6・高齢者のための鍼灸治療(病気の予防)

 鍼灸治療が身体に及ぼす影響については、前に述べましたが、ではそれを最大限に生かすためにはどの様にすればよいのか、高齢者の場合について考えてみましょう。
 ところで皆さんはどこかに身体の不調を感じられてから、どれくらいで治療をする決心をされますか。もちろん苦痛の度合いにもよるとは思いますが、忙しい社会生活の間をぬって病院の門を叩く決心をさせるには、我慢できない、または放っておいてはちょっとまずい、と感じられた時と思います。若いときには「あれ、ちょっと痛いな。」などと感じてもなぜか知らない内に治って(忘れて)しまっていることがよくあります。ところが年を経るに従って、少しの異変が段々と大きな問題につながって行きます。つまり、放っておいたら治らないのです。例えば、少し腰がだるいと治療に来られて、「しっかり治した方がいいですよ。」と言っても、「これくらい。」としばらく放っておかれるとどんどん悪化する、といったことが高齢者には大変多いのです。そこでやっと治療に本腰を入れられるのですが、良くなるのにかなりの時間を要するのは言うまでもありません。ですから、年をとるに従って、身体に異変を感じたら早めに治療しましょう。
 それともうひとつ忘れてはならないのが、病気の予防です。人間誰しも、「健やかに老いる」ことを願っています。その為にはとても大切なことが3つあります。
 一つ目は寝たきりにならないこと。
 二つ目はボケないこと。
 そして三つ目はなんでも食べられること。
簡単に言うと、自分の頭で考えて、どこへでも出かけて美味しいものが食べられる、ということです。さて、鍼灸治療を定期的に受けていて、足腰が弱って、寝たきりになる方は殆どおられません。それどころか、寝たきりの方が、鍼灸治療によってたくさん救われているのです。また、鍼灸治療は脳内の微小循環の改善効果も証明されています。これにより、脳血管性の痴呆(脳内の細かい血管が詰まってしまって、ごく狭い範囲ではあるが、あちこちで脳細胞が死んでしまう)に対して効果があると言うことです。また、何でも食べるためには内科的な病気、例えば糖尿病や高血圧などに気をつけましょう。以前、ご自分で血糖値を測定する器械を持っておられる方がいて、その方が、鍼灸治療を受け始めてから、薬を飲み忘れても、血糖値が上がらなくなった、と仰るのです。理論的にはわかっていましたが、この患者さんの毎日のデータが鍼灸の効果を裏付けることになったのです。
 また「健やかに老いる」ためには病気になっていては話になりません。鍼灸治療は病気の予防、並びに初期段階での治療に関しては大変効果的です。これは、鍼灸治療を少し継続された方ならわかっていただけると思います。また、前述の「鍼灸の効果」のページでも、触れた通りです。
 話が横道にそれますが、最近よく言われているアルツハイマー型痴呆は、解剖すると脳内にアルミニウムが沈着していることから、アルミニウム化合物の過剰摂取によって起こると言われています。(具体的にはアルミ鍋、アルミ箔などを料理に多用することによって、化学反応を起こし、アルミニウム化合物が食品に混じってしまう。例えば、アルミの弁当箱に梅干しを毎日入れると、弁当箱に穴があく。つまり、アルミニウムが梅干しの酸によって腐食(酸化)してアルミニウムイオンが酸化アルミニウムとして食品中に混じってしまっている。少し難しい話ですが、このようなことと考えて下さい。)これはアルミニウム自体が我々の身体にとって必要なミネラルでは無いために、体内に取り込まれても利用されずに溜まってしまうのです。ところが、鉄鍋の場合は鉄自体が身体には必要なものなので、いくら溶けて食品中に混じっても、一切害にはならないのです。例えば、血が赤いのはその中に鉄分がたくさん含まれているからです。このように、アルミ食器の使用はあまり勧められるものではありません。
 このように、鍼灸治療は特に高齢者にとって理想的な治療法なのです。積極的に活用していただきたいと思います。