パーキンソン病関連ニュース
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◆ 2001.1.16 ファルマシア、パーキンソン病に関するホームページを開設

 ファルマシア社は1月15日、パーキンソン病に関するホームページを開設したと発表した。メニューは、パーキンソン病患者とその家族向けページと医療関係者向けページから構成されている。患者とその家族向けページでは、パーキンソン病の原因、症状、診断に関する解説のほか、薬物療法や食事・生活療法などを含めた治療方法について説明している。また、パーキンソン病に関してよく聞かれる質問に対するQ&A集や「パーキンソン病よろず相談」という相談コーナーも設けいている。

 一方、医療関係者向けページでは、パーキンソン病の基礎や臨床の最新トピックスや、画像情報、関連学会情報など幅広い内容を掲載している。なお、医療関係者向けページにアクセスする際には、ユーザー登録が必要となる。

 同ホームページのアドレスは、http://www.parkinson.gr.jp/。

 また、眼の病気に関するホームページ「EYE-NET」も2000年11月から開設している。パーキンソン病のホームページ同様、一般向けと医療関係者向けに分けて情報を提供している。このホームページのアドレスは、http://www.pharmacia.co.jp/eye/。


パーキンソン病の仕組みを解明


(田中啓二部長・分子腫瘍学研究部門)
田中部長らの研究グループは順天堂大学の水野美邦教授らと共同で遺伝性難病である
家族性パーキンソン病の発症メカニズムを解明した。

今回、遺伝性パーキンソン病一つ「常染色体劣性若年性パーキンソニズム」の発症に
関わる遺伝子が作る酵素「パーキン」が働かないと、生体内の余分なたんぱく質が正
常に分解されず、神経伝達物質ドーパミンを産生する黒質神経細胞が死滅し、パーキ
ンソン病になることを突き詰めた。この成果は27日発行の「ネイチャー・ジェネティ
クス」に掲載された。

研究の背景と概要

パーキンソン病は神経伝達物質ドーパミンを産生する黒質神経細胞が特異的
に変性・脱落(細胞死)することによって,振戦,固縮,動作緩慢,姿勢反射障害等
の臨床症状を呈する神経変性疾患である.本邦における有病率は約1000人に1人(65
歳以上の高齢者では1〜2%)といわれており,アルツハイマー病に次いで多発する難
治性の神経病である.パーキンソン病は家族性と弧発型の二種に大別されるが,いず
れもその発症メカニズムは不明であり,これらの原因究明,予防および治療方法の確
立は,社会的に大きく要請されている.1998年,順天堂大学医学部脳神経内科・水野
美邦教授と慶應義塾大学医学部分子生物学・清水信義教授のグループは,ポジッショ
ナルクローニング法により,代表的な家族性パーキンソン病である常染色体劣性遺伝
性若年性パーキンソニズム(AR-JP)の原因遺伝子を発見し,"parkin"と名付けた.
しかし,その遺伝子産物であるパーキンの機能は全く不明であった.

 今回,我々はパーキンの機能解析に世界ではじめて成功し,パーキンがユビ
キチンリガーゼという蛋白質分解に関与係する酵素であることを突き止めた.ユビキ
チンは,細胞内の蛋白質が破壊されるときにその標的蛋白質に選択的に結合して分解
シグナルを点灯する分子で,このユビキチンによって修飾された蛋白質は,プロテア
ソームという細胞内蛋白質分解酵素によって処理される.そして,ユビキチンリガー
ゼはユビキチンを標的蛋白質に連結させる反応を触媒することから,細胞内における
選択的な蛋白質分解において最も重要な酵素と考えられている.今回の研究では,調
べた限り全てのAR-JP患者にみられる変異型パーキンがこの機能を完全に喪失してい
ることも見いだした.このことは,AR-JPの発症原因の本態を突き止めた事を意味し
ている。この研究成果は,これまで手掛かりのなかったパーキンソン病の治療法確立
への道を開く画期的なものと考えられる.またこの結果は,神経変性疾患が蛋白質の
品質管理機構の異常によって発生することをはじめて解明したことになり、今後、ユ
ビキチン化蛋白質の異常蓄積が恒常的に観察されるアルツハイマー病やハンチントン
舞踏病など他の神経変性疾患の研究にも多大な影響を与えることが予想され,その波
及効果は計り知れないと思われる。


「パーキンソン病の原因は残留農薬の可能性」 米研究グループが報告


アトランタ(CNN)  アルツハイマー病に次ぐ神経系の難病として知られる
パーキンソン病は、農薬が原因で起きる可能性があることが、米国内の研究グループ
による実験で明らかになった。一部の農薬に使われるロテノンという有機物を、マウ
スに少量ずつ注入し続けたところ、半数がパーキンソン様の症状を呈するようになっ
たという。

この研究は、ジョージア州アトランタにあるエモリー大学のティム・グリーナマ
イヤ博士らが実施。神経医学専門誌「ネイチャー・ニューロサイエンス」の最新号に
結果が発表された。実験では、マウスの体に小型のポンプを埋め込み、頚動脈を通し
てロテノンという有機物を少量ずつ、最長5週間にわたって注入し続けた。ロテノン
は、熱帯植物の実の抽出液から作られ、農作物の殺虫剤として使われる。これまでの
研究で、細胞中のミトコンドリアに影響を及ぼすことがわかっている。

この実験の結果、マウスのうち半数で、動作が緩慢になり筋肉が硬化するなど、
パーキンソン患者に似た症状が見られた。一部では、マウスには珍しい「震え」の症
状も見られた。症状のあるマウスの脳を調べた結果、神経の働きをつかさどるドーパ
ミン・ホルモンを作り出す細胞が死んだり、損傷を受けたりしていることがわかっ
た。パーキンソン病の患者は、ドーパミンの分泌が著しく低下することが知られてい
る。「総合的に見て、これはパーキンソン病の症状と同じだ」と、グリーナマイヤ博
士らは結論付けている。

グリーナマイヤ博士は、「ロテノンがパーキンソン病の原因物質として特定され
たわけではないが、これと同じような働きを持ち、ミトコンドリアに同様の害を与え
る物質が、パーキンソン病を引き起こす主要な原因となっている可能性は高い」と語
る。

ただ、実験ではポンプを使ってマウスにロテノンを注入したのに対し、人間がロ
テノンを摂取するのは、野菜の残留農薬として口から摂取した場合など。実際の生活
でロテノンが人体に同じ影響を及ぼすかどうかについては、今後の研究を待つ必要が
ある。

パーキンソン病は、神経系の難病としてはアルツハイマー病に次いで多く、患者
数は全米で100万人を超える。65才以上の米国人の約1%が、パーキンソン病に
かかっているとされる。遺伝性と見られる症例をのぞいて、農薬や産業廃棄物、たば
この煙など、有害物質との長期間にわたる接触が発病につながるという説が有力と
なっている。


カフェインがパーキンソン病を予防? 米国医師会


アトランタ(CNN) 米国の研究グループがこのほど、カフェインがパーキン
ソン病の予防に有効だとする研究結果を、米国医師会(AMA)の学会誌に発表し
た。

論文を発表した研究グループは、日系米国人男性8000人余りを30年以上にわ
たって追跡調査した結果、コーヒーを1日3杯以上飲む人がパーキンソン病にかかる
確率は、コーヒーを飲まない人の5分の1だったと報告している。

パーキンソン病は、脳内ホルモンのドーパミンを生成する脳細胞を徐々に破壊し
ていく。それによって神経中枢を侵されるため、患者は身体が小刻みに震えたり、動
作のコントロールができなくなる。症状が重いと、痴呆症をひきおこす場合もある。

米国ではパーキンソン病患者は約100万人いると言われている。ジャネット・リノ
司法長官や、俳優のマイケル・J・フォックスさん、元ボクシング世界チャンピオン
のモハメド・アリさんも、パーキンソン病にかかっている。

科学的にはまだ実証されていないが、発表された研究報告によると、コーヒーに
含まれるカフェインに脳細胞を保護する作用があるのではないかと見られている。

神経科のティム・グリーナマイヤ医師は、「たとえばグルタミンが伝達物質とし
て作用する場合、脳のレセプターに届いたときの状態によっては脳の神経細胞を破壊
してしまうことがある。よって、そういう伝達物質の分泌を抑制できれば、脳を保護
することになる。その抑制作用がカフェインにあるのかもしれない」と説明する。

そもそもパーキンソン病の原因はまだ医学的に解明されていない。神経科の専門
医でこの研究チームの責任者でもあるG・ウエブスター・ロス医師は、コーヒーをた
くさん飲む人に特有の脳の組成が、パーキンソン病を防いでいるのではと考えてい
る。

他の研究者たちは、遺伝的な特徴や生活環境に存在する有毒物質への過敏性な
ど、そうした複合的な個人差がパーキンソン病発生率の違いになっているのではない
かと指摘する。グリーナマイヤ医師は、カフェインを効率よく分解して新陳代謝でき
る人は同様に、パーキンソン病をひきおこす原因とみられる毒素をも、効率よく分解
するのではないかとみている。新陳代謝の効率がいい人ほど、パーキンソン病にかか
る確率は低いはず、と同医師は言う。

ロス医師ら研究グループの報告は、喫煙などパーキンソン病発生の原因となりう
る他の要因も考慮しているが、まだカフェインそのものをパーキンソン病の予防薬と
して処方するには時期尚早だと、多くの医療関係者が指摘する。ただし、パーキンソ
ン病に侵される脳細胞に、カフェインがどう作用するのか、さらに研究を続ける価値
はあると、今回の報告は注目を集めている。


遺伝子治療にサルで成功 自治医大G[毎日新聞1月13日]


 遺伝子治療によって、手足が震えたり、体が硬直して動かなくなったりするパーキンソン病の症状を大幅に改善させることに、自治医大や国立感染症研究所筑波霊長類センターなどの研究グループが、サルを使った動物実験で成功した。この病気の主な治療法は投薬だが、投薬期間が長くなると効果が薄れるうえ、幻覚などの副作用が出ることがある。米国では中絶胎児の脳細胞を患者に移植する治療も行われているが、倫理的な問題が指摘されている。研究グループは、遺伝子治療ならこれらの問題を克服できるとしている。

 パーキンソン病は、神経伝達物質のドーパミンの量が減って、神経間にうまく信号が送られなくなることで起きる。日本では2000〜1000人に1人の患者がいるとみられている。

 研究グループは、麻薬に似た薬物をカニクイザル3頭に投与して、パーキンソン病の症状を起こさせた。その後、ドーパミンの生成に関係する3種類の酵素の遺伝子を、病原性のないウイルスに組み込み、脳に注射した。ウイルスが脳細胞に入り込めば、ドーパミンの生成が増える。

 実験の効果を確認するため、遺伝子の注入はサルの片側の脳だけに行った。右手は左脳、左手は右脳が指令を出しており、左右の手の動きの回復具合で効果を比較するためだ。

 サルにオリの中から片手を出させ、目の前に置いた餌を取るのにかかる時間を調べたところ、遺伝子を入れた側に対応する手の動きは、パーキンソン病を発症する前の状態にほぼ回復した。反対側の手はぎこちない動きが続いた。遺伝子の導入効果は1〜2週間後から表れた。実験開始から3カ月が経過したが、副作用は起きていないという。

 研究グループの小澤敬也・自治医大教授(遺伝子治療学)は「安全性を慎重に確認したうえで、臨床応用につなげたい。病気の進行を抑える遺伝子と組み合わせ、抜本的な治療を目指す」と話している。 【田中 泰義】

 パーキンソン病に詳しい水野美邦・順天堂大教授(神経内科)の話 投薬と比べて長期的な効果が期待でき、人への適用も十分可能な方法として評価したい。ただ、安全性確認のためには3〜5年はサルの経過を観察する必要がある。




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