ロータリー卓話
平成10年3月4日

今、皆様は昼食をとったわけですが、縄文人は一体何を食べていたのでしょうか。
縄文時代は今から 約1万2千年前に始まり、
2千数百年前に水稲農業が始まるまでの1万年間で、縄文土器を使っていました。
その食生活は、狩猟採集の時代で、食生活には季節性がみられました。
狩りには猟期があり、魚の回遊や川への遡上、木の実や山菜の取れる時期も決まっています。
縄文人は動物や魚、植物についてよく知っており、季節の移り変わりに応じて、
旬の食べ物を上手に利用していました。
縄文土器は、食べ物を煮る目的で登場する。動植物、貝を煮ることによって、
それまで食べられなかったものも、たくさん食べられるようになり、食料資源は拡大しました。
食物が柔らかくなり、汁によって栄養分が補われ、衛生的な食事、
老人や幼児も食べられる食事が実現した。
縄文時代の中期になると、中部地方などでは、盛り付け用や貯蔵用の器も現われ、
土器の用途も広がった。
一方、年間を通じて安定した食生活を送るために木の実の貯蔵穴や、
干物や塩漬け、薫製などの保存食品もつくられました。
縄文人の顔立ちは、骨格がしっかりしていて、角ばった顔をして、二重瞼の目ぱちくり、
いわゆる松崎しげるのような、バタ臭い顔をしていました。
それに比べ弥生人は面長のうりざね顔、いわゆる橋本首相のようなあごが小さく、
お醤油顔をしていました。
日本人は、従来から住んでいた、縄文人に西から来た弥生人が入り独特の文化を作りました。
縄文人は抜歯の風習をもっていた。これは成人の健康な切歯・犬歯・第一小臼歯を抜くもので、
この風習が普及して縄文中期には1〜2本抜く程度であったが、
終わりごろの西日本では最低4本を抜かれている。最も多い例では14本も抜かれていた。
抜歯が成人式の儀式であった事は分かっているが、
抜歯の数が異常に多いのは結婚式や葬式の際にも抜歯されたらしい。
ただし、ムシ歯を抜くことは知らず、ムシ歯に苦しむ人も少なくなかった。
ムシ歯の主な原因は植物の粉食にあった。

この古代人も困ったムシ歯は、現代では年々減少してきています。
これは昔に比べ歯科医師が増えてきた事が大きいと思いますが、しかしこのままでは、
これ以上ムシ歯は少なくなりません。正しい予防の知識が必要です。
ムシ歯を予防するには、歯の正しい知識が必要です。
人間の歯は何本あるか知っていますか。28〜32本です。
人間の歯は二生歯性といって乳歯から永久歯に抜け替わります。
これは脊椎動物のすべてに見られます。サメの歯はどのよになっていると思いますか。
多生歯性といって次から次へと抜けては生えてくるのです。歯の悪い人には羨ましいかぎりです。

また、歯はどのような機能をもっていると思いますか。
哺乳類を例にとって見ますと、@食物の摂取、つまり捕らえる事、A噛み切る事、
B噛み砕く事、C磨り潰す事です。人間でいうと、この4つの事を咀嚼と呼びます。
またもう一つ大切な役割は発音です。歯がないとはっきりとした発音ができません。
そして、歯はどのような成分でできているかというと、ハイドロオキシアパタイトという、
炭酸カルシウム、燐酸カルシウムという成分が主です。
人間の体の中で一番硬いエナネル質は無機質が96%を占めています。

この大切な歯をムシ歯から予防するためには、う蝕の成因を知る必要があります。
う蝕の発生機序を簡単にお話するには、Kyesの三つの輪という図が便利です。


歯の質、細菌、食物の三つの輪の重なったところがう蝕です。
そして、ムシ歯には砂糖が重要な役割を演じています。

砂糖を食べる

砂糖を材料として、ミュータンス菌の周りに不溶性のグルカン(デキストラン)をつくる

ねばねばした不溶性のグルカン(デキストラン)のためミュータンス菌が歯に付着する(歯垢の形成)

歯に付いたミュータンス菌が砂糖を材料として酸をつくる

酸が歯(エナメル質)を溶かしてう蝕をつくる。
更に時間とpHで説明すると


砂糖を取ると急激にpHが下がります。pH5.5以下になるとエナメル質が溶け出します。
そして、30分かけて普通の口の中のpH6.8に戻ります。
ごく簡単にムシ歯の出来かたを説明しましたが、ムシ歯を予防するには、
この三つの輪が重ならないようにしなくてはなりません。
まず、歯の質ですがこれは変えることができません。
永久歯の石灰化は出生時から始まっています。皆様の歯は既にできあがっていて変えられません。
次に細菌です。ムシ歯を作る細菌(特によく知られているのはミュータンス菌)は常在細菌といって、
いつも口の中にいます。これは、他の強い細菌が入り込んで来たとき、
これら強い有害な菌が増殖しないようにいるのです。
したがって、この常在細菌を変えたり、殺したりする事はできません。
そして、食物です。これは注意をすることができます。まず、原因となる砂糖を気をつけます。
さらに、だらだらといつも口の中に食べ物をいれておかない事です。
pHの図からわかるように、pHが一番下がるのは食後3分です。
20分位までは、エナメル質が溶け出す可能性があります。
したがって、食後3分以内に歯を磨く事です。
磨く事ができないときは、少なくとも口をゆすぐようにして下さい。

ここで、さらに予防についてお話すると、
フッ素の使用が考えられます。
フッ素はある特定の火山地帯に住む人々の歯には、虫歯が非常に少ない事が、
かなり以前から分かっていました。この事について多くの学者が興味を持ち、
いろいろ研究を重ねた結果、それらの人々の日常飲んでいる飲料水に、
かなりの量のフッ素が含まれている事がわかりました。
アメリカでは、これらの研究成果にもとづき、水道水の中に人工的に1.0ppmのフッ素を入れ、
虫歯予防をしようという計画がなされ、現在、かなりの地域で、実施され、
虫歯が4〜6割減少したという報告がされています。
日本では現在水道水にフッ素は入っていませんが、
京都のある地域でフッ素を入れたところよい結果が得られました。
このように水道水に人工的にフッ素を入れる事を「水道水のフッ素化」とよび、効果的であるなら、
フッ素を直接歯に塗ってあげれば、もっと簡単で効果が確実にあがります。
それが「フッ素の局所塗布」です。
この方法は広く歯科医院で行われ虫歯予防に大きな効果を上げています。
先ほど歯の質が変わらないと言いましたが、
フッ素は、乳歯やはえたばかりの永久歯の表面を硬い歯質にかえます。

さらに、最近テレビのCMや雑誌等でキシリトールという言葉を聞いたり、
見たりした事がありませんか。
民間の調査によると、平成9年7月中旬におけるキシリトールの認知率は55%を超えており、
このうち70%以上の人が「キシリトールがう蝕予防に効果がある」ことを知っていると報告しています。
平成9年4月に食品添加物としての使用が許可されたこの甘味料は、
わずか数ヶ月で日本国民の多くに記憶されることになりました。
この事は一般消費者の口腔保健に対する感心が高いことを反映しています。
さて、通常私たちが手にするキシリトールは、
白樺やトウモロコシの穂軸などから作る天然素材甘味料と呼ばれています。
したがって、きわめて安全な甘味料です。
しかし、大量に食べると下痢をすることがありますが、
これは甘味料すべての特性でキシリトールだけの事ではありません。
キシリトールは今から20数年前、フィンランドのトゥルク大学で研究が始まりました。
キシリトールが虫歯予防に効果があるのは、プラーク中では発酵されず酸を作らない事、
そして、ミュータンス菌の増えるのを抑える働きがあります。プラークの量も少なくなります。
このようにお話すると、皆様はすぐに買ってキシリトール入りのガム噛む事と思いますが、
効果的に噛むには、食事後すぐに、一日3〜5回噛む事です。

先ほど話した、フッ素やキシリトールは決して虫歯予防の魔法の薬ではありません。
虫歯を予防するには、ブラッシングやフッ化物の応用、正しい食生活、定期的な歯科健診が必要であり、
それにキシリトールを加えることにより効果が上がります。
皆さん虫歯にならないように心がけましょう。

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