康志 - 03/01/19 17:56:39
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コメント:
このホームページの康志です。
現実にあった明らかに誤っている情報です。
それは親戚で集まり雑談をしていたときに、ボクの叔
母の口からでました。
『ステロイドは塗ったらいけんのんよ。くせになって
耐性ができるけぇ塗っちゃいけんよ。強いのを塗らな
いといけんようになるんじゃけぇ。他にもステロイ
ドって怖いっていうし』と他の親戚に説明していまし
た。
ボクが『誰に聞いたん?』と聞いたところ、
『近所のおばさん!』とのこと。
ボクが説明してもなかなか納得できない様子。
『一応医者なんですけど・・・。』と説明しても納得
は無理。近所のおばさんに負けてしまうのです。これ
が僕たちの一番の『敵』。誤解した第三者である『近
所の人』である。本人に悪気はまったくなく、やみく
もに信じているのである。またその『近所の人』が新
たな近所の人を作成してゆく悪循環。そのためみなさ
んも一度は聞かれたことがあるのではないでしょう
か?ステロイドの悪行を!
なぜステロイドがいけないといわれているのか?
確かにステロイドには様々な副作用があります。しか
しちまたで噂をしている人たちよりは、医師のほうが
余程ステロイドの副作用に関しては知識があります。
全員が知っているとは限りませんが、大多数の皮膚科
医はそれらを知っています。なぜならそれが仕事なの
ですから、デメリットを知らずに処方など怖くてでき
ません。一歩間違えば死ぬ副作用もあります。
また医師がすぐにステロイドを安易に(あまり説明し
ないまま)処方してしまうので、余計患者は不安にな
るし、副作用は怖いし・・・。となるわけです。
しかし、みなさん待ってください。まずステロイドに
関して。次にステロイドの副作用に関して整理してみ
ましょう。
ステロイドというのはある人たちによると悪魔の薬と
かいわれており、脱ステロイド療法なるものもありま
す。一般に医療で使われるステロイドには三種類があ
ります。内服薬・注射薬・外用薬です。
ここで三種類ありますが、大きく分けると二種類で
す。どうわけるかというと直接身体に入るか、間接的
に吸収されてはいるかということです。
直接はいるもの、それは内服薬・注射薬です。注射は
大量に投与できるというメリットがあり重症や経口摂
取不能の際に使用します。通常は内服薬を使用しま
す。
皮膚科領域でも、内服薬や注射薬を使用する場合もあ
ります。それは、膠原病などです。またアトピー性皮
膚炎や蕁麻疹でもステロイドの内服を行うことがあり
ます。ただし比較的まれです。アトピー性皮膚炎に関
してはかなりまれであり、主に紅皮症(全身が真っ
赤っかの時)に使用するのみです。蕁麻疹は抗アレル
ギー剤の内服でコントロールできない場合に使用する
ことがあります。
これら内服薬を使用する場合には、ある原則があり、
その原則に照らし合わせて、あてはまる場合にやむを
得ずステロイド全身投与(内服や注射)を開始すると
いうことを理解してください。なぜなら副作用を考慮
したうえで、ステロイド全身投与のメリットがデメ
リットを上回る場合のみ使用します。その際には我々
は比較的副作用の起こる頻度の高い、胃潰瘍・骨粗鬆
症に関しては、予防薬を投与いたします。その他は緑
内障や白内障・高脂血症・高血圧などですが、それら
は定期的に経過観察を行い、副作用の有無を見極めま
す。万が一副作用が現れていれば、その対処を行いま
す。
もう一度書きますが、ステロイド全身投与のメリット
がデメリットを上回った場合に初めて投与を行いま
す。すべての医師ではないですが、少なくとも我々の
病院では・・・。
これらは内科でも同じことで、普通の医師はステロイ
ドの副作用を熟知しておりますので、ステロイド全身
投与のメリットがデメリットを上回った場合にのみス
テロイドを使用します。
確かに上に述べたように、ステロイドの副作用はあり
ますし、確かに怖い副作用もあります。
しかし、これから述べること。それが最もみんなに
知ってもらいたいことです。
それはステロイド外用剤についてです。先ほど私の叔
母の話にもありましたが、ステロイド外用剤に対する
誤解です。
ステロイド内服の副作用は様々です。私が今思いつく
だけでも、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・骨粗鬆症・易感染
性・満月様顔貌・中心性肥満・高脂血症・高血圧・白
内障・緑内障・大腿骨頭壊死・肝炎・副腎機能低下な
どです。
確かに様々な副作用がありますが、それらの大半はス
テロイドの全身投与(内服・注射)による副作用で
す。外用剤での副作用は思いの他少なく、短期間で起
こり得ることは、易感染性(ニキビができやすくなり
ます。)、皮膚萎縮(長期間で皮膚が薄くなりま
す)・ステロイド酒さ(ステロイドのせいで血管拡張
が起こり、赤くなります。)主にはこの程度です。
確かに紅皮症(全身が真っ赤っか)の時にステロイド
の一番強いやつを全身に外用すると、皮膚が弱ってお
りバリア機能の低下のため、吸収してしまい副腎機能
低下を起こすことがあります。それはかなり特殊な状
況であり、通常の場合とは違います。
例えばボクの皮膚に最強のステロイドを全身に外用し
たところで、すぐには副作用は起こりません。まず起
こると思われることは、数日間でニキビができる可能
性があります。皮膚の萎縮や酒さなどが起こるには数
ヶ月から何年という期間がかかります。
私の経験したステロイド酒さの患者様は2年間ステロ
イドを塗り続けて起こっていました。(いつから酒さ
が起きたかはわかりませんが・・・)
またステロイドがくせになる、とか耐性ができる等の
ことに関しても大いに誤解があります。
アトピー性皮膚炎が格好のターゲットになり、脱ステ
ロイド療法がはやり、ステロイドが敵になっていま
す。なぜなら、アトピー性皮膚炎自体が体質であり、
治りにくいため長期のステロイド外用が必要な点で誤
解が生まれました。
現在のアトピー性皮膚炎でのガイドラインでは、適切
な強さ(最初は強め)のステロイドを外用し、良く
なった時点でステロイドのランクを下げます。それで
もある、アトピー性皮膚炎は一種の体質ですので何ら
かの外用が必要です。ですから状態が落ち着いていれ
ばかなり低いランクのステロイド、または保湿剤での
コントロールとなります。
ここからです、一般に耐性ができたといわれてしまう
のは。それはステロイドを塗っているのに症状が悪く
なってしまう場合があることです。これをみてステロ
イドが効かなくなったと説明する人がいることから、
情報が混乱し、患者様が不安になってしまい、余計そ
の不安が周りに伝わり、誤った情報が駆けめぐってい
る状態です。
このステロイドが効かなくなったと思われる状態は、
医学的に説明できます。これはステロイドが効かなく
なったのではなく、アトピー性皮膚炎の特殊性である
環境因子の影響と考えられます。環境因子とはいって
みれば、その人にとって苦手なもの(ダニやホコリな
ど)やストレスが加わる等の外的因子により増悪した
と説明されています。
ですからガイドラインによると症状の悪いときには強
いステロイドを使い、症状を落ち着け、弱いステロイ
ドに。何らかの原因により増悪した場合には、そのと
きだけ少し強いステロイドを使用し落ち着いたら再び
ステロイドを元にもどします。
ステロイドは身体の中にもあるのです。本来は副腎で
作られているもので、足らない場合に補っているので
す。耐性ができるとは思えません。
以上長くなりましたが、質問してみてください。
その他、専門の方おられましたら、補足していただけ
ますと幸いです。