プロローグ



 母親(82才)の右の手足のごく小さな震えに最初に気付きましたのは、H9年の6月頃だったと思います。その年の9月30日に総合病院でパーキンソン病と診断され、どのような病気なのか自分でいろいろ調べてみて、おそらくどなたもそうでしょうが大変に混乱してしまいました。難病指定というだけでも、平静でいられるわけがありません。
 うろたえ悶えつつ尋ね回るうちに、あるところから 
 「ゆくゆくは寝たきりになりますから病気のことははっきりと説明して、今まだ動き回れるうちに自分のしたいことを充分にされるように、話し合われるのが良いと思います。」
 「今のところ日常生活に支障がないようであれば、無理にLドーパを飲まなくても良いのでは・・・・・  」
と言う2つのアドバイスと、2冊の本の紹介を受けました。
 病気のことについては、しっかりと説明出来るまでには、2年間と言う時間が必要でした。兄弟も「どっちみち治らない病気であれば、無理にいわなくてもよいのでは・・・・・  」と言う意見でしたし、自分自身どうしても言えませんでした。
 発病した年の年末頃には、震えもある程度はっきりとしてきましたので、主治医の先生から「薬を出しましょうか。」と言われ、「今のところ日常生活に支障があるわけではございませんので・・・ 」とお話ししますと、「そうですね、わかりました。」と快い返事です。このような受け止め方をされましたことには、今も本当に心から感謝しております。

 翌H10年の6月頃だったと思いますが、少しずつ震えが大きくなってきていましたので、シンメトレル50mg2錠を処方されるようになりました。
 その年の年末頃には更に震えが大きくなってきて、内心困ったなと思うようになりました頃、ふと母親の右腕に触れてみてビックリです。前腕の屈筋や腱、上腕二頭筋や腱等が大変に硬くなっています。
 右足を見てみますと、こちらもアキレス腱からふくらはぎにかけて大変に硬くなっています。
 そのほか震えていない左側の手足も、右側ほどではありませんが硬くなっていますし、頸、肩、背、腰等も全体に硬くなっています。
 その時にパーキンソン病の症状としての、「からだ中が棒のようにかたくなってしまう。」という言葉が頭の中に響きわたり、「このまま何もせずに放っておけば・・・ 」と恐れにも近い気持ちで、なんとしてもほぐすようにしなければと取り組み始めました。

 決してパーキンソン病そのものを何とかしようなどという考えは全く念頭になく、唯これ以上硬くなることを何としても防ぎたい、そして少しでもほぐす方向に持っていくことが出来ないものかと願いつつ、取り組み始めたわけです。
 なんとか幾分ほぐれてきたなと実感できるようになりましたのは、数ヵ月後のことです。その頃には震えもある程度は、安定してきたように感じられます.。 

 3年目頃から左側にも震えが現れ、ごく少しずつ進行しています。

 満5年目を迎えようとしている今も日常生活に大きな支障はなく、身の回りのことはなんとか自分で処理をしていますし、はっきりとした歩行障害と言えるほどのものも現れてはいません。そして現在もLドーパは処方されず、シンメトレル50mg2錠のままです。
 但し発病した頃は自転車で飛び回っていたのが、今は自転車に乗ることなど夢のまた夢のことで、動作も大変にゆっくりとしたものになってきていますので、中枢の病気の進行を否応なく実感させられています。

 このおよそ5年近い間母親の病気に接してみて感じますことは、からだの硬さを全身的にほぐすようにしていきますと、震えもある程度安定してくる面があるように思われるということです。もちろん私がほぐすようにしてきたからこそ、現在のこのような症状で済んでいるのだなどとは、決して思っているわけではございません。
 間違いなく母親の病気の質そのものが良かったからこそとは思いますが、H10年末頃のあのからだの硬さを何もせずにそのままにしておけば、少なくとも現在の状況ではないように思われてならない、と言うのも私の偽らざる正直な気持ちです。

 私と同じような気持ちでおられる方はいらっしゃらないものでしょうか。私自身身内のものに話しても誰もまともに耳を傾けてくれてはいません。はっきりとは申しませんが、母親の病気が唯軽かっただけのことと思っているようです。 
 それよりも一番の当事者である母親自身が、病気が治るわけでもなく震えも止まらず、そのうえ大変にゆっくりとですが進行してきているわけですから、それほどの効用は認めてはいないようで、自分の病気はこのような病気なのだと思い込んでしまっているようです。
 H10年末頃の自分のからだがどのようだったか、そして少しずつ震えが大きくなってくる不安から、自分がどのような行動を取っていたか等、今は全く記憶にないのですから仕方がありません。

 私のように誰に話してもまともに耳を傾けては貰えないということが積み重なって、結局は黙ってしまっておられる方は、少なからずおられるのではないでしょうか。
 
 理解できようができなかろうが、母親には出来るだけのことはやって見ようと思っています。

 ここまで書きました内容だけでは、恐らくどなたも納得できないと思いますので、以下いろんな方向から私なりに説明してみたいと思っています。
 それはおかしい、間違っている、確かにそのように思える、何でもよろしいですから御意見・御感想をお聞かせくださいませ。