セカンドフライのいなちょこがり

疾走感、爽快感、にがにじみ感を味わえる短編集。


1. 未来図

2. ある演説会

3. 不思議な話

4. トウメイ

5. 密室

6. 忘れてた頃


1未来図
人類が誕生して25世紀もたった。過去に騒がれた「恐怖の大魔王」も何も起こらず現在に至っている。今の世界は20世紀に誕生したコンピューターが大半を占め、何をするにも機会が対応してくれる。そのせいか人間は会話することが減り、外は虚しい機械の音だけが響いている。まだコンピューターがここまで浸透していない時代、ずっとさかのぼると、つまりまだ人類が誕生した頃からは聖礼氏が尊ばれ、権力を握っていた。それから武力、次ぎに文明の力と言われた時代は学問のできる者がトップにたち権力を支配し、学問のできない者は落ちこぼれとみなされた。しかしこれも22世紀頃には、人間は頭を使うことに疲れ、また貧弱な人間になってしまう恐れを抱いたため次ぎにスポーツを極めた者が社会の目標とされた。しかしこれも、薬などが乱用され、それにより死んでいくものが後を絶たなかったので違うものが目標とされた。そして25世紀現在、何が求められているかというと、速く、そして正確に人と話せる人が求めれている。なぜなら25世紀は人間の会話力が衰え今まさに会話こそが人間にとって本当に必要なもだということに気がついたからである。しかしただ単に会話するのでは何ら特徴もないので速く正確に話せる人間が今の世界を支配できる者とみなされている。人類はこれを極めたらどこへ向かっていくのだろう。


2ある演説会
ある人「私はあなた方に3つの「き」を与えたい。1つは「勇気」である。この勇気こそが目の前にそびえたつ恐れや不安を切り裂いてくれる「気」である。次ぎにあなた達に「ほうき」を与えたい。日曜日や休みの日などにすすんでほうきで庭掃除をして欲しい。そして体を温めて欲しい。次ぎにあなた方に「さばき」を教えたい。日本一のさばきを身につけて私においしい魚を食べさせてくれ。そして、わしに「オイシー」と叫ばせてくれ。以上」


3不思議な話
少年は夢を見るのが好きだった。普通の人なら暇があれば外へ出たり遊びに行ったり自分の好きなことをしようとする。しかしこの少年は真っ先に寝て夢を見ることを選んだ。それも、見た夢はすべてノートに書くくらい夢を見ることに熱心だった。それはいつ頃だったであろうか。少年は起きている時間よりも寝ている時間の割合が多くなった。この頃から少年の記憶は現実よりも夢の方が鮮明に残るようになった。こうして少年の起きている時間は一時間→30分→10分→そしてついには3秒とほとんど寝ている状態となってしまった。起きているときも少年は自分の意志で動いているのではなく、まるで何かに操られているようだった。少年は、わずかな意識の中で「実は自分が生活している世界が夢で夢の世界が現実なのではないか」と思い始めた。それから少年は目覚めることはなく夢の中で生きつづけたという・・・・・。


4トウメイ
とある山奥に小人の若い夫婦とおじいいさんが住んでいました。この3人は山の中で食料を集めたり動物やその他の生き物達と共存し幸せに暮らしていました。そんな幸せな日々の中に突然不幸がやってきました。男の妻が病気にかかってしまい今にも死にそうになっているのです。男は悩みました。なぜなら今までこの3人は病気などにかかったことがないし、第一この山にはそんな病気を治す薬などなかったからです。そんな中おじいさんが一人何か言おうか言わまいか迷っている様子でした。
 男「どうしたんだおじじ。」
 おじじ「うーん、うーん、どうしよう。」
 男「いったいなんだっていうんだ。」
 おじじ「あのな、わしゃ知っとるんじゃ。」
 男「何を?」
 おじじ「病気の治し方じゃ。」
 男「本当か。どうするんだ!」
 おじじ「じゃが、かなり危険だ。我々の命も…。」
 男「いいから教えてくれ!」
 おじじ「わかった。昔から我々の村に伝わっていたんだが、もし誰かが病気にかかったら人間界のところにいき薬をもらってそれを飲ませるのじゃよ。だが、己の姿が人間に見つかれば、その人の親類、つまりわしが死んでしまうのじゃよ。それでもいいなら行ってこい。」
 男「そ、そんな。でも・・・・」
 おじじ「わしの命もそう長くない。行って来い。」
 男「悪いっ!!おじじー!」
 こうして男は人間のところへ行きなんとか薬を手に入れました。そして妻のいるところへ戻ってみると、おじじと妻は死んでいました。そのときです。ひとすじの光が現われたかと思うとそこには大きな仏様が立っていました。
 仏様「よくもお前は二人を殺したな。おんだがー、おんだがー。」
 仏は手から光のようなものを放った。
 男「すみません。でもこうするしか道はなかったんです。」
 男が気を失いそうになったその時です。目も開けられないほどの、そして暖かい光が男を包み込みました。目を開けてみると、そこには死んだはずの妻がいました。
 男「どうなってるんだ?」
 妻「あなたの勇気ある行動が結果としてこうなったのよ。ありがとう。」
 男「よかった。本当によかった。ん、てことは・・・おじじは?」
 おじじ「やっほー生きかえったぞい。」
 男「うへ〜っ」
      おしまい
 ちなみにこれは夢で見た内容なのですが、そのため内容はメチャクチャです。しかしとても感動しました。


5密室
ある密室に一人の男がいて、俺に質問を繰り返してくる。どうでもいい質問だ。名前はなんだとか、年齢とか、好きな歌はとかありきたりの質問だ。それも俺が気がついてから8時間近くもやっている。気を紛らわすまめに周りを見てもこの部屋にはなぜか窓もなく、湿っぽくてのどか乾いても水もない。次第に俺の顔は疲労の表情に変わっていった。いやむしろ疲労というよりは苛立ちの方が強かったかもしれない。しかしなぜか男は生き生きとした顔で疲れも見せず相変わらず同じことを聞いてくる。ついに俺はキレだし、机の上のペンを地面に投げつけた。男はやれやれといった感じで席を立ちペンを拾おうとした。と同時に男が離れたイスから強いエネルギーを感じた。ここに座れとまるで命令しているようなかのようだった。無意識に俺はその椅子に座った。その時である。そこに立っている男のことが知りたくて知りたくてたまらなくなってきた。それから、俺は今までやられていた質問を逆に同じように繰り返した。男の表情はしまった、そこから離れてはいけなかったという顔だった。その顔さえ面白くてたまらなく、その男の心が見てとれるようだった。


6忘れてた頃
カオルは珍しく目覚めの良い朝を迎えた。一階からは朝食のおいしい匂いがカオルの部屋まで届いていた。トースト、サラダ、ベーコン・・・カオルは瞬時に頭の中で思い描いた。カレンダーを見ると4月1日だった。今日からまた新しい月が始まるのに何も変わらない毎日。そんなことを思いながらカオルはダイニングへと向かった。丁度そこには家族達がカオルが来るのを待っていた。全員がそろい食べ始める。メニューはカオルが想像してたものと一緒だった。心なしか少しうれしくなる。いつもと変わらぬようトーストを食べる。がしかし周りの様子が微妙に変な感じがする。それもそのはず普通にトーストは食べるものなのに自分を除き家族みんながトーストで歯を磨き始めたのである。それが終わったかと思うとサラダで顔を洗い出したではないか。カオルには理解できず、ただ、その状況を見守るしかなかった。納得のいかぬままカオルは学校へ行く時間になり、学校へ向かった。家ではあんな不可解なことがあったものの外の世界は別に何も変化もない様子だった。しかしこの朝から実はすべての始まりだった。授業の1時限目は算数だった・・・・。
 先生「それでは授業をはじめる。今日は足し算の勉強だ。1+1は何だ。誰かわかるもの?」
 みんないっせいに手を上げる。
 先生「よし田中。」
 田中「6です。」
 先生「よくできました。」
 かおるは耳を疑った。1+1は2だろう。6って何だ?全くわからん。
 先生「それじゃあ、6+4はいくつだ?カオル」
 カオル「えっ!!・・・じゅ、じゅうです。」
 先生「違うだろう。ちゃんと復習してるのか?それじゃ、代わりに武田。」
 武田「はい。3です。」
 先生「よし、よくできました。」
 一体何なんだ?オレは頭が変になったのか。カオルはだんだん不安になった。ニ限目社会。
 先生「それでは、この前の続き、36ページから、えっと三川君呼んでくれ。」
 三川「はい。第二次世界大戦に負けたアメリカ、イギリス、フランスなどはドイツ、イタリアの下に統治され…中略・・・となった。」
 カオル「先生、第二次世界大戦に負けたのはドイツの方でアメリカが勝ったのでは?」
 先生「カオル、どうした?今日は何だか変だぞ。いつものカオルらしくないな。どこか具合でも悪いのか?」
 カオル「いえ、そうじゃなくて・・・」
 先生「アメリカが負けたのは当然の事実だろう。こんなことは一般常識だぞ。しっかり覚えておけ。」
 カオルは今置かれている状況が理解できず、不安で一杯になってしまった。今までの常識がことごとく打ち破られてしまっているのだ。こうしてすべての授業が終わり帰る時間になった。カオルは一人教室に残り今までの出来事について考え始めた。今まで学んだことは何だったんだ。全て間違ったことだったというのか。あるいは自分が正しくて周りのみんなが変なのか。考えれば考えるほどわからなくなる。そうしていると校庭のほうで騒ぎ声が聞こえてはじめてきた。見ると先生や生徒そして自分の親までいるではないか。カオルはわけのわからぬまま外へ出てみんなのいる場所へ向かった。みんなカオルを見てニコニコ笑っている。カオルが恐る恐る近づいていくとみんな一声に”ハッピーバースデーカオル”とクラッカーと共に叫び出した。そう、今日はカオルの誕生日でありエープリルフールでもあった。