「対症」と「根治」で花粉症乗り切る

春を告げるうれしい便りであるはずの「桜の開花予想」を、憂鬱な気分で聞かなければならないのが花粉症の人たちである。
耳鼻咽喉科の治療では抗ヒスタミン剤やステロイド剤をよく使うが、薬に敏感な人では眠気や依存症などの副作用があるので、漢方薬による治療を希望する人が増えている。
さらさらした鼻水やクシャミは、漢方で言う「風寒証」にあたる。この場合には肺を温め、寒邪を発散する小青龍湯や麻黄附子細辛湯などがよく用いられる。処方中に含まれる麻黄、五味子、甘草、細辛などには強力な抗アレルギー作用があることも知られている。
これらの処方には即効性があるので、短期間で効果が上がることが多い。
クシャミや鼻づまりとともに花粉症にはもう一つ、目が充血してかゆい、黄色い鼻汁や鼻・ノドの奥が赤くはれるといった熱性の症状を伴うタイプもある。
漢方で言う「風熱証」にあたり、これらの症状には消風散や天津感冒片が効果を上げる。
こうした対症療法で花粉の飛散期を乗り切ったら、次は花粉症の根治に取り組むべきである。アレルギー体質の改善には、免疫作用に深く関係している腎を強める八仙丸、脾胃(消化器系)を強める玉屏風散が最も有効な処方である。
なお、玉屏風散は現在日本で入手できないので黄耆建中湯で代用する。
日本には杉の葉を煎じてスギ花粉症を治療する方法があるが、中国でも氷河期の植物である紅豆杉が有効だという報告がある。
スギをもってスギ花粉症を制する方法である。

袁 世華(中国・長春中医学院教授)讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』1998/03/22