メニュー

 

どんな症状?

 一般的な症状として本に載っていたものを紹介します。症状の経過をとらえることができるので、私にとっては分かりやすかったです。最初は・・・というところで、あてはまるなぁと思った方!あるいは、周囲にそういう方がいるという方!早めの受診をおすすめします。

最初は・・・

 睡眠障害、食欲の低下、頭重感、イライラ、疲労感、動悸など、身体的不調を自覚する方が多いようです。明確な抑うつ、悲哀感情より、見聞きするものに対してはっきりとした印象が持てない、生き生きとした感情が湧かないなどの感情をなんとなく自覚する方が多いようです。

次第に・・・

 何をするにも億劫で、何事にも興味を失い、仕事や作業の能力低下を自覚し、それに悩まされるようになります。そして、従来の能力を保とうと努力し、焦燥、イライラ、不安を募らせてしまいます。判断力、集中力の低下、あるいは記憶減退を自覚し、自信をなくし、くよくよと思い悩むようになります。しかし、この時期には、つとめて平静を保とうとするので、周囲の人には気づかれないことが多いのです。

さらに・・・

 自責の念にかられ、深刻な劣等感や悲哀感にさいなまれるようになります。表情・態度に活力を欠き、動作もにぶく、口数も少なく、声も小さくなります。考えも浮かびにくくなり、思考がまとまらなくなります。すべてが、悲しい、憂いとしか感じられなくなり、嫌世的になり、希望が全く失われてしまったように感じます。

そして・・・

 「自分は何もできなくなってしまった。役に立たなくて周囲の人たちに迷惑をかけて申し訳ない」と自責の念や罪悪感を抱くようになり、「周囲に申し訳ないので死んでしまいたい」などと自殺念慮を抱くようになってしまいます。

(参考:奥村満佐子「躁うつ病−病態と合併症・リスク管理−」図解作業療法技術ガイド、文光堂、1998年)

原因は何?

現在は明確には分かっていないようですが、いろいろな説があります。

社会的要因

 転勤、昇進、退職、対人関係、家族との死別、結婚、出産、経済的困窮、交通事故など、環境の変化や、喪失体験に反応して発症することが多いといわれています。

病前性格

 うつ病の人の性格の傾向は、几帳面、正直、凝り性、強い正義感や義務感、責任感を持ち、仕事に熱心な性格(執着性格)であるといわれています。たとえば、過労を強いられるような状況があると、正常人では意欲減退などが起きて、みずから休養をとるようになりますが、執着性格者は疲弊に抵抗して活動を続けるため、その疲弊が頂点に達して、病気への逃避反応としてうつ病が発症します。(下田の説)

 しかし、最近は、うつ病の人の病前性格は、正常者の人格とほとんど相違ないこと、うつ病の人の病前性格は、神経症傾向あるいはそれと類似した人格傾向によって特徴づけられているという説(佐藤)もあります。

生物学的研究

モノアミン仮説

 脳内伝達物質である、モノアミンが欠乏しているからうつ状態になるとする説。三環系抗うつ薬(イミプラミン)がモノアミン再取り込み阻害作用を持つことが発見され、この研究からうつ病の最初の生物学的成因論であるモノアミン仮説が提唱されました。うつ病者の髄液中のセロトニン代謝産物である5ヒドロキシインドール酸が低値を示す傾向にあることや、うつ病自殺者の脳内セロトニンおよび5ヒドロキシインドール酸が低値を示す傾向にあることなどが報告されています(1960年代)その後、モノアミン欠乏だけでは説明がつかないことが指摘されるようになってきました。

受容体感受性亢進仮説

 脳内の神経細胞のシナプス後膜に存在する受容体(脳内伝達物質を受け取るところ。ここで物質を受け取ると、あるタンパク質を作る反応が起き、神経単位に変化が起きる)の感受性が高くなっているため、うつ状態になるとする説。抗うつ薬の慢性投与によって、ノルアドレナリンβ受容体の感受性低下が生じることが明らかになったことから、この仮説が立てられました。しかし、抗うつ薬のすべてに受容体の数を低下させる作用があるわけではないという報告がされ、矛盾が指摘されるようになりました。

細胞内情報伝達系をターゲットとした研究

 抗うつ薬は、神経伝達物質−受容体機能の活動に急性に変化をもたらし、その変化は引き続いて神経細胞内のシグナル伝達経路へと波及し最終的には遺伝子発現を調整します。最近は、神経細胞内のシグナル伝達経路に関する研究が進められているようです。抗うつ薬慢性投与が神経細胞内のCREBというタンパクのリン酸化を亢進させ、BDNFという脳由来神経栄養因子の発現を亢進させているという報告がります。(デュマ)「ストレスによるうつ状態では神経細胞の変性が起こり、抗うつ薬はこの神経細胞の再生を促進して、細胞機能の改善すなわちうつ状態の回復を導く」という仮説(中村)とも関連しているそうです。

ストレス脆弱性の形成に関する分子メカニズムの研究

 環境の変化や、喪失体験に遭っても、個人によってうつ病を発症する人とそうでない人とに分かれるのは、個人のストレスに対する適応性・脆弱性によるのではないかという考え方があり、それを裏付けるべく研究が進められているようです。雑種ラットに比べて純系ラットは、急性ストレスに対して過剰なHPA系(視床下部−下垂体ー副腎皮質系)や情動の反応を呈し、ストレスに対して過敏であることが報告されています。また、生後二週間の間、連日一定時間仔ラットを母親から引き離すと、ラットが成熟した後にも急性ストレスに対するHPA系の過剰反応や、強い情動反応を示し、ストレス脆弱性の形成されることが報告されています。

(参考:藤巻康一郎、森信繁「うつ病の成因に関する仮説」こころの科学第97号、日本評論社、2001年)

うつ病?ナマケ病?単なる落ち込み?

 わたしは、もともとナマケ者だし、だらしのない性格。でも・・・、うつの時は、あきらかにそれとは違った感じがじます。最初は、「私のナマケもとうとうここまできたか〜」なんて思いましたけど。

どっちかなって思ったときの助けになるかも?!

うつ病と日常的なうつ気分の違い

  うつ病 日常のうつ気分
強さ 強い(しばしば妄想的) 弱い(現実からずれない)
自殺 しばしば自殺する 比較的稀
日常生活 大きく阻害される それほど阻害されない
状況変化の影響 よいことがあってもよくならない なぐさめると少しよくなる
対人接触 人に接するのを嫌がる 人に頼りたがる
仕事・趣味 まったくやりたがらない やっていたほうが気がまぎれる
きっかけ はっきりしたものはない はっきりしている
周囲の了解 理解できないことが多い 十分理解できる
持続 長く続く(数ヶ月) 時間経過とともに忘れる
抗うつ薬 よく効く 効かない

(野村総一郎『もううつにはなりたくない』1994より)