バイアグラ

● バイアグラ

 ■□症状と治療■□

インポテンスは青天のへきれきではなく、何らかの原因による症状である。
不安なのどの精神的な問題で起こることもあるが、動脈硬化や高血圧症な
ど、ペニスの動脈に障害を与える身体的な問題が原因していることのほうが
多い。膝の関節炎が痛むときにアスピリンを飲むと、関節炎が治ったわけで
はないのに痛みが和らぐが、バイアグラも、原因である精神的あるいは身体的
な問題には効果がないがインポテンスには効く。バイアグラが効くのは、ペニス
の動脈に対して強力な血管拡張剤として作用するからだ。
 ペニスの動脈に刺激信号を伝える神経さえ機能していれば、バイアグラが刺激
のメッセージを増幅し、ペニスに流れ込む血液の為に水門を開ける。
ペニスの動脈を拡張して、勃起に必要な大量の血液がどっと流れ込めるように
するのだ。

 ■□勃起の要素■□

勃起の必要条件は、テストステロン(精巣で作られる、性欲に関与するホルモン)
が適切に供給されていることと、性的刺激(これは、性的な夢想からペニスへの
刺激まで幅広い)があることだ。だが、十分な勃起とその維持には、ペニスの
神経、血管、筋肉の三者の協調が必要である。勃起不全の症例のほとんどは
これらのいずれか、あるいは3つ以上に問題がある。
男性が性的刺激を受けて興奮すると、その信号が神経をとおしてペニスに到着
する。信号は一連の科学的な伝達物質によって伝えられ、ペニスの動脈を拡張
して血液が大量に流れ込めるようにする。ペニスの海綿体は、水を含んだスポン
ジのように、流入した動脈血で満たされる。それと同時に膨らんだ海綿体が静脈
を圧迫して、血液が外に逃げるのを防ぐ。
 筋書きどおりにころが運べば、ペニスは通常の8倍の血液が充満して勃起し
しばらくその状態が保たれる。だが、勃起不全の男性の場合は、ペニスを刺激
する神経や筋肉、血液の供給、あるいは精神面などに問題があるため
硬い勃起やその持続が困難、あるいは不可能になっている。

 ■□インポテンスの原因■□

インポテンスの割合は加齢とともに増加するので、年をとること自体が原因
だとみなされることがある。だが実際は、高齢者にインポテンスが多いのは
インポテンスの原因となる病状が多いことによる。こうした病状のうちもっとも
一般的なのがアテローム性動脈硬化、糖尿病、前立腺がんである。
 また、高齢者は一般にさまざまな薬を処方されており、その多くは副作用の
一つとしてインポテンスを起こす可能性をもっている。
老化現象も、勃起やその維持を損なう原因になりうる。歳をとると血液の循環
がやや遅くなり、テストステロンの生産量が減少し、神経の感受性も海綿体の
柔軟性もひくなるからだ。
 これらの変化によって勃起が困難になったり頻度が減ったりする場合がある。
だが、こうした「自然な」変化が本当の勃起不全を引き起こすことはまれで
全身的に健康な人であれば80歳代あるいはそれ以上になっても、充足した
性生活を送ることができる。これらを含め、インポテンスの原因になるものを
以下にあげる。

★ アテローム性動脈硬化
 もっとも一般的な原因で、中年以降に多い。動脈硬化といえば心臓発作や
脳卒中の主原因だが、これがペニスの動脈に生じると、勃起に必要な大量の
血液を送り込むことが出来なくなる。
 動脈硬化は高脂肪食や高血圧、運動不足、喫煙などによって起こることが
多い。脂肪分の多い食生活をしていると、動脈壁の内側にコレステロールが
溜まりやすく、血管が詰まりやすくなる。喫煙は動脈硬化の大きな原因で
したがってインポテンスの原因にもなる。あるインポテンス専門の医療機関の
調査によれば、患者の39%は血管性インポテンスでその97%は喫煙者だ。

★ 高血圧症
 高血圧は動脈硬化の原因になるだけでなく、インポテンスの直接の原因
にもなる。高血圧症を何年にも治療せずに放置すると、動脈が障害されて
柔軟さを失い、血液輸送の効果が低くなる。

★ 薬
 インポテンスの原因の四分の一は薬が関係しているといわれている。
アメリカでは処方箋の大半が高齢者に投与されており、したがってこの問題
は高齢者にとくに多い。インポテンスは、降圧剤の一般的な副作用の一つに
あげられている。また抗うつ薬や抗ヒスタミン薬、抗精神病薬、精神安定剤
抗癌剤など、循環器系や神経系に影響をおよぼす薬にも、インポテンスを
起こすものが多い。薬によるインポテンスは、インポテンスの中で最も対処
し易いと考えられている。薬の量を減らして、薬効を維持しながらインポテンス
にならない量がみつかる場合もある。また特に降圧剤の場合は、性的能力に
影響を与えない種類の薬を見つけることが可能である。

★ 糖尿病
 糖尿病も高齢者に多い傾向がある。糖尿病は二つの経路からインポテンス
を起こす潜在力をもっている。ペニスを刺激する神経とペニスの動脈の両方
にダメージを与えるのだ。糖尿病の男性患者のうち三分の一から二分の一が
何らかの性的な障害をもっているとされている。

★ 精神的な問題
 インポテンスはうつ病患者によくみられる。このほか、親の死や失業など
ストレスの大きい出来事によっても心因性インポテンスが起こる。だが最も
多いのは、性的能力に対する不安によるものだと考えられている。
性的不能に対するおちいったりする。こうしたストレスや不安のために、脳
からペニスの筋肉や動脈を収縮させる科学物質が出ると、勃起が起こらなく
なる。しかも失敗したことでさらに不安が高まるという悪循環が生じる。

 ■□もっと硬くなるか■□

薬なしで100%硬くなる人がバイアグラを飲んでも110%にはならない。
だがもともとが90%なら、おそらく100%に近くなるだろう。硬さは感じ方
と好みの問題だ。ある人が満足する硬さでも、別の人は落胆を感じるという
こともあるだろう。どんな理由からにせよ、もっと硬くしたいという人には
バイアグラが役に立つかもしれない。バイアグラを飲んでいると、二度目
あるいは三度目の勃起が、飲んでいない場合よりも硬くなるらしい。もっと
具体的にいうと、バイアグラをのむと最初の勃起と持続にも効き目があるが
一番大きく変わるのは、二度目あるいは三度目の硬さなのだ。
一晩に三度射精するのが普通だという人がいるかと思えば、一年間でも
そんなにしないという人もいる。一晩に三度が習慣になっていた人がそうでき
なくなった場合、それを改善するにはバイアグラがピッタリだ。

 ■□オーガズムは強くなるか■□

 バイアグラは射精ではなく勃起に作用する薬だ。
勃起と射精は前後して起こるので一緒にされがちだが、それぞれ交感神経
と副交感神経というまったくちがう神経系にしはいされている。
バイアグラで勃起の硬さが増すことで射精が強くなるかもしれないが、それは
間接的な作用だ。射精が強くなることがあるのは、バイアグラの作用でペニス
内の血液量が増加して、筋肉がより強く収縮するからだ。そのために、量が
多く勢いのよい射精になることがある。勃起が硬いほうがオーガズムや射精の
快楽が増えるのはことためだと考えられている。

 ■□勃起と射精の回数が増える■□

 一度射精をすると、次の射精までしばらくまたなくてはならない。
この射精と次の射精の感覚を「不応期」という。不応期は一般的に加齢とと
もに長くなる。十代や二十代の頃に一晩に四回以上も射精した好ましい思い出
をもっている人なら、不応期が短く、比較的短時間のうちにいろいろな行為がで
きるありがたさをしっているだろう。年をとっても射精の喜びは若い頃と変わらない
だろうが、昔のようになんどもすることはできない。二十代のときに三十分だった
不応期が四十代になって三時間になれば、一晩にする射精の回数はおのずと
制限される。あまり知られていないこどだが、バイアグラを服用した人のなかに
不応期が短くなったと報告している人たちがいる。普段は一晩に一度だった人
が、バイアグラを服用していた期間には、刺激さえあれば二度あるいは三度も
勃起し射精したことが時々あったという。だがバイアグラが不応期に影響を与える
活動時間帯には制限がある。バイアグラの作用時間はばらつきがあるが
平均的には四時間である。もし、不応期が十五時間だったら、バイアグラは不応期
に影響を与える前に分解されて体外に出てしまう。だが、普段の不応期が五時間
だったら、バイアグラの作用でそれが一、二時間ほど短縮される可能性がある。

 ■□早漏に有効か■□

 バイアグラは不応期を短くする潜在力をもっているので、とくに早漏で悩んでいる
人に役立つ可能性がある。これはバイアグラが早漏そのものに影響を与えるからで
はなく、影響を与えないからである。ちょっとややこしいが、これから説明する。
早漏は勃起不全よりもよくある問題で、勃起をしたあとの射精が早すぎることをいう。
挿入する前に、あるいは二、三度動かしただけで射精してしまうこともある。
射精をすると勃起は失われる。だが、二度目に勃起したときはペニスが「鈍感」に
なっているので、一度目よりも長い間勃起を持続できる。これは本人にとっても
パートナーにとってもいいことだ。バイアグラな勃起を持続する。だがこれは、射精の
前に柔らかくなるのを防ぐ作用である。勃起と射精は別々の現象であり、バイアグラに
は射精をコントロールする作用はない。だが、不応期を短くすることで、間接的に早漏
の人に役立つ可能性はある。
ある患者は挿入すると直ぐに射精し、不応期が三時間あるので、二度目の勃起をする
前に眠ってしまう。バイアグラを処方すると不応期が二時間に短縮された。二時間な
ら起きていられるし、最近はオーガスムも感じるので、二度目のときはペニスが鈍感に
なって十五分から二十分くらいもつそうだ。彼は満足している。

 ■□バイアグラに出来ないこと■□

 バイアグラは勃起を得る助けにはなるが、バイアグラを使い始める前の勃起よりも
ペニスが太くなったり長くなったりはしない。バイアグラは、性的刺激にはならないし
性的興奮をおこすこともない。しれは本人たちがしなくてはならない。バイアグラは
刺激にたいして十分に反応することを助けるのだ。バイアグラ性的な持久力を増加
させることはない。バイアグラは、勃起を起こすことと、本人やパートナーに性的な
喜びをもたらすのに十分な時間それを維持することを助けるが、自分の力で勃起
とその維持ができる人の場合はそれ以上ながくすることはできない。

 ■□女性にも効果を発揮するのか?■□

 体の仕組みから考えて、男性に有効な薬が女性にも効果を発揮するのは理にかな
っている。性的興奮の最中にあるとき、男女とも性器周辺に血液が充満する。
そして男性なら勃起、女性ならクリトリスの充血と膣の湿潤が起こる。
女性も年をとるにつれて、糖尿病や動脈硬化など男性にインポテンスを起こす
慢性的な病気がでやすくなる。これらの病気があると性器に血液が流入しにくくなる
ので、性交時の痛み、膣の乾燥、オーガスムが得られないなどの困った問題が出てく
る。女性の性的な問題(特に性欲の減退)はむしろ男性より多く見られ、男女とも加齢
とともに問題を抱える人の数が多くなっている。
 バイアグラがペニスの血流量を増やすように膣周辺の血液量も増やすとすれば
男性の勃起に有効であると同時に、血流不足による女性の症状にも効果があると考え
られる。