セックス

● セックスもイヤになる

更年期症状で顕著なのは、セックスへの興味や性的能力の低下だ。
大阪に住むAさんもその一人だ。

「仕事がイヤ気がさし、会社をさぼるようになったころには、全くといっていいほど
性欲はありませんでした。妻はもとより、女性にたいしてもです。」

 くわしく聞いてみると、娘さんがお嫁に行ってしまったここ1年くらいのうちに
月1回ペースの性行為が次第に途切れがちになり、まったく無くなってしまった
という。「妻も、体調が芳しくないということで、ベッドを拒否するようになっていま
した。家庭内別居です。ええ、勃起もしなくなりました。」

 熟年夫婦の間で性生活が希薄になり、あるいは途絶えてしまうケースは枚挙に
いとまがない。どちらが悪いということではなく、原因は双方にあって、あっさりと
「その気にならなくなってしまった」「セックスがイヤになった」といっても、原因を
究明していけば、そこには互いの(あるいはどちらかの)更年期の訪れがあるこ
とは間違いない。後談だが、Aさんの奥さんも更年期障害だった。

 このように、夫と妻どちらにも更年期の症状がいくつかあるために、親密な会話
や性行為はもとより、日常のコミュニケーションにいたるまで途絶えがちになり夫
も妻も、相手への不信感にさいなまれることになる。それらの顕著な症状が
倦怠感・抑うつ・リビドーの減少などにあらわれる。

 リビドーとは、フロイトの唱えた精神分析用語からきているが、口唇や性器など
の性感帯を刺激する性欲・性衝動のこと。人は幼児期からリビドーを感じ、それは
大脳の遺伝子に組み込まれている生殖本能である。

各人のリビドーの持ち方は、成長するにしたがって、また人生経験や社会的要因
などの影響によって異なるが、基本的にリビドーは、脳の視床下部の命令で卵巣
や精巣から分泌される「ホルモン」に支配されているのだ。

 つまり、女性ホルモンのエストロゲン、男性ホルモンのテストステロが低下すると
リビドーも消退していくのである。通常、男性は女性の20倍のテストステロン
レベルを持っていて、その分男の方がリビドー、つまり性衝動は強いと言われる。

しかしいつの世でも男女互いに満足のいくリビドーのレベルに達しているのが
普通である。一方、それ以前の段階でさまざまなトラブル(例えばセクシャルハラス
メントなど)が生ずるのは、男女お互いのホルモン・レベルがアンバランスになるか
らだ。

 そして、そのホルモンレベルのアンバランスの最たるものこそ、更年期だ。