闘病日記


幼少の頃から、自分の体に異常があると「何か重い病気ではないか?」という強い不安にかられる性格で、エピソードとしては、小学校校学年の頃に裁縫の授業があり、先生から針を扱うときの注意事項としてこんな話がありました。「針を扱うときは注意してください!針が手などに刺さると、針の先が折れ、体内に入り血管を通じて最終的に心臓に達し死亡します」。先生は注意を心がけるように少し大げさに話をしたかもしれませんが、私は非常にびっくりし注意して針を扱っていましたが、ある日軽く針の先が指に刺さった事があり、その後すぐに保健室に駆け込み、保険の先生に指の先に針の先が刺さっていないか顕微鏡で見てくれと真剣に言ったことがあります。

他には、テレビで、脳腫瘍などの病気に侵される主人公の登場するドラマを見た後、少し頭痛がしただけで「俺は脳腫瘍ではないか?」という不安になったりと、常に自分が何かの病気に侵されているのではないかという不安を持っておりました。

上記のような不安を持ちながらも、中学校に進学し、サッカー部に所属し比較的明るく、少し不良の様な中学生活を送り、高校に進学。高校進学と同時にディスコに毎晩通い、女のこと戯れながら楽しい高校生活を送り、大学に進学。ここまではただ単に不安にかられる事がたまにあるというだけで、体の異常はありませんでした。

その後、彼女ができ、大学には通わず彼女と毎日遊ぶようになり、不摂生な生活を送っておりました。その生活を1年程続けたある日の事です。私は彼女と朝までディスコで遊びそのまま寝ずに海水浴に出かけた帰り、強烈な睡魔に襲われ車を止め、エアコンをつけたまま少し仮眠をとりました。それから1時間ほど経過した頃、呼吸がしづらくなり目が覚めて、自動販売機にジュースを買いに歩き出した時、「やっぱり苦しい、おかしいな?」と思い、大きく深呼吸をしたが余計に苦しくなり、「呼吸ができない!」と思ったときはもうすでに自分が呼吸困難で死ぬのではないかという不安に襲われパニックに陥ってしまったのです。その時はすぐに楽になりましたが、その後は「さっきのは何だったんだろう?最近あまり寝てなかったからかな?」程度に考えておりました。

その数日後、再び息苦しくなり病院に車で行く事にし、隣に彼女を乗せ病院に走り出しました。しかし息苦しさはひどくなり、病院まで残り50メートル位のところで手足がしびれて動けなくなり、彼女が慌てて病院まで走って看護婦さんを呼んできてくれ、そのまま心電図、エコー、レントゲンなどで調べたところ、異常は見られませんでした。私はそのまま入院し、診断の結果は急性胃炎、3日後に退院しました。

退院した後、私は「急性胃炎なはずはない!胃炎で呼吸が苦しくなるわけないじゃないか、あの病院はヤブ医者だ!」と思いこむようになり、私の病院めぐりが始まりました。いろいろな病院であらゆる検査を繰り返し、ある病院では24時間装着する心電図検査をしましたが、どれも異常なし。それでも私は医者の言う事が信用できませんでした。

解説1

この時点で嘘でも言いから「君は心臓に少し異常があるがこの薬を飲めば必ず治るから心配するな」と医者が言ってくれていれば私は不安から解消されその薬を飲み治っていただろうと今考えると思う。何故なら、私は色々な病院で検査を受けた結果、体のどこにも異常がないのが信用できなかったからだ。要するに人間の体の構造を把握していなかったのです。人間というものは体のどこにも異常がなくてもストレスなどで精神的に病んでくると体のどこかに異常をきたすのです。それを私は知らなかったので、「俺の病気は医者にもわからない重い病気なんだ!」と勝手に思いこみ不安を増幅していたのです。結果それが悪循環となったのです。医師の言う事を信用するという事は神経症を治すための最低限の事だと私は思います。


退院した後も、私は常に不安に襲われ、一人で車に乗ったりすると過呼吸になり、手足がしびれ、心臓が口から飛び出してくるのではないかというくらい鼓動が早くなり自分で救急車を呼ぶ事も何度かありました。しかし、救急車で病院に運ばれ先生が「大丈夫だから心配しなくてもいいよ!」と声をかけてくれるだけで治ってしまい、その1時間後には家に帰っていました。しかし、救急車を呼んだ時間が深夜だと先生も少し面倒くさがって、「君は一体何回来たら気が済むんだ!」と少し飽きれた怖い言い方をされるとなかなか治りませんでした。

解説2

救急車で病院に運ばれる私は、病院に到着するだけで安心していました。しかし、医師の方の喋り方、言い方一つで私の体調も左右されるのでした。これは何故かと言うと、優しく「大丈夫、心配するな。」といわれると、「この先生がいれば俺は大丈夫だ」と思い、不安もなくなり体調も落ち着くのです。しかし、怖い面倒くさそうに言われると「この先生は本当に私の事を助けてくれるのか?」という不安が重なり、余計に体調が悪くなるのです。要するに私のようなパニック障害の患者は自分が死ぬのではないかという不安に襲われているため、症状が出る訳ですから、その不安を取り除いてあげることが一番の対処法だと私は思います。。


その後私は、またいつ過呼吸になるかわからないので家から一歩も外に出ることができず、大学も休みがちになり、人と会うのも嫌になり家に閉じこもっていました。そんな生活を続ける内に少しづつ体調も良くなり、遊びに行く機会も増えました。しかしある日、美容院で雑誌を読んでいた時、その雑誌の中で私の症状に似た病気が最近多いという記事が載っており呼んでいたところ、「煙草を吸うと体内の毛細血管が収縮し鼓動が早くなる」と書いてあり、その瞬間過呼吸になり、急いで家に帰り横になりました。それ以来、煙草を吸う事ができなくなり、煙草をやめました。

解説3

上記のように、人間の体と言うものは、目、耳等から入ってくる情報で急激に不安になる事があります。私の場合は「煙草を吸うと毛細血管が収縮する」という情報を見ただけで、自分の心臓に手を当て鼓動を確認し、その鼓動が少しでも早いと思っただけで「うゎ!やばい」と思ってしまい、過呼吸になってしまったのです。要するに、思いこんだだけで実際に体に何らかの変化が生じてしまうのです。大事なのはパニックに陥ったときも自分自信で「心配するな、俺の体は健康なんだ、今は自分の思いこみで症状が出ているだけなんだ、大丈夫、落ち着け!絶対に死なないから、今までも死ななかったんだから大丈夫」と言い聞かす事が大事だと思います。私自信も過呼吸になりそうになったときはそうやって自分の心を落ち着かせていました。


その後、名古屋市内にある大きな大学病院の精神科に診察に行きました。私自身、今までは内科、外科などに通っていたので、今回の精神科には期待を持って診察に行く事ができました。名前を呼ばれ診察室に入るととても優しそうな先生が座って私の話を親切に聞いてくれました。私は自分の症状を事細かに話し、話し終わったときは少し気分が晴れるような感じがし、とても心地よかったのを覚えています。その日はデパス、ドグマチール、ソラナックスという3種類の薬をもらい帰りました。帰って早速その薬を飲むとなんとなく落ち着くような感じがし、その後数日飲み続けたところ、不安も解消されました。

解説4

この時、不安が解消された原因としては私自身の思いこみではないかと思います。まず、大きな病院である事、初めての精神科、優しい先生がじっくりと話を聞いてくれた、以上の理由から、私の心は安心し、「その先生が出してくれた薬だから良くなるだろう」と思いこんでいたのです。恐らくこの時出された薬の中身がただのたんぱく質のカタマリでも私の病状は良くなっていたのではないかと今考えると思います。


その後も薬を飲みつづけ、大学も中退し仕事を始めました。この時に思った事ですが、薬は朝、昼、晩の3回飲んでたのですが、飲むのを忘れていると体の異常は現れなかったのですが、「あっ、そういえば今日薬飲むのを忘れてた!」と気づくと急に体調が悪くなってきて、慌てて飲むと急激に良くなりました。その他には、旅行などに出かけた時に旅行先で薬を飲んだあと、残りの薬の数が足りないのに気づくとそれだけで不安になり、薬を飲んだ直後だというのに体調が悪くなる事もありました。私はそれだけ薬に依存していたのです。

解説5

薬に依存すると言う事を恐れ、薬をできるだけ飲まないようにする人が多いですが、それは悪循環で、私はもう10年程薬を飲み続けております。薬を飲んだと言う安心感が得られるからです。何かに依存してそれで気がまぎれるならそれに依存するのが一番よい方法だと思います。それになれた時に少しづつ依存しないようにしていけば良いのです。無理に止めようと思うとそれがストレスになるからです。


その後、約10年間薬を飲み続け、29歳になる現在も飲んでいますが何ら異常はありません。私は数年前にかかりつけの医師のに「俺の飲んでいる薬の中身を、もしくは内容を俺にわからないように問題のない薬に変えてください」と伝えました。その結果パッケージは今までとあまり変更はありませんが、全く違う薬を処方されていることに少し前に気づきましたが問題なく生活しております。何故かというとその薬がいつ変更されたかわかりませんが、少なくともその薬を飲んで 自分自身が安心できた事には変わりないので、仮にその薬の正体が風邪薬だろうが胃薬だろうが私にとっては安定剤なのです。でもまだその薬がなんの薬なのかは聞くのはやめておこうと思っております。何故かというと実際にその薬が全く関係のない薬だと聞くのと聞かないのとでは今の私自身の精神状態に多少の影響を及ぼすと思うからです。

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