなければいけない物があれば、また別の袋をだして、それにいれます。
もう休みたいなら、休んで良いのです。あなたは一つの仕事を完遂したのですから。自分をほめて、ゆっくり休みましょう。
どの場合も、ごみの袋は、口を開けたまま玄関付近へ置いておきましょう。
口を開けたままなのでいつでも新しい場所を攻めることができるし、ある日外に出て、その日がごみの日だと気付いたら、すぐにとって返してゴミ袋を持ち出し、その場で口を閉じて出すことができます。
ごみ袋に余裕があっても出してしまいましょう。袋はまだいっぱいあるはずです。
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ごみ袋を出して、ようやっと、本当に作業終了です。
ADHDの恐るべき副作用である「部屋の混乱」から、あなたは生活を一歩、取り戻したのです。
そして、あなたはそのやり方をもう身につけました。
これから、どんどん自分の生活を自分の手に取り戻し、自分の作りたい部屋を作ることになるでしょう。
今日は小さいけれど、記念すべき勝利の日です。これから部屋が変わり、生活が変わります。小さくガッツポーズをしてこの勝利を喜びましょう。
この気持ちよさを体全体で味わってください。
これから、少しづつ、生活がしやすくなってゆくでしょう。
これまで物のために無駄にしていた時間や空間は、あなた自身が好きに使って良いのです。誰にも遠慮することなく、あなたのための時間と空間を、ゼイタクに使ってください。
そして、余った時間の一部で、ADHDについて学ぶことをおすすめします。
ADHDの特徴を知ることによって、さらに自分の生活を向上させるすべを知ることができます。。
物を減らす、片づけるということについて、本当に長く書いてしまいましたが、ここまでおつきあいいただいてありがとうございました。
感想を聞かせていただけると幸いです。
※ 物は、使う場所に置いておく、という原則を決めておくと、保管場所に迷わずにすむし、使う段になって別の場所を探し回らずに済みます。
トイレットペーパーはトイレに。プレステのソフトはプレステのそばに。シャンプー・リンス・歯磨きのストックは風呂場に。
パスポートは旅行用ハブラシと一緒に旅行鞄の中に。
こうしておくことで、シャンプーがそろそろ切れそう、とか洗剤はストックがあと6つもある、などすぐにわかります。
ちなみにわたしは、トイレにゲームボーイを置いています。理由はもちろんン・・・するときにゲームボーイを使うからです。
また、タマネギを切るときのため、台所に水中メガネを置いています。海で水中メガネを使うのは年に数回ですが、タマネギを切るのは年何十回もあります。「使う場所に置いておく」という意味ではこれで正解なのです。あなたの生活にあわせて、これは家のどこで一番使うだろう。と考えてみてください。
その場所が一番理想の保管場所になります。