脱ステロイド後の経過
僕のアトピーは、元々かなりひどいほうで(と、医者に言われていた)、生まれてから、アトピーがまったく消失した期間なんて記憶にない。子供の頃は、「大人になったら、直るよ」って言われて育ってきたけど、こんなにいっつもからだの一部のように痒いのに、そう簡単になくなるわけがない、と子供心に思っていたのを覚えている。だから、ステロイドを使うのは、しょうがないことで、ハッキリ言って脱ステにはまったく興味を持ってなかった。だって、昔はステロイドをあまりつかってなくて、最悪の状態だったのをなんとなく覚えてるから、そんな状態よりは、ステロイドを使ってでも抑えたほうが合理的だと思っていたから。確かに副作用はあるかもしれないけど、それ以上のメリットがあれば、使ったほうがいいでしょ?
しかし、この考え方を変える情報が入るようになった。ステロイドをやめたら、ステロイドを使っていた頃より、明らかに皮膚の状態が改善したという人の話を何件か聞くようになった。それは、インターネットでの情報もあるし、クラスメートからのアドバイスであったりしたけど、そういう話を聞くにつれ、一回くらいは試してみる価値はあるのでは?と思い出した。また、ちょうどそのころ、自分の皮膚がフツウの状態よりかなり萎縮している事に気づいた。萎縮によって、皮膚が弱くなっていて、少し掻いただけでも傷がつくようになってしまったのだ。傷がつくと、ちょっとの刺激でも痒く感じるようになるから、悪循環に陥っているように思えたのも、脱ステしてもいい理由の一つであった。
脱ステを敢行したのは2000年4月7日だった。脱ステの時期は、いつにしようか、ホント迷った。やはり脱ステすると、日常生活に支障がでると聞くので、できたらなにもしなくてもいい時間をつくるのが理想だとは思ったけど、なかなかそんな時間は作れない。脱ステしようかな、と思い始めたのが、6年になってからだから、それが遅すぎたといってしまえばそれまでだけど、6年の後半から卒業試験もあるし、春には国家試験もあるしで、くぎりのいい時がみつけられなかった。結局、ズルズル先延ばしにして、去年の夏にようやく決めた。とりあえず卒業はして、1年間脱ステ用にあけて、働く前に脱ステしよう、と。
卒業式の後、卒業旅行も行ったから、その後ようやく念願の(?)脱ステ。家でやると、もしヘルペスとかかかったら自分ひとりではコワイので、Y病院に入院して脱ステることにした。これはちゃんと、2月頃に病院に行って、4月7日から入院します、って前もっていっておいた。せっかく一年間猶予を設けてまで脱ステするんだから、入院待ちなんて無駄な状態を避けたかったからね。
4月7日の朝、最後のステロイドを塗って、病院へ。でも実は、あまりにもひどくなったら困るから、と思って、今まで使っていたステロイドとプロトピックをもっていった。結局入院中は使う機会はなかったけど。
この病院では、規則正しい生活をして(間食は禁止)、なるべく病室にいないことくらいしか、いわれない。あとは、保湿剤や飲み薬も自分にあったものを使うように言われて、これをしろ、あれをしろと、強要されることがない。患者が(医者や薬に頼らず)自分でアトピーと向き合うように、というのが方針のようだ。はじめは正直、拍子抜けしたけど、自己管理する癖がつくなら、なかなかよかった。
脱ステ後は、はじめの2日くらいは、そんなに変化なく過ぎていった。いままでは、必ず朝・晩と、ステロイド塗っていたので、塗らないのはかなりの勇気が必要だったけど、急に悪化する、というわけではなかった。
しかし、3日・4日とたつと、坂道を転げ落ちるように悪化してくる。まずは、乾燥して、ピキピキに。部位は、顔・首・わきの下、と上半身優位。そして、腹・腕は、赤い発疹のようなものがでてきた。少し掻くだけで、ミミズ腫れのようにその部位が赤くなる。すごい被刺激性の亢進だ。赤い部位は、日がたつにつれて、乾燥していった。
さらに、脱ステ6日目には、39度の熱がでてしまった。昼間に友達と万博公園に花見に行ったんだけど、薄着で行ったせいか、風邪を引いてしまったようだ。病院に帰った時点で39度あった。細菌感染があったらいけないから、翌日に念のため血液検査を。結果は、シロだったからほっとした。熱は、約2日間続いたんだけど、今回の脱ステにこの風邪が役に立った。というのは、高熱が出ているときは、不思議とアトピーでは全然しんどくないのだ。痒くないし、だるい感じも軽減していた。さらに、高熱が出ているのにそのわりにしんどくない。この熱から回復したときには、脱ステによる皮膚炎も、峠をこしていた。
熱で寝込んでから後は、徐々に徐々にではあるけど皮膚の状態が回復していった。はじめは、乾燥してがびがびになっていたところが、2・3日かけて、まるで脱皮のように表面がめくれてきて、下からきれいな、ちゃんと油分を分泌してくれる肌がでてきた。首やわきの下など上半身にこの現象が顕著だった。前腕や下半身ははじめひどくなかったけど、日がたつにつれて徐々に出てきた。といっても、表面がかさかさするくらいだけど(フツウのアトピー程度)。あとは、徐々に回復してくる。
脱ステ後20日たつともう退院してもいいだろうと思えるくらい回復してきた。体は元気だから、入院しているとひまでひまで時間を無駄使いしているような気がしてくる。昼間は本とか読んだり、ゲームをしたりしてたけど、そういうことして時間をつぶすのにも限度がある。だから、早く退院したかった。で、このまま退院してもよかったんだけど、退院後アトピーが悪化するひとが多いときくから、ためしに外泊を二泊して、大丈夫そうだったから、5月1日に退院。僕は勝手に三ヶ月くらいかかると思っていたから、予想よりもかなり早い。
退院してからは、実家に帰ったり、その後友達がとまりにきたり、のみに行ったりして、いきなり忙しい生活になる。それでも、肌は悪化しなかった。生活が落ち着いた5月中旬くらいから、バイトを探し始める。実家に帰ることも考えたけど、どうせ今年一年は何もやることがないんだから、バイトして生計を稼ごうと思ったのだ。なかなかバイトが決まらなかった。接客の仕事をしたいと思って探してたけど(やったことなかったから)、全然決まらん。電話をかけて、面接に行くけど、半分くらいは、むこうが全く取る気なさそうにしてるようにも見える。さすがに、ここまで決まらないと、何か原因があるんかな、と思って友達とかに聞いてみると、アトピーで手が荒れてたりするからちゃう?っていわれる。むむ。食べ物関係ばっかり受けてたから、確かにそうかもしれん。幸運にも今まではアトピーでいろいろ言われたことなかったけど、まさかこういう言う形でもかかわらないといけないとは…落ち込んだりもしたけど、気を取り直してまたいろいろ受けてみる。そしたら、6月に入って、ようやく決まる。面接を結局10個くらい受けた。バイトは、一日4時間だけ(はじめは)。けど、肌は、ちょっとだけ悪化したような気がする。これから、いろいろと調整法を見つけていかないと。
もうこの頃になると、自分が今脱ステしてるってことを意識しなくなってきた。肌の状態も最悪のときに比べるとだいぶよくなってきて、ほとんどステロイドを使っていたときと同じくらいになったから。
バイトは、始めは時間が少なかったけれど、慣れてくるとともに次第に多くなっていく。7月の終わり頃には、週40時間くらいまで増えてしまった。ちなみに、働く時間は、朝6時から昼2時まで、または、朝6時から10時まで。5:25には家を出るようにしてたから、起きるのは4:45.睡眠時間は、9時間をキープしたかったから、夜は7時から8時には寝るようにしていた。こんなに早寝早起きをしたの初めてで、はじめはどうなることかと思ったけれど、このリズムに慣れたら、別に苦にはならなかった。それどころか、規則正しい生活になったから、アトピーにとっては好ましかったんじゃないだろうか?自分では、よくわからないけど。あと、もうひとつこのバイトの利点がある。それは、けっこう体を動かすから、運動になること。おかげで、このバイトをしているときは、体が軽かった(働きすぎて、疲れているとき以外は)。ただ、ひとつイヤだったのが、もし友達と飲みに行くとき、どうしても他の人より早く眠くなってしまうこと。さらに、翌日バイトがあるときには、十分な睡眠時間を確保するために、どうしても誘いを断らざるをえなかったことが何度かあったのも、イヤだった。
この生活を、9月まで続けた。9月までは、そんなに肌の状態の悪化・回復というのは、なかったように思う。もちろん、疲れたら、悪化してきて、十分休めるときは、少しずつ回復する、っていうリズムはあったけれど、それもある一定の範囲内を逸脱することなく、よくなってもある程度までしかよくならないし、悪化しても、どうしようもないほど悪化する、ということはなかった。この頃使用していた薬は、亜鉛華軟膏と、このまま悪化させておくとまずいな、と思ったらプロトピックを使っていた。プロトピックは、顔と手(接客の仕事だから)にも朝・晩の一日2回使っていた。だいたい一ヶ月で10g程度(2本)。
9月になったら、もっと割のいいバイトをするようになった。しばらく、両方ともやっていたけれど、10月に入ってから、以前から続けていたほうを辞めてしまった。忙しくなって、肌の状態が悪化するから。片方バイトを止めて、少しは楽になったけれど、新しく始めてた方が、平均週4日ほど入って、けっこう忙しくなってきたから、また今までと同じ状態のまま続いた。
そして、11月も終わりになって、新しく始めたバイトもなくなった(季節モノだから)。まだ、バイトしなくなってから一週間もたたないから、これからどうなるかわからないけれど、今のうちにまたアトピーの治療方法を自分なりに確立していこうと思う。