乳房の病気について
乳房には様々な病気がありますが,本当の意味で治療が必要な病気はほぼ乳癌だけです。このためすべての検査は乳癌かどうか調べるために行います。
乳房の症状
乳房の痛み
20代後半から50代前半の人に多い症状で特に生理前に痛みを伴うことが多いようです。また乳房の硬結を伴うこともよく見受けられます.乳腺の卵巣ホルモンによる変化で乳腺症と呼ばれる状態です。通常は治療は必要ありません。乳房の痛みで受診される方が多いのですが、一般に乳がんで痛みを伴うことは少なく、痛みとがんの関係はあまり考える必要はありません.
乳房のしこり
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乳頭分泌
授乳期以外で乳頭から分泌物が出ることです。強く圧迫した時のみ少量の分泌がある場合はあまり問題ありません.透明な液体や,乳汁様の場合も乳腺症の変化であることが多く心配いりません。しかし血が混じるような分泌物が自然に、一つの乳管から出てくる場合は,早期の乳癌の可能性(5−20%程度)があり検査が必要です。
乳房の炎症
乳輪下膿瘍が代表的です.乳頭の乳管開口部から細菌が入って化膿したものです。場合により小さく切開して膿を出す必要があります。繰り返すことが多いようです。
結論として乳癌を調べる検査をした方が良い重要な症状は,1週間たっても小さくならないしこりと,乳頭から出血(赤黒い分泌物)が自然にでてくることです.
代表的な良性疾患
【線維腺腫】
20代から30代の人に多いしこりです。大きくならないかぎり治療は特別必要ありません.しかし2-3cmを超えると美容的な目的で手術します。日帰り、又は1泊2日で40-60分程度の小さな手術です。
【乳腺症】
30代から40代の人に多く生理前に痛みを伴うことが多いようです。特に治療はいりません。嚢胞(水がたまる)、硬化性腺症などが含まれます。
【乳頭腫】
良性の腫瘍です。大きくならなければ本来は治療はいりませが、診断のためしばしば切除生検を行います。
これら良性の変化が癌に変わることは通常ありません。もちろん当初の診断が正しければの話です。
無症状の方の乳がん検診について
39才以下の方;特に家族歴がない場合は、自己検診以上の検診の必要はないと一般には考えられています.
40才から49才の方;
年1回の乳がん検診(レントゲン)の有効性については専門家の間に賛否両論がありますが,45才以上の人は年1回の検診を勧める意見が主流です。
50才以上の方;
年1回のレントゲン(マンモグラフィー)を用いた乳がん検診により乳がん死亡率が20-30%低下(relative risk reduction)することには明らかな根拠があります.(早期発見の効果) このため年1回の定期検診が推奨されています.
45才以上の人が毎年乳がん検診(マンモグラフィー)を受けることと,異常を感じたとき,専門医の診察を受けることが重要と考えられています.
乳がんの自己検診
月1回生理の後の自己検診が30才以上の方に習慣として薦められています.
乳房の検査
まず次の基本的な検査を行います
1医師の診察,
2超音波検査(エコー検査)
3乳房のレントゲン検査
何らかの異常があれば超音波ガイド下の病理組織検査 (Core Needle Biopsy)などを行います。以上の検査で約95%の方は診断が確定します。
検査結果の解釈
1.正常/ほぼ正常(no risk群)
乳腺症、線維腺腫、乳頭腫
2.将来乳癌になる危険が高い群(high risk群)
A 異型乳管上皮、異型小葉上皮
(通常の人より乳癌の危険が4−5倍)
B 非浸潤性小葉癌、non-comedo型非浸潤性乳管癌
(通常の人より乳癌の危険が8−10 倍)
【乳癌の高危険群として治療と経過観察が必要】
3.乳癌 comedo型非浸潤性乳管癌,浸潤癌
【通常の乳癌の治療が必要】
線維腺腫や乳がん,さらに嚢胞(水がたまったしこり)などがしこりの原因になります.こうしたしこりは乳がんでないことを確認するため針を使った検査が多くの場合必要です.穿刺により透明な液体が吸引される場合は、まず心配ありません。