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俺の小説 Z
 シヴォレー・ブレイザー、ジープチェロキー、ジープ・グランドチェロキー、フォード・エクスプローラーで、アメリカ車ばかりだ。いずれもかなり広い荷室を持つ。
 4台とも、屋根のルーフ・ラックに4個ずつのスペアタイアとガソリンタンクを5個縛り付けてある。
 4人は素早く荷物を移しはじめた。
 荷物を移し終えるとその上に、車外から覗かれてもわからないようにシートを被せる。
 M16自動ライフルと弾倉帯、それに静かな武器は、助手席の床やシートの後ろにおいて、その上から毛布を被せる。
 シヴォレーには桜井、チェロキーには鈴木、グランドチェロキーには中川、エクスプローラーには田原が乗り込んだ。
 次々にエンジンをかける。低回転型の大排気量エンジンは、ディーゼルのような音を立てて回った。
 4台とも、前後のデフのほかにセンターデフを持つ、フルタイム4X4のオートマチック車であった。勿論、サブ・ミッションをL・LやH・Lに入れるとセンタ・デフをロックすることができる。
 中川のグランドチェロキーが自動ミッションのセレクターをDに入れ、走り出した。その後に3台が続く。
 4台ともサスペンションを強化してあるから、重荷を積んで悪路を走っても、よほどのことがない限り腹をすることはない。
 4台は下りの道を取らずに、上りのコースを取っていた。スリップが予想されるときには時々H・Lにサブ・ミッションを入れる程度で、廃道とはいえ一応道があった跡では、L・Lするほどのことがなく走れる。
 廃道を強引に上っていく桜井たちの4輪駆動車は、アンテナを立て、普通のカーラジオに見せかけた超短波ラジオのスイッチを入れていた。
 それは長野県警の警察無線の周波にダイアルを合わせてあった。今のところ、三笠のバーストリテイリング会長の別荘で起こったことは通報が入ってないらしく、酔払い運転の交通事故や、不審火などに関して、パトカーと県警の司令室が交信していた。
 山を越えた4台の4輪駆動車は追分と御代田を結ぶ旧道に出た。舗装路だから、センター・デフをロックする必用はまったくないし、また路面抵抗が高い舗装路でそれを行うとコーナーをスムーズに回ることができずに危険だ。
 山の間の田畑や別荘分譲地の間を縫う曲りくねった道だが、サスペンションを強化してあるから、あまりロールすることなく4台の車は通り抜けた。
 御代田から佐久の岩田村に抜ける広い道路に出ると、4台は百キロ以上にスピードを上げた。
 4台とも加速性能や最高速は国産のファミリーカー並だが、トルクがあるから重荷を積んでも性能の低下が少ない。
 岩田村の商店街で右折し、西に向かう。塩名田で千曲川を超え、望月で左折して南に向かう。
 4台の車が、途中でパトカーに停められもせずに着いたのは、北八ガ岳の麓であった。
 北八ガ岳連山の麓の悪路を土ぼこりをあげて走った4台は、縞枯山と茶臼山のあいだの獣道を、サブミッションをLロックして強引に上っていく。木の枝や若木をへし折りながらだ。
 4台の車はしばしば浅い谷川を横切った。
 茶臼山の麓から4キロほど走ったところに、畠の残骸と、今は放棄された小さな集落があった。
 かつては狩人の集落であったのだが、20年ほど前にみなそこを去ったのだ。ほとんどの家は朽ちかけていたが、集落の西の外れにある、かつての集落長の大きな邸は、立派な木材を使っていたから、まだ十分に使える。
 4人は大きな厩舎の跡の大きな戸を開き、そのなかに4台の4輪駆動車を突っ込んだ。
 武器弾薬と懐中電灯を持って、だだっ広い母屋の中に移る。土間の中央部脇の、イロリが切られた20畳の部屋の隅には薪や毛布やスリーピング・バッグや食料や飲料などが置かれてあった。
 そこにも警察無線を傍受できる無線機があった。アンテナは母屋の近くの杉の巨木の上につけられている。
 中川がマントルに火をつける。まばゆい光が部屋を照らした。
 田原がブーツをはいたままイロリに近づき、ソダを大量に投げ込み、その下に松ヤニの塊を押し込んで火をつける。
 乾いたソダにたちまち火が移り、ゴー、ゴー、パチ、パチと音を立てながら、火事になりそうな音を立てて燃え始めた。
 鈴木が燃え上がるイロリのソダの上に、薪をヤグラに組みながら置いていった。
 中川が土間にある井戸からツルベで水を汲んだ。それをイロリの自在鉤に吊る大なべに移す。
 桜井はバッテリー式の無線機のスイッチを入れた。ダイアルはすでに長野県警の警察無線の周波数にあわせてある。
 4人はそれから、脱脂綿とコールド・クリームで顔や手のカモフラージュ・ペイントを落とした。
 それから、台所のかまどの大釜の湯を盥に移し、石鹸を使ってコールド・クリームを洗い流す。
 4人がさっぱりした顔になった頃、イロリの大がまの湯が煮えたぎり始めた。
 中川が台所から、あらかじめ切ってあった大量の大根やねぎやしいたけや白菜や豆腐、それに骨付きのままぶった切りにしてあったカモシカの肉をまず3キロほど、自在鉤に掛かったイロリの大なべに放り込む。日本酒でといた味噌もそそぎこむ。カモシカは無論、中川がクロスボウの調整をかねて密猟したものだ。
 鈴木は小型のプロパン製氷機からドンブリに4杯ほどのアイスキューブを取り出し、グラスや水差や大皿4つ分のつまみをイロリの周りに運んだ。
 桜井がシーヴァス・リーガルのスコッチのキャップを開き、4つのグラスに注ぐ。
 4人はイロリを囲み、胡坐をかいて座った。桜井が茶の間を背にしているのは、彼がリーダー格だからだ。
 4人はウイスキーのオンザロックスを作った。警察無線はまだ沈黙したままだ。
 「サリュート!」
 桜井がグラスをあげた。
 「チェリオ!」
 鈴木が微笑んだ。
 「スコール!」
 中川が言った。
 「乾杯!」
 田原がばつ悪そうに言った・・・。
 田原を除く3人は、グラスの中の液体を一気に飲み干したが、田原は形だけ口をつけて、イロリの火に中身を放り込む。
 アルコールがイロリで燃えた。田原は体があまりよくないのだ。別のグラスに氷とジンジャーエールを入れて体裁を整える。
 その時、無線ラジオから、
 「大事件発生!!!こちら長野県警司令室。軽井沢町馬取のヘリ・ポートにあるイーグル・フライング・サーヴィスから、同町三笠の別荘番号17XX番にあるバーストリテイリング会長柳沢氏所有の別荘を訪問した樺山資紀氏がなかなか戻ってこないので、たびたび電話を入れたが通じないというので、軽井沢署員が柳沢氏の別荘にかけつけたところ、多数の死傷者を発見した。
 目撃者の話では、犯人は4人組で多額の現金を奪って逃走したという。現在のところ現場は混乱しているが、犯人達は顔をペンキで迷彩色に塗り、4台のステーションワゴンに乗って逃げた模様・・・・、車種とナンバーは後で詳しく知らせるから、ともかくステーションワゴンを見つけ次第に停車させて不審尋問しろ・・・、しかし、気をつけろ、相手は自動ライフルをもっているから・・・・、どうぞ・・・・・」
 と、興奮しきった声が流れた。
 県下のパトカーから次々に了解の答えが聞こえる。
 「俺たちが車を乗り換えたこともまだ知られてないんじゃあ、もうしばらくはのんびりできそうだな。」
 鈴木が水割りを胃に送り込みながら言った。
 しゃべりながら鈴木は、右の親指の先を左手で引っ張る。
 右の親指の先から、皮膚と同じ色をした薄いが強靭な合成ゴムのサックが外れた。指紋を現場や車に残さないために、はめていたのだ。
 鈴木は、後9本の指先にもゴム・サックをはめていた。
 他の三人も、全部の指先にゴム・サックをはめていた。みんな、次々にゴム・サックをはずし始める。
 「管理人夫婦も、俺たちが車を乗り換えたことなど分かるはずがない。しかし、管理人夫婦が、俺たちに買収されたことを自白してしまったら、まずいな。」
 不健康そうな顔をしている田原が呟いた。その顔はこじんまりとしていて小さいが、不細工だ。
 「心配ないぜ。奴らは俺たちの素顔も正体も知らない。買収交渉のときは、こっちはいつもナイロン・ストッキングで覆面していたんだからな。それに奴等には夢がある。後5年もしたら、故郷の広島に3階建ての家を建て、一階でお好み焼き屋を開き、大阪で働いている息子夫婦とそれを経営しながら老後を過ごそうと計画してんだ。あの1億は奴らにとって命と同じぐらい大事なものだ。よほどの拷問を受けない限り、しゃべらないぜ。」
 ブルーチーズを噛みながら、桜井が言った。
 素顔の桜井は、整った鼻に奥二重の人の良さそうな顔をしていた。時より炯炯と光る目が鋭い。
 「それもそうだな。」
 田原が言った。
 その時、無線ラジオから、
 「県下の全パトカーに告げる・・・、三笠の強盗殺人事件の犯人達が乗って逃げた4台のステーションワゴンの車種と年式とナンバーが判明した・・・」
 と、司令室の係官の声が流れた。
 4台の車のそれぞれの詳細がパトカーに告げられた。
 「もう、おそいんだよ・・・!!」
 桜井がイロリに唾をペッと吐き出し、言った。
 そして、係官はさらに続けた。
 「時間的に見て、犯人達は県外に脱出したかも知らんが、県下に潜伏している可能性もある。諸君、十分に注意して、慎重に行動してもらいたい・・・・、三笠の別荘で殺された人員は30人を越し、被害者のほとんどが武器を持っていながら簡単に殺されたと分かったからだ・・・、しかも犯人達は銃器を持っていながら、銃器を使わずに弓矢や斧などで被害者を片付けている・・・・、犯人達は殺しのプロだ!!」
 「あの調子じゃあ、近県全体に操作網が張られてるだろうな。さあ、そろそろ煮えたかな?」
 桜井がイロリの上の鍋からカモシカの骨付き肉を一つ菜箸でとりあげ、皿に受けてから試食してみる。
 「うまい。さあ、はじめようぜ!」
 と、桜井は唸った。
 鈴木と中川が鍋に箸をのばした。
 田原だけがせわしく、群馬、新潟、岐阜、愛知、静岡、山梨、埼玉と、隣県の県警の警察無線にダイアルを合わせる。
 どの県警も、三笠の事件の犯人を逃すまいと必死だった。
 「どうせしばらくはここを動かないんだ。おまえの分がなくなっちまうぜ?早く食えよ。」
 鈴木が田原に声をかけた。
 田原はダイアルを長野県警の警察無線に戻し、鍋をつつき始めた。肉はほとんど食べず、豆腐や野菜ばかりに手を出す。
 田原に反し、他の3人は凄まじい食いっぷりを示す。桜井はスコッチの水割りを水のように飲み、鈴木は骨付き肉を手で握って軟骨までガリガリかじっていた。中川も桜井と鈴木に負けず劣らない健啖ぶりだ。
 「凄いな・・・。見ているこっちが気分悪くなるよ。」
 田原が言った。
 4人はそれから、鍋に肉や野菜をつぎたしながら食いまくった。
 県警の無線からはこれといって新しい情報は入ってこなかった。
 床にスコッチのビンが5本ほど転がっていた。
 「じゃあ、田原君、今夜の見張りを頼むぜ。何か異変があればすぐに起こしてくれ。」
 と、桜井が言った。
 田原は黙ってうなずいた。
 桜井と鈴木と中川はトイレを済ますと、それぞれのグース・ダウンのスリーピング・バッグをイロリの間に広げた。
 M16自動ライフルの弾倉帯をゆるく丸めた上に上着を置いて枕にし、ハンティング・ブーツをはいたままスリーピング・バッグにもぐりこむと、火に背を向けて目をつぶる。