資料3: 院長に宛てた手紙


2002年10月31日
社会保険病院歯科口腔外科存続を願う患者の会

〒062-8618
札幌市豊平区中の島1条8丁目 3番8号

北海道社会保険病院
病院長   岸 不盡彌  殿

 拝啓
 寒露の候、時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。私どもは「社会保険病院歯科口腔外科存続を願う患者の会」と申します。今年の夏に貴院における歯科口腔外科の廃止を耳にして以来患者有志が集まり、存続をお願いしたく署名運動をしてまいりました。その署名をここに提出させていただきます。

貴院の歯口科は、私ども患者にとっては非常に特別な存在です。お世話になっております患者の5人に1人は開業歯科や他医療機関からの紹介であり、さまざまな理由から一次医療のレベルでは対応が難しかった者たちです。また、二次医療機関に診て頂いていた者でも、研修生などにめちゃめちゃにされた患者が貴院の口腔外科を頼って来ています。貴院の歯口科はただの「歯医者さん」とは一線を画しており、他の二次医療機関や口腔外科の中でも飛びぬけた力量を持っていることは周知の事実であり、患者にとってはとても心強い存在なのです。その質の高い治療を受けて、安心な生活を取り戻した者が大勢います。このような稀有な技術と診断力を持った口腔外科がなくなってしまうのは私達、そして札幌市民にとって大きな損失です。加えて、歯科口腔外科の二次医療機関は市内に数えるほどしかありません。高度な医療を提供してくださる場をさらに減少させてしまうことは是非とも回避していただきたいのです。

 また、車椅子の方、障害のある方、合併症をお持ちの方、ご高齢の方などにとっても、貴院の歯口科は貴重な医療機関です。まず、貴院周辺はもとより市内に歯科医院数は増えましたが、車椅子でのアクセスが可能なところはまだまだ少ないのが現状です。また、心臓病や他の病気、高齢などで歯科診療中も何か起こるかもしれないという不安を常にお持ちの方にとっても、総合病院内で歯科診療を受けられるということは大きな安心を与えてくれます。特に、歯科医の医療行為が禁じられている現状では、少しでも自分の健康に不安がある者にとっては他科との連携がある総合病院で診療を受けられるのは大きな恩恵です。昨今の歯科診療中の事故などの報道も患者心理に与える影響は大きなものでしたし、大きく報道されていなくても歯科診療中の事故が年間数十件報告されている現状を考えると、一般歯科としての治療も行ってくださる貴院の歯口科は患者に対してまさに「安心感のある優しい医療」を提供してくださっていると言えるでしょう。

 加えまして、「経営上の問題」という廃止理由についてですが、4月の診療報酬引き下げ以来、さまざまな医療機関が経営問題に悩んでいるというのはよく心得ております。しかし、そのしわ寄せが一方的に患者へと転嫁され、必要な医療がどんどん制限され失われていくのはおかしいことです。点数が低くても必要な医療がたくさんあります。点数のみを重んじ、医療スタッフを削り、医療の質を下げ、高度な医療への患者のアクセスを閉じていくのは医療の在り方として正しいことなのでしょうか。また、貴院が口腔外科を持っていることで、他科との連携による高度なチーム医療が可能なはずです。欧米の総合病院ではあたりまえで、今後ますます日本で必要とされていくであろうチーム医療の可能性を閉じるのは、医療現場にとっても患者にとっても大きな損失であるはずです。歯口科廃止で得るもの---三名分の人件費等経費の削減---と失うもの---高度医療の場と患者の信頼---を比較すると、失うものの方が多いように思えます。

 今回の署名運動で患者、患者の家族、そしてこれから患者のなるかもしれない一般の方々を含め、3,020名の方が署名してくださいました。これだけの方々が貴院の歯口科の価値を認め、その存続を心から願い、歯科口腔外科廃止についてご再考賜りますよう願っております。9月に公示された廃止のお知らせの掲示だけでは納得できないというのが私どもの本音です。患者の会はご署名・ご協力くださった方々に署名提出後のご報告をするお約束をしております。つきましては、廃止理由についてもう少しご説明をいただきたいと存じます。具体的に申し上げますと下記の点についてご回答をいただけると幸いです。

1.     廃止理由の「周辺での歯科医院の充実」について

・      一次医療機関数が増加すればますます二次医療機関が必要とされるのになぜ廃止なのか。

・      貴院歯口科は、開業歯科医院とは性質を異にする口腔外科であるのに、なぜ開業歯科と同一視するのか。

2.      廃止理由の「経営上の問題」について

・      歯口科が出している赤字とは、病院全体の赤字のどれぐらいの割合を占めているのか。

・     歯口科を廃止した場合、どの程度の経営状態好転が見込まれるのか。

3.      廃止理由の「病院のあり方」について

・     歯口科はまさに貴院に於ける標語理念及び行動理念を実践してきたと思われるが、これらの理念とは別の「病院のあり方」が存在しているのか。その「病院の在り方」とはどのようなものなのか。

 以上の点、ご回答いただけますようお待ち申しております。何卒歯科口腔外科廃止についてご再考いただけますようお願いいたします。

敬具


追記: 署名をしてくださった方々からのコメントを添付いたします。




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