私の作品

平成14年

6
飛び疲れ吾が掌に休む蛍かな

戸畑 夜宮公園にて

千代紙をばら蒔きし如花菖蒲

7

夏空やワイシャツの白際立ちて

足立嶺に掛かりて涼し夏の雲

夏鶯阿蘇の小道に谺して

8

終戦記念日を前に
火取虫灯に向かふ目の恐ろしさ

遠賀 芦屋海岸にて
戯れて濡れる踝夏の浜

9

●竜胆の藍鮮やかに通勤路

10
秋冷の未明の電話響きけり

秋高し飛行機雲の西へ伸び

11月
秋潮に逆らふ小船壇ノ浦

秋高し雨上がりたる空の青

12
月明かり聖夜の街は音も無く

 

平成15

初稽古畳の感触確かめて

●銀翼が冬天深く切り裂けリ

●温厚な父の笑顔や春隣

八幡製鉄所東田高炉跡
●寒月を背負ひて聳ゆ廃高炉 

菜の花の黄色の果てに志賀島

●花時計ゆっくり動く昼下がり

●白き杖櫻の下で立ち止まる


●スーツ脱ぐみなとみらいに初夏の風


●夏祭り勢水の弾けたり

●窓枠を額縁にして夏樹の絵

●争ひの火種吾にも原爆忌


●西日中リハビリの杖ゆっくりと

●草笛を多佳子の庭で吹いてみる

●廃屋に起重機の爪十二月

●個性あり一山いくらの林檎にも

冬日向キリンの寝藁ふんわりと

足立嶺に霙降りをり久女の忌

●窓越しの淡き光や春隣

●古草の多くは語らぬ思ひかな