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歯は異物だ

歯は抜ける

 「歯を抜かれた」という話がありましたが,「歯は勝手に抜け落ちる」という話もあります.若い人の話ではなくて老人での話です.年老いると,歯は自然に抜けていくというものです.その理由は次のようなものです.

 人間の体の表面は「上皮」という組織によって被われています.すなわち,人の体の外界に接する部分は,すべて上皮で被われて,ばい菌などの進入を防いでいます.人が生きていくための自然の防御機構です.体の表面はもちろん,口の中,歯肉,鼻の中,耳の中,胃や腸も,みな上皮で被われています.ところが,歯の表面には上皮がありません.

 このように,自分の体の一部は必ず自分の上皮に被われているのですが、歯には上皮がありません。そこで,上皮に被われない歯は,人間にとっては本来異物ということになります.そんな異物はやがて体から排出されていくのが自然の流れなのです.年取って,歯が抜けるのは自然現象であるということです.こういう説もあります.
 納得できることです.ただ,その自然脱落の時期が早いか,遅いかは,口の中の汚れ具合によって大きく左右されるのでしょう.

歯槽膿漏になる理由

 歯は体の中に半分入り込み,残りの半分が口の中に露出しています.つまり,半分だけが体の中にあるという状態です.
 そこで,歯と歯肉(上皮に覆われた体の中)との間にはつなぎ目ができます.ここに汚れが貯まりやすく,ここで歯肉が炎症を起こします.これが歯槽膿漏のはじまりです.若い頃は,多少の炎症を押さえ込む力があるのですが,年齢とともに抵抗力が低下して,炎症が続くことになります.

削った歯に上皮を作る

 実は,歯の表面は上皮が変化して硬くなったもの(エナメル質)です.このエナメル質は,上皮ではありませんが,それなりに外敵に対して抵抗力を持っています.つまり,むし歯になりにくい壁のような役割を果たしています.むし歯になるということは,この壁に孔が開いてしまうことです.

 孔が開くと,そこからばい菌が歯の中に入り込んでいきます.むし歯を削れば,さらにその孔は大きくなります.そこには,もう壁がありませんから,外敵に対する抵抗力は小さくなっています.これが,いったんむし歯になると再発を起こしやすい一つの理由でもあります.

 そこで,このように削った歯の表面に特殊なボンドのようなものを塗って上皮のようなものを作るという話が現実化しています.このようにして銀歯をいれれば,再発が少ないという発想によるものです.

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