医療類似行為者とは?
鍼灸師とは,法律では「医療類似行為者」とされている。
はたして,この医療類似行為とはいったいどんなことをいうのだろうか?
類似行為とは簡単にいってしまえば似てることをすることである。
医療と似ていることをしているひとである。
国として法律で書いてまでも言いたいことは,本来のお医者さんは西洋医学のお医者さんであり,鍼灸師はお医者さんと似てること(似てるけど違うこと)をしてるひとということで,西洋医学のお医者さんと分けることにより医師と呼ばれる者を限定しているのである。
私自身がよく思うのは偽医者だということである。インチキ治療をするから偽医者ではなく(もちろんこの世界で食べている普通の鍼灸師は苦しんでいる患者さんを少しでも楽にしてあげられればと日夜努力しているのが大半である)とにかく法律ではそういう捉えられ方をされてしまう危険性を常にはらんでいるものであることを自覚しておかなければいけないという意味でそう思うのである。偽医者とまで言わないまでも,実際,診察・治療などのできることの内容も限定されている。限度を超えたら法で裁かれてしまうのである。
なぜこのように複雑なことになっているのかは,明治維新の文明開花時の制度化が当然医学にも取り入れられた結果であるが,そのことの説明は歴史家やそれぞれの専門家にまかせて,わたし眉ツバ鍼灸師は違った角度から眺めてみたい。
すでに言ったように法律用語では微妙にボカされているが,要するに「法律が定めた偽医者かヤミ医者」のようなものなのであり類似者なのである。
考えようによっては「法律が許した類似もの」でもある。
法律の文章や呼び名はよくしたもので,少し見方を変えればいかようにでもとれるようにつくられているらしい。だから誰がどう見ても犯罪者であっても,有能な?弁護士にかかれば無罪にもしてくれる。
とてもこれは不思議な感じがしてしまう。「法律が許すニセモノ」そんなことがあっていいのかとさえ私は思う。
私なんか,この法律をまじめに考えたらキツネにつままれたようで,頭がトンチンカンになってしまい狂いそうだ(笑)。
とにかく「法律で認められたニセモノ」であり,他にそんなものがありえるのか考えてみることにしよう。
そしたら,意外にもあり得ないはずのこれらの例は身近にたくさんあるのである。
やっぱり私は頭が足りないせいか,法律というのがよく分かりませんゴメンナサイ。自然である人間の身体を診るほうが総てがわかったとは言わないまでも納得できる。
法律で認められたニセモノの例は,まずガードマン。あれも詳しい法律でどうなってるのか分からないが,警察のニセモノのようなもんだと思う。なにせ私なんかは,祖父が警察官であったにもかかわらず(それともトラウマか?),中学生時代の悪びれる頃には,立派に遠目であの制服を見るととっさに大したことをしたわけでもないが何か自分が悪いことをしているような気がしてしまう。そして紛らわしいガードマンの制服や警棒,パトカーと同じカラーリングのニセモノまで,よく車で走っているときなど人形(道端に立っているお巡りさんの格好をしたヤツ)や道路工事で立っているガードマンを見ただけで,一瞬びくっとして「なんだおどかせるなー」と心の内ではつぶやきびっくりした自分に怒りを覚えるほどである。こんな経験をしたことがあるのは私だけではないと思うが,とにかく人をびっくりさせあきれるほど警察と似ているガードマンという業種なのである。
でもあそこまで似てて許されてるのは,何か裏のつながりを勘ぐってしまう。きっと鍼師も一般の方々には同じようにとられているのかも知れない。(鍼灸師と医師との癒着?これはありえない)(笑)
次に思い付く法律で認められたニセモノの例は,学習塾の先生である。私も短いながら,鍼灸専門学校の頃,中学生向けの学習塾でアルバイトをさせてもらったが,もちろん私は教員免許は持ってない。しかし子供達に勉強を教え(はっきりいって私のほうが教えてもらってた),中学生という多感な時期の子供達と一緒にカラオケボックスで恋愛話しに花を咲かせ,モスバーガーで家庭のいざこざの話を聞かせてくれるのである。本来は学校の先生に相談すべきことが気安く友だち感覚で話せるという理由でこの若造の私に話し,私が一緒に遊んでもらっていたのである(何かおかしい…)。このような業種がたくさんある現代の日本の教育問題をふと思うと,いろいろなことがあるなぁと考えさせられた。企業としての塾や予備校またはそこで働く先生や生徒,その父母との関係など,それを取り巻く環境のなかでいたことはとても面白い経験であり,鍼灸業界との共通点がいくつもみられた。
今単純に考えて思い付くニセモノの例は,私の頭では上記のようなものである。
以前,鍼灸師の恩師が「鍼灸師とは医療界の落ち穂拾いです」という迷言?を言っているのを聞いて私は妙に納得し笑ってしまったが,これらはどれもその業界の落ち穂拾い役のような気がする。
だから何かニセモノシリーズか,はたまた落ち穂拾い業種みたいなものをテーマとしていろいろ書いたらすごく面白いものができるような気がして誰か文章のうまい人が書いてくれたものを読みたいなー(誰か書いてくれないかなー)。これらの中には何か日本の未来を占う業種がきっとあるはずだ。
そして,よくよく考えてみたら,今回とりあげた上の三つの落ち穂拾い業種&ニセモノ業種は,法律,教育,医療と本来国の基幹であるところのものである。これら根幹となる重要なものなのにニセモノがあるのがおかしい気がするし,あってはならないものなのではないかと私なんかは善人だから(うそつき)思うのである。なぜか法律で許されているのがとても意味ありげだし不思議なことだ。
情報化・複雑化などの急激な近代化による「歪み」みたいなものの受け皿としてこれらの業種は機能している気がする。
複雑化した現代社会ではどうしても従来の枠組み(法律など)の中では,対処しきれないものがでてくる。鍼灸師なら現代医学が見放した病気。ガードマンでは警察では面倒をみてくれない一般の警備。学習塾では受験戦争という学校では対処しきれない偏差値のアップなど。これら本来国が主体となって対処すべきものであったものが一元化できなくなった時,国の責任逃れと企業の利害の微妙なバランスの上に社会の複雑な要望に対処するために築かれてきた業種達である気がする。
これらサブであるものが,ひと昔前より肥大化してきているし(鍼灸師はそうでもない気がするが…),さらに膨らんでいきそうな落ち穂拾い業種&ニセモノ業種達なのである。
ただ今回言いたかったのは,鍼灸師というのは法律としてみる場合「医療類似行為者」という一般の人が聞き慣れない変な呼び方でいわれているものであり,また医療という中でポッカリ浮いた存在と同様に不安定な資格を持つなかで治療者として格闘している(私を含めて?)のが鍼灸師であるということを知っていただければと思ったのである。