医学ニュース短信 第2部
1. 暗い色のネコにご用心
黒猫は、西洋では、ポーの短編小説「黒猫」に描かれるがごとく、不吉な存在としてとらえられている。
しかも猫を飼っている人で、アレルギーのある人は用心した方が良い、という嫌な研究結果まで発表された。猫の毛の色でアレルギーの苦痛の程度が決まるかもしれない、というのだ。調査対象はアレルギーと診断された321名。その結果、暗い色の猫を飼っている人が中等度〜重度のアレルギー症状を報告する割合は、明るい色の猫を飼っている人の2〜4倍にもなることが判明。でもご安心を!
今飼っている暗い色の猫をお払い箱にする必要はないとのこと。要は寝室の外で飼えばよいのである。そうすれば、くしゃみも喘鳴も遙かに少なくなる。
[参照文献:Health News / 2001年1月号]
2. 紅茶は心臓病における内皮機能を改善する
緑茶に含まれるカテキンは健康によい、ということで最近は多くのマスコミに取り上げられている。では、茶の一種である紅茶はどうであろうか。
紅茶を飲む人は、心臓病になりにくいらしいのである。紅茶は、おそらく、含有するフラボノイド(抗酸化能の他に癌や老化の防止作用などもあると言われている)のために内皮細胞の機能化を改善し、冠状動脈疾患患者の内皮血管運動機能障害を一変させる可能性があるらしいのである。
[参照文献『Circulation:Journal of the American Heart Association』2001年7月10日号]
3. 2型糖尿病を示す炎症性マーカ
C反応性蛋白(CRP)とインターロイキン-6(IL-6)が上昇すると、数年以内に、高い確率で、2型糖尿病(=インスリン非依存性糖尿病、通常は35歳以上の肥満者にゆっくりと現れる)が発症するらしい。しかもこの2つのマーカは、心臓病とも関連性があるらしい。
[参照文献 『JAMA』2001年7月18日号]
4.やはり肥満は健康の大敵
肥満が健康にもたらす弊害−例えば糖尿病や動脈硬化症など−は数多く指摘されている。その一つに、肥満が膵臓(消化腺であると同時に内分泌腺としての機能を有する)癌をもたらすというショッキングな報告が加わった。なんと、肥満が原因で膵臓癌となった患者は15%にも上る可能性がある、というのである。
しかし中位の運動を行うだけでも、その危険度を低下させることはできるという。
[参照文献:『JAMA』2001年8月22日号]
5. 蛇蝎のごとく嫌われても〜時代遅れでなくなったヒル治療
ヒルも蛇蝎のごとく嫌われる存在といえよう。しかし人の血を吸うヒルは、18、19世紀の頃、医療現場では瀉血目的で利用されていたのである。
ところが21世紀になり、このヒルが、再度、医療現場にカムバックしたのである。
膝変形性関節炎と診断され、痛みが6ヶ月以上続く患者10名を対象にドイツヒルを用いた試験が行われた。
10名には4匹のドイツヒルを80分間膝にあてがう。一方、対照群にはヒルを拒んだ6名が選ばれた。
この16名全員は試験期間中、運動療法を受けたが、非ステロイド系抗炎症薬は誰も服用しなかった。
その結果、ヒルを吸い付かせた群では早くも24時間後に痛みが大いに軽減されたが、対照群ではほとんど痛みに改善が認められなかった。さらに1ヶ月たった後もヒル群では、依然、痛みは遙かに少ないままであったという。
しかもうれしい?ことに副作用といえば、せいぜい、最初にヒルに噛まれた時のかすかな痛みくらいである。この成果は、ヒルの唾液に含まれる物質が痛みを和らげ、腫れをひかせていることにあるらしい。
[参照文献:Annals of Rheumatic Diseases 10月号]
その他の主要参照文献
○ドーランド図説医学大事典
○ ステッドマン医学大事典