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手袋をする歯医者さん,しない歯医者さん

 この頃は手袋をする歯医者さんが増えました.概して若い歯医者さんに多いようです.あるアメリカ女性の話です.彼女の友人が東京で歯医者さんに行ったそうです.そこの歯医者さんは手袋をしていたのですが,患者が変わっても,その手袋を換えなかったということです.それを知ったアメリカ女性が「そんな話を聞いたが本当なの?」,「日本では,そんなことがあるの?」と驚きを隠せないという雰囲気で尋ねてきました.

 この返事には困ってしまいました.ウソだとも,本当だとも言えなかったのです.

 手袋を換えなかった歯医者さんは,自分自身が患者から病気を移されないようにという意味だけで手袋をしていたと考えられます.毎日,不特定多数の患者に接する歯科医として,自分の身を守りたいという気持ちです.これに対して,手袋を換える人は,自分自身も,患者も,ともに感染しないようにという気持ちによっています.

 手袋を換えなかった歯科医は,いかにも日本らしいと言えます.これは,日本とアメリカの公衆衛生感覚に微妙な差があるからでしょう.
 アメリカの歯科医は手袋の使用は当たり前,治療器具も使い捨てのものが多いということです.歯を削る機械でさえ使い捨てのものがあります.日本では,せいぜい,使い捨てのコップが普及してきている状況です.ここには,アメリカという国が日本よりも病気の感染に敏感になっているという背景があります.合衆国としてのアメリカは,公衆衛生施策が末端にまで行き渡りにくいのかもしれません.エイズ感染が日本のほうが少ないのは,単一民族という衛生管理の容易さもありそうです.

 何年か前に,アメリカのある歯科医がエイズの感染源になっていたという話がありました.日本では,たぶん,それほど非常識なことは起こらないと思われます.そんなことで,日本では,これまで,お医者さんたち自身が病気を移すという意識はあまりありませんでした.しかし,時代が変わって,日本もアメリカ的になったのか,病院や診療所での感染が問題になってきました.

 近年では,大病院では手袋をするのは当然になっています.しかし,小さな診療所では,まだ,手袋をすることもあり,しないこともあるというのが現状です.レストランでは食器は共有のものです.使い捨ての食器はスナックフードのお店ぐらいでしか使われていません.このように,食器程度の共有は許せるというのならば,歯医者さんのコップぐらいは共有でも許せるということになります.もちろん,注射液などは,ほとんど使い捨てのものになっていますので,通常,その点は心配は要りません.ただ,清潔を要求するほど,それらは経費として医療費に跳ね返ってきますので,どこまでが,本当に必要な清潔さなのかという問題も残ります.
 結局,手袋の問題は,あなたが患者として,どれほどの清潔さを歯医者さんに期待するのか,あるいは,どの程度なら許せるのかという問題なのかもしれません

  
 

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