●その原理 まず、この杉花粉飴ですが、群馬の薬王園(沢田農協)というところが出しているものと、Kライズ(旧メイワ薬粧)というところのものと、2種類があります(ほかにもあるかもしれませんが、知りません)。 メイワのほうが新しく、薬王園のに比べて甘くて堅く、大きいです。 どちらも飴の中に微量の花粉がふくまれていて、薬王園のものは、群馬大学医学部の協力で製造にいたったようです(どのような形での協力なのかは知りません)。 これがなにゆえに花粉症(スギ花粉症)に効くのかというのは、ずいぶんと知られてきた減感作や舌下減感作なんぞについて知る必要があります(免疫療法ともいわれます)。 まず、減感作療法というのがありまして、これは注射でもって、アレルゲン(スギ花粉症の場合はスギ花粉)のエキスを、ものすごく少しずつ体内に入れてやる。 そうすることで、体をだんだんと慣らしていくという、100年の歴史を持つ、実績ある治療法です(通常は2〜3年、長い人は5年8年と続けています。1回注射すればいいという方法ではありません)。 まあ、どうしてそういう効果があるのかというのは、いまだにはっきりとしたことはわかってないらしいですが、Th1とTh2という免疫に関する細胞のバランスを整えるのだとか、いわゆる免疫寛容(これもまた実態はよくわかってないらしいですが)を誘導するのだとかいわれています。 で、注射というのはめんどくさい、痛い、副作用のリスクがあるなどなどの理由で、イマイチのところがありました(副作用が出るのは、分量間違いなどのミスが原因であることがほとんどだそうですが)。 それでも、花粉症の根本的な治療にもっとも近い治療法です。 で、注射にかわる方法はないかということで編み出されたのが、口から取り入れるというものです。 経口減感作というやつですが、これは「飲んじゃう」「食べちゃう」という方法です。 でも、じつは、これもあまり結果がかんばしくなかったらしいのです(けっきょく、消化されちゃうかららしいです。ちなみに、点鼻とか、いろんな方法で減感作は試されたことがあったようです)。 行き着いたのが舌下減感作という方法で、これは「飲んじゃう」「食べちゃう」のではなく、しばらく口に含む、という方法です。 そうすることで、その周囲に杉花粉のエキスが取り込まれる。 鼻なんぞは口に近いですから、そこらへんがスギ花粉に慣れる率も高い……というようなことがいわれているようです(ちょっと、この理屈はウソくさいけど)。 日本ではまだ保険適用になってませんが、海外ではおなじみの治療法だそうです。 なかなか「実用化」の声が聞こえてきませんが、うまくいけば、あと数年(2〜3年?)のうちに認められるかもしれません(うまくいかなければ認められないでしょう。治療結果がどうこうということだけじゃなく、おそらくは薬事行政など、政治的な面もからんでくると思われますし)。 この舌下減感作について知っている方は、「だって、あっちは液体のエキスだろう」と思うかもしれませんが、獨協医科大学で、このエキスをグミに含ませて実験したことがありました。 この結果は、第55回日本アレルギー学会秋季学術大会にて発表されました。
まあね、グミといっても、あちらは薬品になっている精製されたエキスで、飴に入っているのは花粉そのものです(実際はつぼみをすりつぶしたものでしょう)。 ですので同じには考えられませんが、花粉だと効かないという理由は考え付きません。 いずれは飲み込むとしても、飴から溶け出した花粉がしばらくは口の中にとどまっているという点も同じだし(このあたりが清涼飲料水になっている花粉エキスと違うところですね)。 ●花粉飴は効くのか これについては、やはり獨協医科大学にて試験が行なわれました。 ある専門家向けのサイトで、それについて医師(たしか馬場廣太郎先生)が話していたムービーを公開していたんですが、知らないうちに削除されました。 後述しますが、例のスギ花粉カプセルで意識不明になったとか、スギ花粉が主である食品の販売を認めないとか、そこらへんの動向が関係しているんじゃないかと思います(いちおう、飴は花粉が主ではないので、販売は認められているようです)。 それによると……記憶が間違っていなければ、馬場先生は「これ、やってみると、たしかに症状がよくなるんですねぇ」とか「入っている花粉はナノグラム単位の微量」などと言っていたように思います。 しかし、全員に等しく効果があるわけではないということは、説明するまでもないでしょう(もちろん、治るとも限りません)。 ですので、自分は効かなかったという人がいてもおかしくはないです(そういう人は、自分が効かないんだから他人も効かないはずと思い込まないこと。逆も同様ですが)。 ●どのようになめればいいのか なめる量ですが、これは私が薬王園から飴を買ったとき、朝食前と夕食前に1個ずつ、という説明書がついてきました。 ただ、体の敏感さによって、いきなり1日に2個ではなく、最初は1個とか半分とか、ひとなめふたなめから始め(あるいは1日〜数日おきとか)、1週間とか半月ごとに増やしていくというようなこともいいかもしれません。 そのたびに体調をみて、なにごともないことを確認しながら増やしていく、ということです(これぐらいは気を使いましょう)。 また、なめはじめる時期についてですが、これについては、アンケートの結果がサイトに出ていました。それを引用します(現在、このページは薬王園のサイトから落ちちゃっています。食品なのに「効能」をいうことになってしまうのでやめたのかもしれません。最近はきびしいですからね……取り締まるなら、もっと悪質なところを取り締まれと思いますが)。
これを見てもわかるように、シーズン前の早い時期からなめ始めるといいようです(この「シーズン前から」ということは、上に紹介した馬場先生の話にもあったように思います)。 そして、もちろんのこと、シーズンが終わってからもずっとなめ続けたほうがいいと思います(というか、シーズン中はあまりなめないほうがいいようにも思います。ただでさえ、たくさんのアレルゲンに触れているんだし)。 これについては実験も研究もなされていないようですが、減感作と同じように考えれば、当然のことと思われます(グミも、1シーズンよりも2シーズン続けたほうが効果が高かったようですし)。 逆に考えれば……いや、逆じゃなくてもいいんですが……減感作だと考えてみれば、「いま出ている症状を鎮める」効果はないことがわかるでしょう(本当に減感作になっているかどうかは、ここでは問題にしません。問題にしたところで「わからない」といわざるを得ませんし)。 そういうものじゃないのですから、「ああ、くしゃみが辛い」と思って飴をなめた。効かない。こんなものはだめだ……と思ってしまう人は、知識不足です。 素直に薬を飲んでください。 すぐに効いたとしたら、蜂蜜とか角砂糖とか黒砂糖もためしてみてください(理由は不明ですが、蜂蜜のような甘いものが効くという人もいるようなのです)。 ちなみに、さらに以前の薬王園のページには、こういうことも出ていました。
こういう、販売元のいうことは信用できるのかという問題もありますが、さすがにこういうことはないでしょう。 ●副作用はないのか 含まれている花粉は微量ですので、一般には副作用はないと考えていいんじゃないかと思います。 しかしながら、あつ花の仲間たちがためしたところ、何人かは「口の中に違和感を感じた」という人がいました。 その「違和感」がどういうものなのかわかりませんが、おそらくそういう人はかなり敏感なのでしょうから、万一のことがあるとマズイですので、やめておいたほうがいいかもしれません(あるいは、ものすごく少しの量から始めてみてください)。 さて、この副作用で心配なのは、ニュースにもなった意識を失ったという例です(アナフィラキシーショックではなかろうかと考えられているようです)。 しかしながら、これに用いられたのはパピラというカプセル状のものであり、私はその現物を知らない(存在は知っていましたが、さすがに危険だと思って手を出しませんでした)のですが、おそらくはつぼみとかをすりつぶしたものが詰まっていたのではないかと思われます。 ようするに、摂取量が大量すぎた、ということじゃないかということです。 しかも、体中をよくめぐるように、運動までしちゃったわけです。危険でないわけないでしょう(このパピラでは、このほかに、ジンマシンが出て鼻水が止まらなくなったという例もあったようです)。 じつは、これを服用していたと思われる人の書き込みがあつ花の掲示板にもありまして、「なんか心臓がばくばくする」というようなことを報告してくれたことがあります。 「お願いだからやめてください」「死にますよ」などと返事をしたのですが、どうもノリがいいというか、ふざけ半分だったのかわかりませんが、再び服用して同じような状態になったという返事がありました。 売るほうも売るほうですが、買うほうもこういうことをやっているから、事故になって、花粉入りの食品すべてが悪者扱いされるんです(もしかしてカキコした人と同一人物ではなかろうかとすら思います)。 だから、この杉花粉飴の摂取も、減感作の理屈を知らない人は手を出さないでください。危険ではないでしょうが、リスクはゼロではありません。勉強してからにしましょう。 アレルゲンであることに変わりはないですから、体質によって、どんなことがおこるかはわからないです。 おこりそうなことは、下痢やジンマシン、掻痒感、症状の悪化などのことが考えられます。 ひと粒の飴に入っているような量でショックをおこすなんてことは考えられないですが、なんかヘンだと思ったらやめるべきです(あるいは一時的に休む、そして次回からは量を減らす)。 以上のようなことがわからない人は、たかが飴ですが、なめないでください。 なにかあったら、効果を感じてなめている人が迷惑します。 ただでさえ規制されてしまったのですから、1日に何個もなめて事故をおこされては、飴も販売禁止にされてしまうかもしれません(医者や役人は、なんとかして規制したいらしいですから)。 こういう注意もなしに、無条件で他人に勧めることも慎むべきです。 そこらの、一時的な抗アレルギー作用があると称する健康食品とは、効果をあらわす理屈がまったく違うのですから。 この点を理解してください。 ま、この飴も危険だ、販売禁止だとかいうのなら、シーズン中に口をあけるのも危険だと言ってください。 ●厳重注意 ・アレルギーや花粉症の基礎的な医学知識を勉強すること。減感作の理屈を理解すること。花粉症ビギナーは手を出さないでください。 ・たくさんなめすぎないこと。建前上、1日2個を厳守といっておきます。なめ始めるときも、少しの量から始めること。シーズンオフからの開始を推奨します。 ・ヘンだと思ったらやめること(場合によってはアレルギーの薬を飲むこと)。 ・なめたあと、しばらくは運動しないこと。 ・ふだんはだいじょうぶでも、体調不良のときはやめておくこと。 ・自己責任とはいえ、なにかあったら、ほかの人が迷惑するということを覚えておいてください。 ・子どもになめさせる場合は、保護者が100%の責任を持って指導監督すること。 ・花粉症の人が花粉入りの飴をなめるならということで、たとえばソバアレルギーの人が少しのソバを食べたりしないこと。抗原性の強さや症状がまったく違うのですから、食品アレルギーの人は絶対に真似しないように。 ・自分でスギのつぼみをとってきて口にする人もいますが、この記事を参考に、大量に摂らないようにしてください。 ●飴の実際 私がいま現在所有(保存)している飴は、ずいぶんと古いので、変色してしまっています(透明感がなくなっています)。 でも、腐っているわけじゃないです。 まあ、古くなっても、花粉(アレルゲン)としての活性があるのかどうか、ということが心配ですが。 活性がなかったとしたら……私はただのゴミ入りの飴をなめているわけです。(^○^) こちらが薬王園の飴です(現在売られているものは、内容量が増えています)。
ずいぶんと袋がしわくしゃになってますが、こちらがメイワの飴です。
ためしにということで、薬王園の飴を湯で溶かして、コーヒーのフィルターでろ過してみました。
この黒いポツポツは、たぶん杉の葉とかつぼみとかの破片でしょう(これらが口にふくんだときのざらつきの原因です)。 花粉が入っているのかどうかということになると……たとえ入っていても、水分を吸って破裂しちゃっているでしょうね。 いちおう顕微鏡で見てみましたが、わかりません。
とりあえず「なにか入ってる」ことは事実のようです。 飴の味はどうということもなく、ただ甘いです(メイワのほうが甘いです)。 よくあるのど飴みたいにスースーはしません。 シソとかが入ってますが、私には風味はほぼ感じません。 スギの葉の、あの精油特有の刺激的で青臭い風味もありません……が、なんとなく抹茶風味のようなところもあるので、これがスギの風味なんでしょう。 なお、薬王園の飴は、いまはハーブ味も出ています。 ●私の症状は? 「杉花粉飴賛」という記事ということで、「花粉症が治った」「すばらしい」というようにたたえる記事だと思った方も少なくないと思いますが……正直言って、よくわからないです。 7年といっても、きちんと毎日なめていたのは最初の1年……いや、10か月ぐらいかな。 そのあとは、2〜3日忘れていたり、長いときは2〜3か月忘れていたり、思い出したように毎日なめだしたりと、不定期になっちゃいました(シーズン前には必ず思い出しますが)。 ですので、とっくの昔になくなっているはずの飴が、いまだに残っているわけです。 たしかに、ここ数年はまったくといっていいほど症状がない(たまに目が少しかゆくなることはありましたが)のですが、それはきちんとマスクをしているからなのかもしれないです。 うちに清浄機が10台以上あるからなのかもしれないです。 ヨーグルトを増やして食べたり、ビオフェルミンを摂っていたり、いろいろしてたんで、なにがいいのかわからないのです(ビタミンやミネラルのサプリも摂ってるし、寝不足にもなってないし)。 よくなったかどうかをためしてみないのか、って? イヤですよ。 せっかく調子がいいのに、マスク外して花粉を思い切り吸い込むなんて、やりたくないです(シーズン前からマスクしてるし)。 もしも、それで症状が出たら、元の木阿弥じゃないですか。 おそらくは下がっているであろうIgEをまた上げるなんて、冗談じゃない。 慎重といえば慎重だし、弱虫といえば弱虫なんで……私はわからないままでいいです。 人体実験するのが目的じゃなくて、症状がよくなることが目的なんだから(といいつつ、シーズン中でも、ベランダの植木に水をやったり、ゴミ出しのときに、マスクなしで外に出ちゃうことはしょっちゅうありますが。でも、そんな数分じゃわからないでしょう)。 それに……花粉症と縁が切れてしまったら、このサイトを継続していく気持ちが萎えてしまいます(笑)。 でも、理屈としては、いわゆる健康食品の中で、唯一、スギ花粉症の根本的治療になるかもしれないものなので、興味のある方はためしてみてはどうかな、と思うしだいです。 うまくいけばうまくいくでしょう(だめならそれまでです)。 なにせ安いですからね。 安いと、財布に負担なく続けられるし……小さいですから、どこへでも持っていけます。 あ、そうそう……注射の減感作をやった人も、何年もの治療を終了したら、これをなめるといいかもしれないです。 さらに長く治療を続けていることになるかもしれないですから、効果も持続・安定するかもしれません。 医薬品と違って医学的根拠はあまりないですから、どれも「かもしれない」という話ですけどね(でも、まったく根拠のないものよりはマシでしょう)。 ●よりくわしい説明 おそらくメイワのものであろうと思いますが、それについては1粒に2.5〜4.7万ぐらいの花粉が含まれているということが分析によってわかっています(相模原病院臨床研究センター、2004年)。 そして、この花粉数からスギのアレルゲンであるCryj1の量を推測すると、治療として行なわれる舌下減感作での最終的な濃度(維持に達したときの濃度)にはとうてい達しない、40分の1程度であるということらしいです(某医師談)。 しかしながら、この舌下減感作も、注射の減感作と同じように、だんだんと濃度をあげていくわけですから、最初はとても薄いものを投与します。 その最初の濃度はどれぐらいかというと、杉花粉飴1粒に含まれている花粉の40分の1程度のようです。 これらのことから、杉花粉飴を用いて舌下減感作の真似ごとをしたいのであったら、やはり最初から1粒をなめるのではなく、安全をみこして、ひとなめふたなめぐらいから初め、体(症状)に異常がないことをたしかめつつ、何日も何週間もかけて、体に異常がないことを確認しながら、だんだんとなめる量を増やしていくことが推奨できます(できればシーズンオフになったら始めるといいです)。 とくに敏感な人、花粉症の症状の重い人、そして子どもは、このようにすべきといえるでしょう。 なお、メイワのものに比べて、薬王園の飴は1粒が小さいです(約半分)。 含まれている花粉の濃度がわかりませんのでなんともいえませんが、もしも同程度の量が含まれているとすれば、リスクの点ではこちらのほうが安心できると思われます。 そうはいっても、つまりは「飴」にすぎませんので、含まれる花粉の量などは安定していない可能性がものすごく高いです。 ですので、いくら治療の真似ごとをしても、しょせんは真似ごとにすぎません。 花粉症の治療になるかどうかはわからないといわざるを得ないです。 「維持量」になっても40分の1の濃度じゃねぇ……ということもありますし。 まあ、いちおう、舌下減感作の最終濃度に比べればすごく低い濃度でしかないということで、その分だけ長く続けたほうがいいだろうということもいえると思われます。 シーズン前に1袋2袋なめておしまいではなく、通年でなめ続けたほうがいいだろう、ということです。 分量を増やすよりは、長い期間継続するほうが、リスクの点でも勧められると思います(無責任なことをいってしまえば、1〜2年も安全に継続できたのであれば、1日に4〜5粒なめたところで、どうということはないと思われます。ただし、絶対に、最初からいくつもなめるべきではありません)。 この記事は何年も出すのをためらっていたんですが、ネット上のどこかには、こういう情報がないとマズイだろうということで……なんか、カネ取って情報を売ってるところもあるし。 紹介した販売元や獨協の先生などに迷惑がかかるとまずいなとは思いますが、それよりも事故がおこるほうが怖いです(妙に怖がられて広まらないというのももったいない話ですし)。 けっきょく医師も役所も立場上認めるわけにはいかない、販売元も薬事法違反になるから説明するわけにはいかない……そうなると、患者(消費者)自身が自主的にこういう情報を発信せざるを得ないわけです。
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