初めて、鍼灸治療を希望してこられる方の殆どの方が慢性的な苦痛を抱えておられます。どうも世間一般には、「鍼灸=慢性」というような感覚が一般的なようです。まあ、その是非に関する議論は、またにするとしましょう。 7・慢性疾患に対する鍼灸治療
さて、鍼灸治療ではいろんな慢性疾患の方が治療を受けておられます。例えば、筆者が治療したもののほんの一部を挙げてみると、肩こり、腰痛、関節炎、捻挫ぐせ、ムチウチ、頚腕症候群、リウマチ、神経痛、シェーグレン症候群、ポイツジェガース症候群、気管支喘息、肺癌、大腿骨骨頭壊死、高血圧、起立性低血圧症、などと書いていてもキリがないので終わりますが、このように、枚挙にいとまがありません。これらに対して鍼灸単独で、また不治の病さえも西洋医学的治療と併用したりして、多くの方が一定の効果を実感しておられます。
しかし、ここで一番大切なこと、それは闘病の心構えです。5年10年と苦しんでおられる方は、わらにもすがる想いで、色々な治療を試される方がたくさんおられますが、慢性化しているほど、一定の効果を挙げるには時間がかかります。時々、「こんな治療をした、あれもやった、これもやった、有名な◯◯先生にもかかった。全て効かなかった。」と仰る方がおられますが、どれもこれも短期間でやめてしまっている場合が多く見受けられます。例えば、10年間いろんな治療をして、勿論最初はお医者さんにかかられることが多いのですが、そうやって治らなかったの病気が、2ヶ月や3ヶ月の治療で症状が劇的に好転すると考えにくいのは、誰が考えても明らかです。鍼灸治療はおうおうにして、劇的な効果を生むことがしばしばあります。それは我々でさえ、「本当?」と言いたくなるほどですが、通常はやはりそれ相当の期間を必要とします。そこを十分ご理解いただきたいと思います。これは、なにも鍼灸に限ったことではなく、いろんな治療法について言えることだと思います。ですから、特に慢性的に苦しんでおられる方は、別に鍼灸治療に限らず、信頼できる先生と治療法に、腰をすえて取り組んでいただきたいと思います。
さて、慢性疾患で治療するとき、特に気になるのは副作用の問題です。例えば、薬にしても長期的に服用しなければならないため、僅かな副作用でも見過ごせない場合があります。それに対して鍼灸治療は、その人の身体に備わった機能を引き出して治療するため、副作用は一切ありません。
例えば、あるツボに鍼をすると副腎皮質ホルモンの分泌が促進されることが判っています。また、脳内モルヒネ様物質(エンドルフィン)の産生も促します。また、抗ヒスタミン効果も証明されており、これは風邪の時などに非常に効果的です。また、風邪の発熱などを下げることも可能ですが、薬剤のような胃への負担はありません。つまり、これらに関しても、「副作用は一切無い」のです。
また、長期的にステロイド剤などを使用して、それを減らす、または中止するときに見られる副作用を軽減することが出来ます。前にも書いたように、欧米では使用している薬剤を減らすために、既に鍼灸を利用しているのです。