乳房の葉状腫瘍について

葉状腫瘍について

葉状腫瘍は楕円形のやわらかい腫瘍で、2〜3ヶ月単位で比較的速く大きくなることを特徴としています。触診所見、超音波所見、マンモグラフィー所見はいずれも良性腫瘍の線維腺腫と酷似しており、診断は病理組織検査(切除または針生検)に基づきます。30代の女性に好発しますが、必ずしも年齢は限定されていません。 葉状腫瘍は乳腺組織を構成する上皮細胞と間質細胞のうち間質細胞から発生します。 ちなみに上皮細胞が悪性化すれば乳癌であり、間質細胞が悪性化すれば肉腫となります。このため葉状腫瘍は肉腫の系統に属します。(かつては葉状肉腫と呼ばれていました)  葉状腫瘍は病理組織所見により悪性葉状腫瘍と良性葉状腫瘍に分類されますが、その分類は必ずしもその後の経過を反映しません。

治療について 外科手術が基本になります。乳癌と違って放射線、ホルモン療法は無効であり、抗癌剤治療にも限られた効果しかありません。このため初回治療は通常手術による腫瘍の完全切除が原則となります。全身麻酔で手術を行い5日前後の入院が平均的な経過となります。術後の後遺症はほとんどありません。葉状腫瘍全体でみると95%程度の人が治癒するため、治癒率が70%程度の乳癌と比較するとかなりたちの良い病気といえます。

遠隔再発について 葉状腫瘍をすべて含めると(良性、ボーダーライン、悪性)5%以下の確率で肺などに遠隔再発(致命的になる)します。いわゆる悪性葉状腫瘍と診断された場合は4分の1が遠隔再発します。一方良性葉状腫瘍もまれに遠隔再発するため必ずしも良性とは言い切れません。このように葉状腫瘍は比較的たちの良い病気ですが、例外があるため必ずしも安心できないところがあります。遠隔再発と診断されてからの平均生存期間は2年6ヶ月です。

局所再発について 最終的に葉状腫瘍の約20%が局所再発します。初回治療から局所再発までは平均2年程度と報告されています。またリンパ節に転移することはまれであるため、リンパ節を切除する手術は行いません。このため完全な局所切除が初回治療の原則となります。(腫瘍が大きければ乳房全摘手術が必要となることもあります。)局所再発は通常再手術により治療可能(治癒する可能性も高い)ですが、局所再発が遠隔再発の引き金になる可能性も完全には否定できないため、初回手術での腫瘍の完全切除が重要と考えられています。

JR東京総合病院外科  川端英孝 トップページに戻る: