感情の起伏が激しく小さな事ですぐ泣く。かとおもえばいきなりハイテンション。
いつも死人のような目をして心は上の空。人の話しなんか興味がないからろくに聞かない。
さっきまで楽しそうにしていたと思えば突然暗くなる。そして、思いつきからの言動で周囲の人々
を困らせる……。
約8年間続いたうつ病の最後の2〜3年は、今おもえば、間違いなく「躁鬱」でした。
私は小さいころから何に対しても悲観的でやる気のない人間でした。
学校で文集なんかに「将来の夢」を書かなくてはいけない時には、「夢」というものが全くなかったので、
当然何も思いつかなくて、いつも苦労していたものでした。
そんな私は、毎日ダラダラとした無駄とも思える人生を送ってきたのですが、高校生くらいからは
その「ダラダラ」が、突然悪化しはじめました。
朝が辛くて起きれない。着替えるのも面倒くさい。学校に行くのも面倒くさい。学校に行っても
あまりやる気が起きない。でも、とりあえず何となく学校に行く。そして何となく授業に出たり
友達と遊んだりする……。
そんな毎日を送っていました。
当時の私は、顔から「無気力」がにじみ出ていたみたいで、家族や先生など、周囲の人達からは
「やる気がない」と、よく言われていました。
友人達は、私という人間は「生まれてこのかたそういう性格なのだ。」と、思い込んでいたらしく、
あまり気にもとめていない様子でした。
当の私も、「もともと自分はやる気のない性格なんだな。」と、思っていたので、あまり深くは考えてい
ませんでした。
でも、「以前よりも無気力で、何もかもどうでもいい。」と、いう気持ちが強くなっているのを自分でも
実感していたので、「私って、最近ちょっと変だな。」と、思うようになりました。
今考えてみると、もうその頃からすでに、うつ病は始まっていたのだと思います。
「自分のこの性格がいけないんだ。」と、思い込んでいた私は「このやる気のない性格を何とかしなくては
いけない。」と、真剣に考えるようになりました。
友人達のように「毎日明るく元気に生活したい!」と、思って自分なりにいろいろと努力してみたのですが、
頑張れば頑張るほど妙に疲れてしまって、気力は減少していきました。
でも、その反面、妙に楽しい気分になることが年に何度かあって、何も考えずに遅くまで遊んでいること
もありました。
高校を卒業した後も、やる気のなさは相変わらずでした。
時々、小さな事がきっかけでひどく憂鬱になるようになりました。
その頃も、明日のことや友達の都合も考えずに、遅くまで遊びに付き合わせることがありました。
無気力無感動で、何に対してもやる気のない面倒くさがりやの私は、気が付くと無気力で冷めた大人になって
いました。
「仕事をしてお金を稼ぐようになったら、人並みに夢や希望なんかが持てるのかもしれない。」と、
思っていたのですが、社会に出て働くようになると、ほんの少しだけ残っていた
”やる気”はますます減少していきました。
そして、何もなくても「憂鬱」になることが多くなりました。
テレビや旅行の話題なんかではじゃぐ同僚達の明るいテンションについていけなくなった私は、
何日も考えに考えた末、ある日、病院に行くことを決意したのでした。
眠れないことが多くて毎日寝不足。
楽しいはずの事も、なにかの神経が麻痺してしまったかのように、何も感じない。
周囲の人達からは「冷めている。」と、いう評価。
”うつ病”と、いう病気の存在すら知らなかった私は、気が付かないうちに重症になっていました。
病院に行くと、うつ病との診断が出て「できれば入院したほうがいい。」と、言われたのですが、
そんなわけの分らない病気で入院したくはなかったので、医者と相談して通院することにしました。
そして、抗うつ薬と睡眠薬を飲みながら通常どおりに働いていたのですが、薬を飲み始めて半年
くらい経った頃から、妙に行動的になることが多くなりました。
欲しいものがあったら高くても迷わず買う。仕事がいやなのですぐ辞める。
その年は1年で3回も転職しました。
その後は、さらにエスカレートしていき、服装が派手になる。お酒を大量に飲むようになる。行く気が
しないので会社を休む。ムカついたら友人、上司、先輩など、誰にでも喧嘩を売る。
そんなことがよくあり、「扱いにくい」、「信用度に欠ける」と、いう評価を受けるようになって、私の
人間関係は壊滅的なダメージを受けました。
”思い立ったら即行動”ということが多くなり、生活のリズムはどんどん乱れていきました。
でも、一日中憂鬱で、何もないのに泣きたいくらいに落ち込む時もありました。
そういう時は、何かやろうと思っても「どうしよう、どうしよう…。」と、迷ってばかりで決断することが
できないので、躁状態の時のように簡単には行動を起こせません。
躁状態の象徴的なできごとといえば、「平気で人に迷惑をかける」と、いうことです。
ある土曜の夜に、友達と飲みに行きました。その日はちょっと憂鬱でしたが、お酒の力でなんとか楽しく
飲むことができました。
帰宅してからは、死ぬほど憂鬱な気分になって、また衝動的に自殺したくなってきたので、少しでも気持ち
を明るくしたくて、部屋で一人で飲んでいました。
そして、ぜんぜん眠れないので、朝までダラダラとお酒を飲んでいました。
夜が明けてくると、なんだか急に楽しい気分になってきて、明け方に外に出たくなりました。
泥酔状態なのにもかかわらず、車でちょっと遠くのコンビニまで行こうと考えました。
一度決断すると、その衝動を押さえることができず、親に止められても「絶対だいじょうぶ!!」と、
振り切って、車に乗りアクセルを思いっ切り踏み込みました。
車は勢いよく発進して、目の前にあった電信柱に「ドーン!!」と、真正面からぶつかりました。
まだローンも終わっていない私の車は、見るも無残な姿になってしまいました。
この他にも、躁状態になった時に、スピード狂のように普段ではありえないほどのスピードを出す時がよく
ありました。どんなにスピードを出しても、恐怖感は全くありません。
逆に、うつの時は「事故にでもあうんじゃないか…。」と、なにもかもが不安で、アクセルを踏むのが急に
怖くなって、頭が真っ白になり、動揺して車をぶつけたこともあります。
このようなことから、たぶん、私は最初から躁鬱病だったのだと思います。
初期の頃は、うつのほうがかなり強く出ていたし、医者もうつ病だと言っていたので、自分はうつ病であり、
時々気分が明るくなるのは「今日は調子がいいみたいだ。抗うつ薬が効いているんだなぁ。これが本来の
私なのかなぁ。」と、思い込んでいました。
憂鬱なのがイヤで、むりやりテンションを上げているうちに、いつのまにか逆転して躁の方が強くなって
しまったのか…。
それとも、うつ病だと思い込んで抗うつ薬だけを飲んでいたら、躁の方が強く出るようになってしまった
のか…。
今となってはよく分りません。
私が今、とても信頼している先生に「最近、前みたいに気分が盛り上がらないんですけど、私はまたうつ病
になってしまったのでしょうか?」と、たずねてみると「あなたは今まで、うつ病ではなく躁鬱病だった
んだよ。今が普通なんだよ。」と、言われました。
そこで、いくつか躁鬱病のサイトや本を読んでみると、まるで自分のことが書かれてあるかのように思えて、
本当に驚きました。
その時、「自分が躁鬱病だった」と、いうことを初めて知りました。
その新事実は、私にとってはあまりにもショッキングな出来事だったので、しばらく立ち直ることがで
きませんでした。
このサイトは【ウツのときの話】と、いうタイトルにしたのですが、本当は【ソウウツのときの話】
だったのです。
間違っていてごめんなさい。
でも、私はうつ病の治療しか受けていないので、やっぱり【ウツのときの話】でいいのかな、と思います。
2003.9.16
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