●更年期障害とは
女性が、加齢に伴う性機能の衰退によって、性成熟期を迎えます。
この時期を、一般に更年期と呼んでいるので、ここでも一様その用語を使いますが
更年期は全ての女性に訪れるものの、その訪れ方は実に様々です。
思春期の訪れも、かなりの個人差があります。
お乳のふくらみが早く始まるもの、性毛が早く生えるもの、そして月経の発来もずいぶ
んと個人差があります。その後も、月経が順調にくるもの、不順なもの、様々です。
性成熟期に入っても、結婚するもの、しないもの、妊娠、分娩の経験のあるもの
ないもの、流産や中絶の経験のあるもの、ないもの、子宮に筋腫のあるもの、卵巣に
腫瘍のあるもの、実にバラエティーに富んだ女性の生活史がそこにはあります。
そういった歴史のなかで、女性は更年期を迎えます。夫のいるもの、いないもの
職業のあるもの、ないもの、子供のいるもの、いないものなど、様々な環境のなかで
更年期を迎えます。当然、更年期の現れ方も十人十色であるに違いありません。
更年期に見られる各種の心や体の異常は、実に多彩ですが、それを自覚し、つらい
と感じ、受診し、治療を受けるほどのものを、更年期障害と従来呼んでいます。
この時期に見られる、様々な心や体の失調を、更年期失調、程度の強いものを
更年期症候群と呼ぶことが提唱されています。
更年期障害または、更年期症候群と呼んだほうがよいと思われる症状は
@ 血管運動神経の異常
A 精神神経の異常
B 知覚異常
C 運動器官の異常
D 皮膚分泌系の異常
E 泌尿器系の異常
F 消化器系の異常
以上のような症状が認められます。その症状が現れる頻度は年代によって多少の
違いがありますが、その主なものは、
1) 肩こり 11) イライラ
2) 頭痛 12) めまい
3) 倦怠感 13) 発汗
4) 腰痛 14) 関節痛
5) 顔面のほてり 15) 便秘
6) 動悸 16) 不眠
7) 冷え性 17) 口内乾燥感
8) 記憶力減退 18) 耳鳴り
9) 皮膚の知覚異常 19) 憂うつ
10) 頻尿
など、実に多岐にわたっています。
これらの症状を訴える人の率は、年齢とともに変化しています。
40代半ばでは2/3が症状を訴え、40代後半では88.5%のかたが、なんらかの症状
を訴えています。最高は、50代後半の90.9%で、実に10人中9人がなんらかの症状
を自覚していることになります。
しかし、医師受診にまでに至ったものは、40代前半で18.6%と低く、後半で32.1%
と約3人に1人、50代に入ると前半が40.2%、後半が45.5%と約2人に1人が受診し
ているという割合です。症状はあるが、障害というまでは自覚せずにすんだかたが約半数
あり、なんとも感じなかったが、50代後半でも9.1%はあったということです。
こういった更年期の症候群は、加齢の結果、視床下部−下垂体−卵巣系のホルモンの
失調とともに見られる、自律神経系の失調によって引き起こされたと考えられますが、その
症状の出方には、個人差があります。ホルモンの変化も非常に徐々におこったために
気付かない人もあるでしょうし、その反対に、チョットしたことで、もともと自律神経系のバラン
スの崩れやすい人もいるでしょう。さらに、環境、性格などの違いが、これを増強することもあ
るでしょう。こころの葛藤が誘因となって起こる不定愁訴も、これに似た症状を呈することもあ
りますし、その両者がお互いに影響し合うことも考えられます。
更年期の症候群の治療を考えるとき、目先の症状だけにとらわれるのではなく、何が原因
か、何が症状を増強させている因子から、十分見極めなくてはなりません。 |