進行がん(Stage4,遠隔再発)の治療
4期または遠隔再発した患者さんは原則として治癒しないことをお話しなければなりません.実際4期の患者さんの10年生存率は7%程度です.原則としてという意味は例外は必ずあるということです.しかしそれは残念ながら比較的稀なケ−スなのです.しかしながらこのような場合でも治療をうまく行うことによって、しばしば価値のある症状の緩和が得られ、その効果は時に何年にも及ぶことがあります。
したがって治療の最大の目的は、治療の副作用を最小限にしながらできるだけ長く患者さんの生活を活動的なものにし、症状を取ることです。こうした再発転移の治療に延命効果があるかどうかについては、議論のあるところですが、延命そのものは再発治療の主たる目的ではないと考えられています。しかしながら、急速な臓器不全をきたすような場合すなわち肝機能障害をきたす肝臓転移や癌性胸膜炎の場合,治療により症状が改善できればまず確実に延命されると思います。
欧米でも一部のがん治療医は最初に遠隔再発が発見された時点で全身治療を行おうとしていますが、現在では多数の専門家が進行する症状があって初めて治療を開始したり変更すべきであると考えています。症状のない患者さんにこうした治療をしても、何のメリットもなく副作用のみかもしれないし、また薬剤耐性を導き、今後症状が出たときにはこうした薬剤を使用できなくなるかもしれないからです。
しかしながら 無症状の患者さんの場合でも予期される差し迫った合併症を回避したり遅らせるため治療が試みられることもあります.例えばレントゲン上増大してきている肺転移は呼吸症状の出現が予想され,そのような場合治療を始めることは適切かもしれません.こうした場合,治療をするかどうかは腫瘍の増大スピ−ドと,患者さんの治療に対する希望によると思われます.またホルモン療法は抗癌剤に比較して副作用があまりなく,また反応がみられた時の有効期間が長いことから,第一に考えるべきだし,無症状の場合でも積極的に使用すべきかも知れません.なお局所コントロ−ルを目的として手術,放射線療法も行われます.
進行再発乳癌の治療において重要な3つのポイント
1 ホルモン剤をうまく順番に使っていくこと,
2 症状を取るための治療を優先すること.放射線治療,ビスホスホネ−ト剤の使用など
3 モルヒネやステロイドの内服をタイミング良く行うこと
以上の3点です